原発処理水「説明責任果たして」 被災者ら新政権に注文—福島
時事通信 2020年9月16日
東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から9年半を迎えたが、復興への課題は山積している。特に原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水の処分は、新政権が難しい判断を迫られる公算が大きく、被災者からは16日、丁寧な説明を求める声が上がった。
処理水を保管するタンクは2022年夏ごろ満杯になる見込み。海洋や大気中への放出が「現実的な選択肢」とされる中、政府は処分方法の決定に向け、関係者の意見聴取を続けている。
富岡町から郡山市に避難している無職女性(79)は「帰還する子供たちの将来を考えると保管し続けるのは不安。早く判断してほしい」と訴える。一方で、県漁業協同組合連合会の野崎哲会長(66)は「福島の漁業は復興の途中で、海洋放出に反対の姿勢に変わりはない」と語気を強めた。
原発事故後にいわき市に移住した双葉町出身の佐藤一夫さん(79)は「どんな判断でも地元への説明責任をしっかり果たしてほしい」と求めた。
新たな復興相には平沢勝栄氏が就くが、佐藤さんは「大臣がコロコロと代わるのであまり期待できない」とした上で、「まずは被災地の現状を自分の目で確かめてほしい」と話した。 【時事通信社】