原子力規制委は23日の定例会合で、柏崎刈羽原発で事故が起きた際の社長の法的責任を明記するなどした保安規定変更案を了承し、事実上三つの審査で合格となりました。審査合格の手続きは年内に完了する予定です。
今後は県が独自に行う「三つの検証」や地元同意が焦点となります。
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柏崎原発7号機、国審査「合格」へ 県検証と地元合意が今後の焦点
新潟日報 20/09/23
原子力規制委員会は23日、定例会合を開き、東京電力柏崎刈羽原発で事故が起きた際の社長の法的責任を明記するなどした保安規定変更案を了承した。事実上の合格で、同原発7号機の再稼働に必要な国の三つの審査は、ほぼ全て終わった。2011年の東電福島第1原発事故から9年半余りで、国が再び東電に原発を運転する許認可を与えることになる。今後は県が独自に行う「三つの検証」や地元同意が焦点となる。
保安規定は原発の安全管理ルールを定めたもので、東電が柏崎刈羽原発を再稼働するには規制委の認可を受ける必要がある。
審査の過程で、規制委は福島第1原発事故を起こした東電に原発を再稼働する「適格性」があるかを重視。技術的なルールを定める保安規定の基本方針に「安全性をおろそかにして経済性を優先しない」など7項目からなる東電の「決意」を反映し、適格性を担保させる異例の対応を取った。
東電の変更案では、安全上のリスク情報が不確定な段階でも社長は安全最優先の判断をし、その内容を速やかに社会に発信すると明記。そうした対応の記録を原子炉を廃止するまで保管し、社長がリスクの緩和措置を怠った場合は刑事責任や損害賠償責任を免れないとした。
23日の定例会合では5人の委員から異論は出ず、変更案が了承された。更田豊志委員長は会合後の記者会見で「審査は一つのステップを越えた」と説明。「東電の能力や姿勢が柏崎刈羽原発を運用するのに十分か議論してきた。再稼働しても東電が緩むことがないか監視していく」とも述べた。
変更案の了承を受け、東電は新潟日報社の取材に対し「委員から一定の理解を得られたと認識している。今後の手続きの準備を進めていく」(原子力広報グループ)とした。東電は7号機の安全対策工事を12月中に終えるとしている。
同原発7号機を巡っては再稼働に必要な三つの審査のうち、新規制基準の適合性審査に既に合格。工事計画認可に関する審査も議論を終えており、規制委は今後工事計画と保安規定の補正書の提出を東電から受け、審査結果の取りまとめに入る。
手続きが終わるまでの期間について、更田氏は「遅くとも年内には作業が進む」との見通しを示した。