ふるさと創生賞に輝いた坪倉正治・福島医大教授は6日のオンライン講座で、震災、原発事故発生に伴う生活環境の変化が人々の健康に与えた影響が甚大だったと指摘しました。
原発事故による生活環境の変化などに起因して被災地で糖尿病などが増加し、10年たった今でも課題となっています。
坪倉教授は、自宅から仮設住宅、仮設住宅から復興住宅に転居したり、緊急事態宣言などが繰り返し出されることで、変化によるダメージから回復する間がなく、大きな影響を受けてしまう人がいると指摘し、原発事故の教訓を若い人に知ってほしいと呼び掛けました。
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坪倉さん「原発事故教訓知って」 生活環境変化、健康に影響
福島民友 2021年09月07日
みんゆう県民大賞のふるさと創生賞に輝いた福島医大放射線健康管理学講座教授の坪倉正治さん(39)は6日のオンライン講座で、震災、原発事故発生に伴う生活環境の変化が人々の健康に与えた影響が甚大だったと指摘。新型コロナウイルス感染拡大の状況下と共通する問題も多いとして「災害による環境変化の健康への影響がいかに大きいかという原発事故の教訓を、若い人に知ってほしい」と呼び掛けた。
オンライン講座は「坪倉先生の放射線教室・特別版」と題して開かれた。坪倉さんは、原発事故による生活環境の変化などに起因して被災地で糖尿病などが増加し、10年たった今でも課題となっていることを明かし「私たちの健康は周囲の支えで保っており、その支えが災害で失われた場合のダメージは大きかった」と説明した。
その上で、環境変化が繰り返されて影響が大きくなっていった当時の状況が、現在のコロナ禍の状況と共通していると指摘。「原発事故では自宅から仮設住宅、仮設住宅から復興住宅と変化が繰り返された。現在も緊急事態宣言などが繰り返し出されている。変化によるダメージから回復する間がなく、大きな影響を受けてしまう人がいることを踏まえた対応が必要だ」と注意喚起した。
放射線教育の意義についても語った。原発事故に伴う放射線で次世代に遺伝的影響が生じることは全く想定されていない、と改めて説明する一方、県外には放射線の知識が事故発生当時から更新されていない人がいることを指摘した。将来、放射線について説明できる素養を身に付けるため「これからも、放射線の知識を学ぶ場を維持していく必要がある」と提言した。