2020年9月21日月曜日

双葉町に伝承館開館 来館者増へ連携課題(詳報)

  福島県が双葉町に整備した「東日本大震災・原子力災害伝承館」20日、開館しまし。福島民報とNHKが伝えましたので、詳報として紹介します。

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震災原発事故の伝承館開館 双葉に福島県整備 来館者増へ連携課題

福島民報 2020/09/21

 県が双葉町中野地区に整備したアーカイブ(記録庫)拠点施設「東日本大震災・原子力災害伝承館」は二十日、開館した。震災と東京電力福島第一原発事故の発生から十年の節目に、未曽有の複合災害の教訓を次世代に引き継ぐ事業が本格化する。今後、県内外の伝承施設や各資料館との連携、被災地を巡る教育旅行の受け入れ態勢の強化などが課題となる。

 県が保管・収集した約二十四万点のうち、約百七十点を展示している。原発の誘致に始まり、震災と原発事故前の生活、複合災害の発生、混乱と長期にわたる避難、復興への歩みまでを各エリアに分けて伝えている。

 伝承館は、沿岸部の富岡町の東電廃炉資料館や、いわき震災伝承みらい館(いわき市)、相馬市伝承鎮魂祈念館、富岡や大熊両町などに整備される予定のアーカイブ施設などを周遊するコースの設定を進める。岩手、宮城両県の伝承施設と資料を相互に展示する企画展を開催する方向で検討している

 伝承館へのアクセスについて、現時点でJR常磐線の各駅からの交通手段の確保が困難となっている。伝承館に隣接する双葉町産業交流センターが十月一日に開館するのに合わせ、駅とセンター、伝承館を結ぶシャトルバスが運行される見通し。

 来館者は年間約五万人を目指す。全国的な新型コロナウイルス感染拡大を受け、県教委は今月上旬、県内で教育旅行の実施を検討するよう各県立学校と市町村教委に通知した。視察箇所に伝承館を組み込み「ホープツーリズム」の要素を取り入れたコースの設定を促している。

 初日は県内外から約千百人が来館した。県観光物産交流協会との連携により、県外からの教育旅行の受け入れも本格的に始まった。千葉県館山市の館山総合高は同協会から紹介を受け、伝承館への教育旅行の第一号として約三十人が訪れた。二年生の青木瑠々(るる)さん(16)は高さ十三メートルの津波の到達を知らせる展示品に驚いたという。高校は海から約一・五キロに位置する。「学んだことを家族や友達にしっかりと伝えたい」と話した。

 高村昇館長(52)は「県民がどう複合災害に立ち向かってきたかを積極的に発信する。国内外の知の交流拠点として、浜通りの交流人口増加に貢献したい」と語った。

 伝承館は地上三階建てで、延べ床面積は約五千二百五十六平方メートル。総事業費は約五十三億円。

 

原発事故の記録伝える「伝承館」がオープン 福島 双葉町

NHK NEWS WEB 2020年9月20日

東日本大震災と原発事故の記録を後世に伝える福島県双葉町の県立の伝承施設「東日本大震災・原子力災害伝承館」は、20日、オープンし、避難先から駆けつけた地元の人たちなどが訪れています。オープンに合わせて伝承館の高村昇館長が、「未曽有の大災害に福島の人たちが、どのように立ち向かって復興していったかを知ってほしい」とあいさつしました。展示室には、行政の対応拠点となった大熊町のオフサイトセンターで使われたホワイトボードや、原発で重大事故が起きたことを国や県に知らせるファクシミリなどおよそ150点の資料や映像が、展示されています。館内には地元の語り部も常駐することになっていて、原発事故当時の混乱や長引く影響を伝えています。原発事故の記録を伝える伝承施設は公立としては初めてで、休館日の火曜日をのぞき、午前9時から午後5時まで開館しています。

避難先から訪れた71歳の男性は「当時を思い出して背筋が寒くなる思いがしました。こうした施設で多くの人に見てもらうことは必要だと思う」と話していました。また千葉県から訪れた高校生は「放射性物質を取り除く作業が今も行われていることは知らなかったが、つらい思いをしている人がたくさんいることが分かった」と話していました。

 

原発事故の記録伝える施設 きょうオープン 福島 双葉町

NHK NEWS WEB 2020年9月20日

東京電力福島第一原発事故の記録を伝える伝承施設が公立の施設としては初めて福島県双葉町に完成し、20日オープンします。東日本大震災と原発事故の記録を後世に伝える、県立の伝承施設「東日本大震災・原子力災害伝承館」は、ことし3月に避難指示が一部で解除された福島県双葉町に20日オープンします。

館内には大型スクリーンが設置され、原発事故が起きた直後の地域の姿や住民の避難の様子などを映像で伝えています。また、行政の対応拠点となったオフサイトセンターで使われたホワイトボードや除染作業で使われる資材など、およそ150点の資料や映像で原発事故当時の混乱や長引く影響を伝えていて、地元の語り部も常駐することになっています。

福島県は、当初、東京オリンピックの開幕に合わせてことし7月に開館する計画でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で展示映像の制作などに遅れが生じ予定より2か月ほど遅れてオープンとなりました。原発事故の記録を伝える伝承施設は、公立としては初めてです。

休館日の火曜日以外は午前9時から午後5時まで開館し、入館料は大人は600円、子どもは300円です。