女川原発2号機再稼働の前提となる「地元同意」の判断時期を巡り、村井嘉浩宮城県知事は、「県原子力防災訓練の結果は関係ない。切り離して考える」として今秋以降に予定される避難訓練の前に、同意の判断をする可能性を示唆しました。自治体として最重要視すべき避難計画の実効性に無関心なのは理解できません。
また女川町議会は14日の9月定例会本会議で、早期再稼働を望む意見書を賛成多数で可決しました。また石巻バイパスなどの必要性を訴える意見書も全会一致で可決しました。
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女川原発再稼働 宮城知事、訓練前に同意判断も
河北新報 2020年09月15日
東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働の前提となる「地元同意」の判断時期を巡り、村井嘉浩知事は14日の定例記者会見で「県原子力防災訓練の結果は関係ない。切り離して考える」と述べた。重大事故時の広域避難計画の実効性を確認するため今秋以降に予定される訓練の前に、同意の判断をする可能性を示唆した。
訓練は、6月に政府が避難計画を了承後、初めて実施される。時期は未定だが、国との合同開催が決まった。村井知事は「原子炉がある以上は訓練しないといけない」と従来の主張を繰り返した。東北電は、2号機の安全対策工事が2022年度に完了するとしている。再稼働に慎重な県議からは、県民意見の聴取に時間をかけるべきだとの声も上がる。
村井知事は判断時期を問われ「まだ分からないが、いつまでもだらだらというわけにいかない」と強調。東北電との安全協定に基づく事前了解、政府への地元同意の伝達は「同時期になる」との見通しも明らかにした。
県議会は24日、議員全員協議会を開き、新規制基準への適合を認めた原子力規制委員会の審査や避難計画の内容について国の担当者から説明を受ける方針。知事は「(8月に)自民党・県民会議などは原発を視察した。国の話を聞く機会もあった方がいい」と語った。
女川原発の再稼働求め町議会が意見書可決 避難路整備も盛る
河北新報 2020年09月15日
東北電力女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)の再稼働を巡り、女川町議会は14日の9月定例会本会議で、早期再稼働を望む意見書を賛成多数で可決した。7日の賛成陳情採択を踏まえた対応。重大事故時の広域避難計画で避難路となっている国道398号や、バイパスの整備も求める内容で15日に須田善明町長と村井嘉浩知事に提出する。
意見書は「町の中長期的な発展と経済の活性化につながるとの期待から多くの町民が再稼働を望んでいる」とし、広域避難計画の実効性向上には町の大動脈である国道398号の機能確保が重要と指摘。国道398号石巻バイパスの早期完成や、本線からバイパスへ抜けるトンネル工事の実現を要請した。
町議会は石巻バイパスなどの必要性を訴える意見書も全会一致で可決した。石巻バイパスは全長約10.8キロで、三陸沿岸道石巻女川インターチェンジ(IC)と町を結ぶ。県が整備するが、本線と石巻バイパスを南北に結ぶ市道渡波稲井線の整備が進んでいることなどを理由に4.7キロが未着工となっている。町によると、昨年10月の台風19号で国道398号が冠水や土砂災害で寸断され、町民が約17時間「孤立状態」となった。町議会は15日、県関係者らとバイパス事業などについて意見交換会を開く。
須田町長はこれまで再稼働の可否判断に関し「広域避難計画の実効性向上に対する県や国の姿勢を確かめる必要がある」と話している。14日の定例会閉会後にあった全員協議会で、可否の結論を議会に優先して伝える考えを示した。