浪江町が震災遺構として整備を進めてきた「請戸小」が完了し10月24日に開館式典を行います。開館後に一般公開されます。
総事業費は約3億5000万円で、児童や教職員の避難状況のほか、地域の歴史などを紹介するパネルを設置し、地区住民をインタビューした映像などを放映します。
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「請戸小」10月24日開館 浪江の震災遺構、記憶と教訓を伝承へ
福島民友 2021年09月23日
浪江町が震災遺構として町内の請戸字持平に整備を進めてきた「請戸小」が10月24日に開館する。東日本大震災の津波で被災した当時の姿を残す校舎で、児童や教職員の被災体験などを紹介し、震災と東京電力福島第1原発事故の記憶と教訓を伝承する。
震災遺構は震災で倒壊した建物などを取り壊さずに保存し、後世に伝えるための施設。宮城、岩手両県では整備・公開されてきたが、本県では初めてとなる。
請戸小は海岸から300メートルほど離れた沿岸部に位置する。津波は校舎2階の床面まで到達し、1階は全て押し流された。校舎には当時、1年生を除く児童82人と教職員14人がいたが、近くの高台に避難するなどして無事だった。ただ、小学校のある請戸地区では154人が犠牲になった。
請戸小も開館後に一般公開される。校舎には、むき出しの鉄骨や、津波到達時刻の「午後3時37分」で針が止まったままの時計など生々しい爪痕が残る。学識者や町民らでつくる検討委の提言を踏まえ、町は児童や教職員の避難状況のほか、地域の歴史などを紹介するパネルを設置する。総事業費は約3億5000万円。
請戸小周辺には震災の犠牲者が眠る大平山霊園(浪江町)や鎮魂の場「先人の丘」(同)がある。南側には浪江、双葉両町にまたがる復興祈念公園と、東日本大震災・原子力災害伝承館(双葉町)が立地しており、一帯が震災と原発事故の記憶伝承の場となる。
津波の記憶後世に 震災遺構・請戸小が10月24日から公開 福島の浪江
福島民報 2021/09/23
東日本大震災による津波被災の記憶や記録を後世に伝えるため、福島県内初の震災遺構として整備を進めてきた浪江町の請戸小で10月24日、開館記念式典が行われる。町が22日発表した。式典終了後、一般公開を開始する。
請戸小は海岸から約300メートルの場所にあり、津波が2階まで押し寄せ、1階部分が流失した。町は被災したままの姿をできるだけ残し、来訪者の安全確保に向けた工事を進めてきた。
新設した管理棟では、請戸地区の成り立ちや震災前の請戸小の活動風景をパネルで紹介。校舎1階はルート順に、紙芝居「請戸小学校物語」の絵を並べる。10年前の3月11日、既に下校していた1年生を除く2年生から6年生までの児童82人が、どのように大平山まで避難し無事だったかを、当日の動きに合わせて展示する。2階では、請戸地区の航空写真や請戸小の校旗・校章などを掲げる。地区住民をインタビューした映像などを放映する。
小型車20台、大型車5台、身障者用2台の駐車場を整備した。入場料は、個人で大人300円、高校生200円、小中学生100円。20人以上の団体は各50円引きとなる。
10月24日の開館記念式典では、卒業生のあいさつや地域の伝統芸能「田植え踊」が披露される。
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請戸小の周辺では、鎮魂の場「先人の丘」や復興祈念公園の整備が進んでいる。