2019年4月29日月曜日

大飯差し止めた樋口元裁判長 津で講演

 2014年に関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を認めない判決を出した福井地裁の元裁判長樋口英明氏(66)が28日、津市で講演し「原発の危険性が分かった以上、それを伝えていくのが私の責任だ。特に、何の責任もないのに負担を負ってしまっている若い世代に伝えたい」と語りました。
 
 上記判決における樋口氏の数々の名言は多くの人々の胸に刻まれました。
 その一部を下に示します(要約文の文責は当事務局です)
 
 原発は一旦大事故を起こせば人格権という根源的な権利が極めて広汎に奪われるという事態を招く少なくともそうした事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その運転差止めが認められるのは当然である
 
 被告は、地震学の理論上導かれる当該地域の最大ガル数が700で、それを超える地震が到来することはまず考えられないと主張する。しかし現に、全国で20箇所にも満たない原発のうち4つの原発に5回にわたり想定した地震動を超える地震が平成17年以後10年足らずの問に到来している被告の本件原発の地震想定だけが信頼に値するという根拠は見い出せない。
 
 被告は原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、大事故によってこれを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると考えている。
 
 原発の稼動がCO2排出削減に資するもので環境面で優れている旨主張するが、原発でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであって、福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原発の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである。
 
 同判決はその後最高裁事務総局の介入によって覆されましたが、それは多分に政治的な意図によるもので、上記の論理が否定されたわけではありません。
 
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大飯差し止め元裁判長、津で講演 原発危険性「若い世代に」
共同通信 2019年4月28日
 2014年に関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)の再稼働を認めない判決を出した福井地裁の元裁判長樋口英明氏(66)が28日、津市で講演し「原発の危険性が分かった以上、それを伝えていくのが私の責任だ。特に、何の責任もないのに負担を負ってしまっている若い世代に伝えたい」と訴えた。
 
 樋口氏は、原発の稼働を巡っては首相のほか地元自治体の首長、原子力規制委員長、裁判官が責任を負っていると指摘。「そのうちの誰か1人が判断すれば原発を停止させられるのに、そうなっていない」との見方を示した。