飯舘村を中心に栽培されていた福島県オリジナル水稲品種「あぶくまもち」(もち米)の震災後初となる稲刈りが27日、同村前田地区の実証水田で行われました。同銘柄は09年に村内の1ヘクタールで栽培が始まり、10年には19・4ヘクタールに作付面積を拡大しましたが、翌年に福島原発事故が起きて全村避難となり栽培が途絶えていました。
また大熊町は29日、帰還困難区域のうち復興拠点となっている熊地区で試験栽培のコメを刈り取りました。町は昨年は下野上地区で試験栽培を実施し、今年は場所を変え、復興拠点の熊地区の水田3アールで行いました。
検査に必要な約1キロのコシヒカリを鎌で刈り取り、県の検査機関に玄米を送り、放射性セシウム濃度を調べ、来年から出荷が可能な実証栽培に移行する予定です。
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「あぶくまもち」震災後初の稲刈り 飯舘、普及へ11年ぶり栽培
福島民友 2021年09月28日
東日本大震災前に飯舘村を中心に栽培されていた県オリジナル水稲品種「あぶくまもち」の震災後初となる稲刈りが27日、同村前田地区の実証水田で行われた。
今回は村の事業による実証栽培で、あぶくまもちの普及が目的。栽培を生産者に委託する形で5月に始まった。16アールの水田に県農業総合センターで保管されていたあぶくまもちの種子6キロ分の苗を植えた。
稲刈りには生産農家や杉岡誠村長、村職員ら関係者約20人が参加。参加者は鎌とコンバインで、たわわに実った稲を刈り取った。
今回は収穫したコメの販売は行わず、切り餅やおこわなどの加工品の試作を予定している。
今後、作付けを拡大するかどうかを収量や品質を基に判断し、村の新たな特産品として栽培、発信していく計画だ。
参加した同村の農業青田豊実さん(50)は「無事に稲刈りができて一安心。(あぶくまもちを)高値で買い取ってもらえるよう、新たなブランドとして普及してほしい」と話した。
あぶくまもちは、村の気候条件を生かすために開発されたもち米で、2008(平成20)年に県の奨励品種に指定された。09年に村内のほ場1ヘクタールで栽培が始まり、10年には19.4ヘクタールに作付面積を拡大したが、翌年に東日本大震災が発生。東京電力福島第1原発事故の影響で村は全村避難となり、あぶくまもちの栽培は途絶えていた。
復興拠点で試験栽培のコメを刈り取る 福島県大熊町の熊地区
福島民報 2021/09/29
福島県大熊町農業委員会と町は29日、東京電力福島第一原発事故に伴う帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)となっている熊地区で試験栽培のコメを刈り取った。
町は昨年から復興拠点の水田でコメの試験栽培を行っている。昨年は下野上地区で実施し、今年は場所を変え、復興拠点の熊地区の水田3アールで行った。
この日は根本友子会長や町職員ら合わせて5人が作業し、検査に必要な約1キロのコシヒカリを鎌で刈り取った。県の検査機関に玄米を送り、放射性セシウム濃度を調べ、来年から出荷が可能な実証栽培に移行する予定。
根本会長はイネを手に「春の田植えの時は土壌の状態から、少し心配したが、しっかり実ってうれしい。安全な米が取れることを証明し、町民が安心して帰還できるよう取り組んでいく」と語った。