2019年4月21日日曜日

原発テロ対策施設 完成期限の再延長はありえない

 再稼働した原発をもつ関西、九州、四国の電力3社がそろって、「原発のテロ対策施設を期限内に完成できない」との見通しを示し原子力規制委に期限の1年~3年の延長を求めています。
 当初の設置期限は新規制基準の施行から5年に当たる昨年でしたが、規制委は原発の審査に時間が掛かった実情を考慮して「各原発の工事計画の審査終了から5年以内」に改めましたそれを再延長したいという要請です。
 
 朝日新聞は「原発テロ対策 期限延長はありえない」とする20日付の社説で、要旨次のように論じました。
(朝日新聞社説 原発テロ対策 期限延長はありえない」)
(要 旨)
 原発を再稼働した関西、九州、四国の電力3社がそろって、「原発のテロ対策施設の完成が期限1年~2年半ほど超えてしまう」として、原子力規制委に期限の延長を求めているが、原発の安全対策を軽視しているのではないか。
 テロ対策施設は万が一、航空機テロで制御室が破壊されても、メルトダウンを起こさないために、100m以上離れたところに臨時制御室や発電機などを備えた対策施設をつくり、原子炉を冷却し続けることができるように、新規制基準で設置が義務づけられた。
 工事が遅れている理由を大規模で難易度も高いためとしているが、期限はすでに一度延長されているので、さらに延期することはありえない
 規制委の更田豊志委員長は「公開の場で5人の委員が議論して対応を決める」と述べた基準を満たさない原発はいったん止めるのが筋で、運転停止命令をためらう理由はないはずだ。
 福島の事故の教訓を忘れてはならず、暴走し始めると手がつけられなくなる設備を動かしていることを、電力会社は改めて肝に銘じてもらいたい。
(朝日新聞は記事のコピーを禁じているのでこんな方法を取りました)
 
「新規制基準に合格したからと言って原発の安全を保障するものではない」とは、田中・前規制委員長が述べたところです。その規制をすら満足していない原発を動かせる道理はありません。
 既に一度完成期限の延長を認めたことで、現在はテロ対策施設を持たない状態で稼働しています。いまさらそれは取り消せないとしても、その期限をさらに1年~3年も延ばす選択はあり得ません。
 期限を延ばすということは、その間にテロ攻撃があって原発がメルトダウンを起こしてもやむを得ないと認めることを意味します。そんなことを認める権限は勿論規制委にもありません。
 もしも認めるという方向に傾いたのであれば、その前に全員が規制委を辞任するのが筋でしょう。そういう問題であることを自覚してことに当たって欲しいものです。