2022年11月28日月曜日

規制委の態度不可解 「きょうの潮流」

 経産省が、原発の運転期間についての規制をなくそうとしていることに対して、山中規制委員長が「利用政策の判断なので、規制委は意見を申すところではない」と容認していることはどう考えても理解できません。経産省は新委員長の登場を待ってそうした政策に踏み切ったようにも思われます。
 しんぶん赤旗が「きょうの潮流」で取り上げました。
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きょうの潮流
                      しんぶん赤旗 2022年11月25日
 原子力規制委員会が発足したのは東京電力福島第1原発の過酷事故がきっかけです。事故の教訓として原発の推進と規制の分離をうたい、規制委は上級機関の指揮監督を受けない「三条委員会」として設置されました。「事故の防止に最善かつ最大の努力をしなければならない」とされています
 発足から10年余になります。その規制強化の柱の一つが「原則40年、最長60年」という原発の運転期間のルールができたことです。規制委が所管する「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に明記されました
 ところが、原発の運転延長をねらう経済産業省は、運転期間について別の法律に移して変えようとしています。同省の言い分はこうです。原発の運転制限が再稼働の妨げになるようなら「よろしくない話」だと。邪魔な規制だとあけすけです

 解せないのが規制委の姿勢です。みずからが所管する規制に関する法律が問題になっているにもかかわらず、同省の動きを「利用政策の判断で、規制委は意見を申すところではない」と容認しています
 しかも、どんな運転延長案が出てきても対応できるよう、安全規制の見直し案を先回りして提示しています。山中委員長は「利用政策側のアクションに対する反応」と説明しますが、「推進側に規制が従属しているようにみえる」との指摘が広がるのも当然です
 事故の教訓を踏まえたルールを推進側の理由で変えていいのか。ルールを厳格に運用し、変更に反対するのが規制委の役割では。