大熊町と双葉町に建設された中間貯蔵施設内の汚染土壌は45年3月までに県外の最終処分場に移す必要があります。それに向けての第2回対話フォーラムが、オンラインで開かれ、約690人が視聴しました。
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除染土処分、議論深めて 中間貯蔵「対話フォーラム」に環境相ら
福島民友ニュース 2021年09月12日
県内の除染で出た汚染土壌などを最大30年保管する中間貯蔵施設(大熊町、双葉町)を巡り、環境省は11日、県外での最終処分に向けた「対話フォーラム」の2回目をオンラインで開いた。小泉進次郎環境相は意見交換の中で、除染で出た土壌の土木資材への再生利用を県外で着実に実現した上で、計画通り2025年度から最終処分場の検討を具体化する考えを示した。
災・原子力災害伝承館(双葉町)の館長を務める高村昇長崎大教授が答えた。このほか、若者世代の代表として、新潟大3年の遠藤瞭さん(大熊町出身)らが意見を寄せた。
参加者からは「除染土壌や第1原発の処理水に関し、国民全体の問題としてどのように理解を得るべきか」と質問が寄せられた。関谷氏は「どちらの問題も『風評が生じるのではないか』と不安に思うのは当然だ。善しあしを判断できるよう問題について知ってもらい、議論を深めていくことが大前提となる」と述べた。
「土壌を再生利用した所で水害などが発生した場合どうするのか」との質問に、小泉氏は「流失させない対策を徹底する。万一の場合は環境省が責任を持って迅速に対応するのが不可欠だ」と答えた。
フォーラムは当初、大阪府で8月に開かれる予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大でオンラインになった。登録者用のサイトと動画投稿サイト「ユーチューブ」から約690人が視聴した。当日受け付けた質問で採用されたのは17問(前回は3問)だった。
国が率先、減容化技術確立 環境相・小泉進次郎氏
土壌の再生利用に向け、われわれが率先して実行しないと多くの地域で理解を得るのは難しい。国関係の場所で実現可能かを考えている。2024年度が一つのポイントで、容量を減らす技術を確立させる。県外で再生利用が進めば最終処分量が減り、処分場の面積や大きさ、構造にも関わる。45年までに最終処分する約束を守るため、次世代同士が地域を超えて語り合い、理解し合うことが大事だ。
検査10年間、安心つくった 東大大学院准教授・関谷直也氏
安心や不安を感じるのは理屈ではない。原発事故後、本県産の農林水産物について検査で安全性を証明し、10年間継続してきたことで県民が理解できるようになった。客観的に安全だとしても、それを人々が実感として分かるには、ある程度の時間をかけ、データを積み重ねる必要がある。福島の復興、放射性物質のリスクに向き合うことが重要であり、今後生まれる将来世代にも伝えていくべきだ。
苦渋決断、自分ごととして 長崎大教授、原子力災害伝承館館長・高村昇氏
除染で出た土壌を再生利用する場合、放射性セシウム濃度が1キロ当たり8000ベクレルを下回っていれば、関係者の追加被ばく線量が年間1ミリシーベルトを超えないレベルになる。十分な覆土で放射線を遮蔽(しゃへい)することにより、健康への影響は極めて考えにくくなる。10年半がたった今も古里に帰れない現実があり、中間貯蔵施設に用地を提供するという苦渋の決断をした人がいる。自分ごととして覚えていてほしい。