2020年10月24日土曜日

トリチウム汚染水の海洋放出は止めるべき

  政府は福島原発のトリチウム汚染水の処分を巡り、方針決定11月以降に遅らせるとしました。水産物を中心とした風評被害対策の具体化や、国内外への情報発信のあり方について、さらに議論を深める必要があるからで、海洋放出を止めるという方向ではありません。そもそも処分方法を今秋中に決める必要など元々なかったのでした。

 廃炉の実績を持つ英国は、福島原発の廃炉が完了するのは100年以上先という見方をしています。要するにいつになったら核燃料デブリを撤去?出来るのか分からないということです。
 政府が考えている海洋放出の具体案は、2年後の汚水量は137万トンに達するのでそれを30年かけて希釈しながら放流するというのですが、その間にも汚水は発生し続けるので30年先には新たに160万トン以上が蓄積します。
    ⇒(10月24日)トリチウム汚染水の処分 政府方針決定は11月以降に延期
 それが延々と100年以上続くということで、とても一国の政府が真面目に考えた案とは思われません。政府は原発から出るトリチウムを海洋に放出するのは海外でも普通に行われていると強調しますが、それとは質的にも量的にも違います。海洋放出にすれば福島の近海が100年以上もトリチウムで汚染され続けることになります。

 24日、トリチウム汚染水の海洋放出処分に反対する街頭集会が福島市の福島駅前で開かれ福島県内の漁師や県内選出の国会議員らも集まり、政府が方針決定を急いでいることを念頭に「多くの人が反対する中、強引に決めるのはおかしい」と訴えました(東京新聞)。
 首都圏反原発連合(反原連)は23日も、恒例になっている首相官邸前抗議を行い「海洋放出このままやめろ」「漁民や住民の声を聞け」と訴えました(しんぶん赤旗)
 しんぶん赤旗は24日、「主張 福島原発汚染水 海洋放出の決定を強行するな」を掲げました。
 3つの記事を紹介します。
                お知らせ(再掲)
       都合により25日は記事の更新が出来ません。ご了承ください。
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「反対の声を無視して、海洋放出決めるな」若者らが集会 福島第一原発の汚染処理水の処分巡り
                          東京新聞 2020年10月24日
 東京電力福島第一原発で汚染水の浄化処理後に残る放射性物質トリチウムなどを含んだ処理水の海洋放出処分に反対する街頭集会が24日、福島市の福島駅前で開かれた。福島県内の漁師や県内選出の国会議員らも集まり、政府が方針決定を急いでいることを念頭に「多くの人が反対する中、強引に決めるのはおかしい」と声を上げた。

 県内の若者たちでつくる市民団体「DAPPEダッペ(平和と平等を守る民主主義アクションの略)が主催
 メンバーで福島市に住む久保田亮さん(32)は、政府が実施した意見公募(パブリックコメント)で海洋放出への反対や懸念を示す意見が多かったことに触れ、「反対の声を無視して海洋放出を決めようとしていることは民主主義を破壊する行為だ」と訴えた。
 福島県西郷村の会社員松田翔子さん(28)は「多くの人が反対する中、強引に決めようとしているのはおかしい。原発事故後、我慢して頑張ってきた人のたちの気持ちも踏みにじる。(政府は)県民や国民の声も聞いていない。議論の場を設けるべきだ」と話した。

 福島県北部の新地町から参加した漁師小野春雄さん(68)は「来春からようやく本格操業になるという時にトリチウムを流されたら。またマイナスから始めろというのか。被害者の漁業者を守らず、なぜ事故を起こした東電を守るのか。県知事もはっきり絶対だめだと言ってほしい。知事は県民を守らなかったら、誰を守るんだ」と憤った。
 福島市の団体職員佐藤大河さん(34)も「パブリックコメントの内容の検証も不十分のまま決めようとしている。何のための意見募集なのか。環境に放出すれば風評被害は必ず起きる。福島は今、復興に向けて頑張っているのに、海洋放出したらその努力を台無しにすることになる」と語った。
 
 政府は、処理水を保管する原発構内のタンクが2022年夏ごろに満杯になるとする東電の試算などを理由に、処分が必要としており、海洋放出の方針決定に向けた調整を続けている。(片山夏子)


汚染水 海に出すな 反原連 官邸前抗議
                        しんぶん赤旗 2020年10月24日
 首都圏反原発連合(反原連)は23日、首相官邸前抗議を行いました。
 菅政権は、東京電力福島第1原発事故で発生しているトリチウムを含む汚染水を海洋放出する方針ですが、漁民をはじめ国民からの批判を受け、当初狙っていた今月中の決定を見送りました。
 官邸前には、「放射能汚染水 海に出さないで」「ふるさと返せ」などのプラカードを持った参加者が駆けつけ、「海洋放出このままやめろ」「漁民や住民の声を聞け」と訴えました。
 東日本大震災で被災した女川原発(宮城県)について、宮城県議会が再稼働に同意する意思を示したことに対しても「女川原発再稼働反対」と声をあげました。


主張 福島原発汚染水 海洋放出の決定を強行するな
                       しんぶん赤旗 2020年10月24日
 菅義偉首相は、外遊先の記者会見(21日)で、東京電力福島第1原発事故で発生しタンクにためている放射能汚染水について、「できるだけ早く処分方針を決めたい」と語りました。9月に同原発を視察した際にも表明しており、海洋放出処分とする方針を近く決定するとみられています。

復興の努力への妨げ
 原発事故で福島の人々の暮らしと生業(なりわい)は甚大な被害を受け、9年以上にわたり復興のため懸命の努力が続けられています。海洋放出となれば農林水産業をはじめ地域への打撃となります。これまでの努力が無にされかねないと、広く反対の声が上がっています。処分方針の決定を強行し、復興を妨げることは許されません。
 日本共産党福島県委員会は20日、福島復興共同センターと共同で、梶山弘志経済産業相に対し、海洋放出を行わず当面は陸上保管を継続できるよう対策をとることを求めました。

 汚染水には高濃度のトリチウムが含まれ、タンクに123万トン以上ためられ、いまも増え続けています。汚染水処分については、国の小委員会が今年2月に、水蒸気にして大気に放出する案と海洋放出案が「現実的な選択肢」であり、海洋放出の方が「確実に実施できる」とする報告をまとめました。同時に、「風評被害を生じうることは想定すべきだ」として、関係者から意見を聞くよう求めました。
 政府が行ったヒアリングでは、農協、漁協、森林組合がそろって「反対」と明言し、商工団体や自治体は、風評被害や復興が遠のくことへの懸念を表明しました。
 全国漁業協同組合連合会は、6月の総会で「海洋放出に断固反対する」との特別決議を全会一致で採択しました。10月15日には、関係閣僚に対して、「海洋放出されることになれば、風評被害の発生は必至」であり、その影響は「我が国漁業の将来に壊滅的な影響を与えかねない」として、「我が国漁業者の総意として、絶対反対である」と訴えました。
 福島県議会は、復興の努力が「新たな風評によって、水泡に帰すようなことがあってはならない」とする意見書を採択しました。県内59市町村のうち41議会が、海洋放出方針決定に反対・慎重の意見書などを採択しています。他県の県議会の意見書も、「(被災者に)追い打ちをかけるようなことがあってはならない」(宮城)、「拙速に方針を決定しないよう」(千葉)などと求めています。
 海洋放出に固執するべきではありません。市民団体からは、大型タンク貯留など具体的な対案も出されています。日本世論調査会による世論調査では、「十分な風評被害対策が実施されるまでは、放出するべきでない」42・7%、「タンクを増設して保管を続けるべきだ」17・9%となっています(福島民報3月8日付)。

福島切り捨てを許さず
 事故から間もなく10年を迎えます。今も続く被害と被害者の苦難を考えれば、さらなる困難を押し付けるなどありえません。原発事故の加害者としての政府の責任が根本から問われる問題です。
 菅首相の果たすべき責任は、福島切り捨て宣言ともなる海洋放出決定ではなく、被害者と被災地の努力に寄り添い、復興のために誠実に力を尽くすことです。