経産省は21年度予算の概算要求で、原発の使用済み燃料から取り出したプルトニウムを消費する「高速炉」の技術開発委託費として45億円を盛り込みました。実用化のめどが立っていない「核燃料サイクル」につながる技術ですが、米国で開発中の試験炉を使った国際研究を継続するためということです。
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<概算要求>
高速炉の開発費45億円求める 経産省、核燃料サイクル諦めず
東京新聞 2020年10月1日
経済産業省は2021年度予算の概算要求で、原発の使用済み燃料から取り出したプルトニウムを消費する「高速炉」の技術開発委託費として45億円を盛り込んだ。実用化のめどが立っていない「核燃料サイクル」につながる技術だが、米国で開発中の試験炉を使った国際研究を継続する。20年度当初予算で同事業に計上された40億円から増額を目指す。(妹尾聡太)
◆米の多目的高速試験炉開発、新たな柱に
経産省は国際開発協力の「新たな柱」として、日米協力による米国の多目的高速試験炉(VTR)開発を掲げた。VTRは高速炉で使われる燃料や材料の性能などを試験する原子炉で、26年に運転開始予定。
しかし、より実用段階に近かったはずの高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)は16年に廃炉が決定。もんじゅに代わる日仏共同研究の仏実証炉「ASTRID(アストリッド)」も19年に計画がストップした。政府は高速炉でプルトニウムを再利用し続ける核燃料サイクルを諦めていないが、今後数十年かけても実現する可能性は低い。
◆新型原子炉の開発支援事業も3億円増
今回の概算要求では、小型炉や高温ガス炉など新型原子炉の開発支援事業も3年連続で計画し、本年度当初より3億円多い12億円を盛り込んだ。
経産省は、原発の再稼働や新技術の開発が二酸化炭素(CO2)の削減に役立つとの立場。このため概算要求では、石炭火力発電の高効率化や再生可能エネルギーの主力電源化といった「イノベーションによる脱炭素化の推進」政策の中に関連事業を位置付けている。