2019年4月21日日曜日

1年で方針転換 廃炉作業に外国人を就かせる政権の狂気

 いうまでもなく放射線下の作業には被曝が伴います。場所によっては短時間に高い被曝をするので、厳重に管理しなくてはならないのですが、従来はあまり厳格に行われてきませんでした。
 
 19年3月30日の福島民友新聞によれば、福島労働局の調べで17年度、除染業者61%、廃炉業者53%法令違反がありました。廃炉作業では290業者のうち154業者、除染作業では267業者のうち164業者で違反が見つかっています。
 廃炉作業従事者に被曝線量を定期的に知らせていなかったり、割増賃金を支払っていなかったり、除染で出た土壌の放射能濃度を測定した結果を労働者に明示していなかったなどでした。
 
 これらはいわゆる第5次工事業者などが管理する事柄なので、東電や元請けは関与しません。そんな危険で管理がずさんな業種に、日本語や日本の事情に疎い外国人労働者を従事させれば、事実上放射線の管理が一層ずさんになるのは明らかです。
 
 昨年度は、除染作業は一般的に海外で行われる業務ではないことや、被曝対策が必要な環境は、技能習得のための実習に専念できる環境とは言い難いということで、外交人労働者を従事させることを禁じていた政府が、こんどは法律が改正されたからといって一転して日本人が従事する全ての業種に従事させて良いとはメチャクチャな話です
 実情は、日本人労働者が次々と限界被曝量に達しているために、新たに外国人を投入しようという魂胆だと思われます。あまりにも無責任ではないでしょうか。 
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1年で方針転換 廃炉作業に特定技能外国人を送る政権の狂気
日刊ゲンダイ 2019年4月20日
 このために“移民法”成立を急いでいたとしか思えない。
 4月から始まった新たな在留資格「特定技能」で、外国人労働者が東電福島第1原発の廃炉作業に就くことが可能になった、と報じられた。東電はすでに、廃炉作業に当たる元請けのゼネコン関係者らに外国人労働者の受け入れについて説明したらしいが、被曝の危険性が高い廃炉作業の現場に外国人を送り込むなんて正気の沙汰じゃない
 
 そもそも法務省は技能実習制度における外国人の除染作業でさえ禁止していたはずだ。昨年3月、技能実習生のベトナム人男性が福島原発の除染作業に携わっていたことが発覚。同省は、除染作業は一般的に海外で行われる業務ではないことや、被曝対策が必要な環境は、技能習得のための実習に専念できる環境とは言い難い――として〈技能実習の趣旨にはそぐわない〉としていた。それが改正法とはいえ、1年後には方針が百八十度変わるなんてメチャクチャだろう。
 
 福島原発の現場では元請け、下請け、孫請けの業者が複雑に絡み合い、日本人作業員でさえもマトモに被曝管理されているとは思えない。しかも廃炉作業は少しのミスも許されない過酷な現場だ。予期せぬトラブルが発生したり、大量被曝の危険が生じたりした時、言葉の理解が不十分な外国人にどうやって伝えるのか。要するに、廃炉作業に携わる日本人労働者の線量が限度になりつつあり、人手不足を解消するための手段として「特定技能」が利用されるのだ。重大事故が起きて、大勢の外国人労働者が被曝なんて最悪の事態になれば、日本は世界中から非難されるのは間違いない
 
 元原子力プラント設計技術者で工学博士の後藤政志氏がこう言う。
 「外国人労働者を受け入れるための環境を十分、整えているのであればともかく、数合わせのために廃炉作業に従事させるのは非常識極まりない。そもそも低線量被曝が長期間に及んだ場合の健康被害はよく分かっていないのです。国際的な批判も高まると思います」
 
 新たな徴用工問題になるのは間違いない。