無償提供終了後も国家公務員宿舎に住み続けている住民に対し、福島地裁は29日、住民の女性に対して退去を命じ、19年以降から退去するまでの家賃約151万円と、明け渡しまでに1か月あたり約3万9千円の支払いを命じました。
自主避難者の全員がこの女性と同じ行動を取ったわけではないことには、それぞれの事情があったのだと思われます。福島県が契約違反を盾に訴訟を起こせば司法は結局こういう裁定をすることになるのでしょうが、高線量で居住できない地域から避難した人たちを自主避難者として「避難者の権利」を認めず、一貫して非人道的に差別してきた行政に基本的な非があります。
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原発事故の自主避難者に退去と約150万円支払い命じる「国家公務員宿舎」明け渡し訴訟
テレビユー福島 2022/11/29
原発事故による自主避難者のうち、無償提供終了後も国家公務員宿舎に住み続けている住民に対し、福島県が住宅の明け渡しなどを求めている裁判で、福島地裁は29日、住民の女性に対して退去を命じました。
県は、2017年に自主避難者への住宅の無償提供の終了後、東京都の国家公務員宿舎に避難する住民に対して、同額の家賃を支払うことで、2019年3月末まで期限付きで入居が継続できる契約を結んでいました。
判決によりますと、福島県広野町からこの宿舎に自主避難した女性は、契約が切れた2019年3月末以降も退去を拒み、住み続けたとして、県は住居の明け渡しと損害金として、2019年以降から退去するまでの家賃の支払いを求めていました。
住民の女性はこれまで事実関係は認めつつも、県の訴えは、国際的に定められた避難する権利を侵害しているとして、請求の棄却を求め、争う姿勢を見せていました。
29日、福島地裁の小川理佳裁判官は、女性が口頭弁論に一切出頭しなかったことに加え、県の請求事実は全て認められるとして、請求通り女性に退去を命じる判決を言い渡しました。また、約151万円と明け渡しまでに1か月あたり約3万9千円の支払いも命じました。
原発事故の避難者に宿舎退去命令 福島地裁、貸し出し終了で
共同通信 2022/11/29
東京電力福島第1原発事故の自主避難者への貸出期間が終了した後も、東京都江東区の国家公務員宿舎「東雲住宅」に住み続けているとして、福島県が居住者の女性に退去と損害賠償を求めた訴訟の判決で、福島地裁(小川理佳裁判官)は29日、請求通り退去を命じた。約150万円と明け渡しまで月約3万9千円の支払いも命令した。
訴状によると、女性は、国の避難指示はなかった福島県広野町から避難し東雲住宅に入居。応急仮設住宅としての無償提供終了に伴い、2017年4月から2年間は家賃を支払ってきた。19年3月末で賃貸契約が切れた後も退去を拒み、住み続けたとしている。