9月から原子力規制委員に就任する量子科学技術研究開発機構の神田玲子理事が16日、報道陣の取材に応じ、「JCOの臨界事故や福島第1原発事故の経験を若い世代に引き継ぎたい」と抱負を述べました。
神田氏は放射線防護などが専門で、臨界事故時には被ばく者が受けた放射線量の評価に携わりました。「被ばくした人と直接接することもあった。体験した人でないと分からない心構えがあると思う」と当時を振り返りました。
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「経験を若い世代に」 次期規制委員の神田氏
時事通信 2025/7/16
9月から原子力規制委員会の委員に就任する量子科学技術研究開発機構の神田玲子理事(63)が16日、報道陣の取材に応じ、「(1999年に起きた核燃料加工会社の)JCOの臨界事故や東京電力福島第1原発事故の経験を若い世代に引き継ぎたい」と抱負を述べた。
神田氏は放射線防護などが専門で、臨界事故時には被ばく者が受けた放射線量の評価に携わった。当時について「被ばくした人と直接接することもあった。体験した人でないと分からない心構えがあると思う」と振り返った。
福島第1原発事故については「多くの人が放射線による健康リスクに不安を抱いた」と話した上で、「不安に寄り添うことも研究者として持つべき心構えだ」と指摘。「規制委では事実やデータを基に科学的な判断をしていくが、そのプロセスに透明性を確保して伝えていきたい」と語った。
神田氏は16日付で規制委の非常勤参事に就任。引き継ぎなどを経て、9月19日に委員となる。
JCO事故や福島事故を経験「若い人に引き継ぎたい」放射線防護の研究者、神田玲子氏が新原子力規制委員に
NNN日テレNEWS 2025/7/16
全国の原発の安全性などを審査する「原子力規制委員会」の委員に、放射線防護の研究者、神田玲子さんが就任するのを前に、意気込みを語りました。
神田さんは、放射線医学研究所の所長を経て、量子科学技術研究開発機構の理事を務め、放射線の健康への影響などについて長年研究を重ねてきました。
1999年に茨城県東海村で起きたJCO臨界事故で、重傷患者の被ばく線量の推定に携わった経験から、「被ばくした方々と直接接し、体験した者でなければ分からない心構えもある。若い人に引き継ぎたい」と思いを述べました。
また、2011年の東京電力福島第一原発事故で、多くの人が放射線の健康リスクに不安を抱いたことについて、「被ばくしたか分からない、放射線の影響があとで出るかもしれないという不安に寄り添うことも、研究者としても持つべき心構え」と話しました。
神田さんは、原子力規制委員会の5人の委員の1人として9月に就任する予定で、引き継ぎのため16日付で規制委の参事に就任しました。
規制委で科学的・技術的な判断をするプロセスを、しっかりと透明性を確保して伝えていきたいとしています。