2023年6月7日水曜日

「土台の損傷で原子炉が落下しても影響は小」と東電、規制委は再検討を要求

 東電は5日、福島第原発1号機の原子炉圧力容器を支える土台の損傷が原因で 圧力容器が落下して建屋外に放射性物質が飛散した場合でも、周辺環境に大きな影響はないとの予測を公表しました。これは落下によって放射能が外部に漏れても健康上の支障はない(5ミリシーベルト/h)という意味ですが、5ミリシーベルトは平常時の0.05マイクロシーベルト/hの100倍に当たります。
 東電は当初から「土台が崩壊する可能性は低い」としてきましたが、その証明が出来ないことから「壊れるがそれでも大丈夫」という主張に変えました。しかしそんな論理は本来的に許されない筈で 何よりもまずは落下しない(壊れない)ように対策を取るべきです。
 同日報告を受けた原子力規制委員会は想定が不十分として再検討するよう求めました。
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「圧力容器が落下しても大きな影響なし」と東電、規制委は再検討を要求 土台の損傷で予測
                          東京新聞 2023年6月5日
 東京電力は5日、福島第一原発(福島県大熊町、双葉町)1号機の原子炉圧力容器を支える土台の損傷を巡り、圧力容器が落下して建屋外に放射性物質が飛散した場合でも、周辺環境に大きな影響はないとの予測を公表した。同日の東電との検討会合で報告を受けた原子力規制委員会は、想定が不十分として再検討するよう求めた。
 東電によると、圧力容器の落下で外側の格納容器に穴が開き、飛散防護のシステムも無効になるなど最悪の事態が起きたとしても、発電所の敷地周囲での被ばく線量は約0.04ミリシーベルトと推計。関係法令で定める事故時の被ばく線量の基準(5ミリシーベルト)を下回り、影響は小さいとした。12月末までに、移動式のフィルター設備などの設置を目指す。
 一方で、東電は「土台が崩壊する可能性は低い」と従来の主張も繰り返した。

◆「他の放射性物質が放出される可能性もある」
 規制委事務局の原子力規制庁は、放射性セシウムだけが放出されるとの東電の説明に対し、「他の放射性物質が放出される可能性もある」と指摘し、被ばく線量がさらに大きくなる事態の検討も要求した。想定する地震の大きさの引き上げや、詳しい対処手順の検討も求めた。
 1号機では、核燃料があった圧力容器を支える円筒形の土台(厚さ12メートル)の内壁が全周にわたって損傷していることがロボット調査で判明。規制委が東電に、圧力容器落下時の対処を示すよう指示していた(小野沢健太)

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