2022年11月15日火曜日

災害と有事の際、女性支援の議論加速 「震災と原発事故の教訓」提言へ

 12月3日に東京都内で開催される政府主催の国際女性会議2022WAW!)で「女性と防災」が初めてテーマの一つとなります。

 震災、原発事故発生時避難所などに更衣場所がなく女性が困る場合があるものの「緊急時のため、すぐに改善を訴えにくい」という問題、乳幼児や介護する高齢者らを連れての避難炊き出しなどの役割が女性に偏りがちなこと復興を進める中でがれき撤去などの求人はあるが事務やパートなど女性が求める仕事が少ないことなど福島ではさまざまな女性特有の問題を経験しました。
 「女性と防災」の分科会には福島県代表の女性らも出席し、避難した女性たちの体験などをつづった手記を発表する他、復興に関するスピーチなどを通して議論の参考にしてもらう予定です
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災害と有事の際、女性支援の議論加速 「震災と原発事故の教訓」提言へ
12月東京で国際会議 福島県代表も出席へ
                            福島民報 2022/11/14
 発生から11年8カ月が経過した東日本大震災と東京電力福島第1原発事故で、避難所でのプライバシー確保や日用品の不足、雇用不安など女性が受ける影響が課題となった。世界で続発する災害や紛争でも女性に対する支援の重要性は高まっている。12月3日に東京都内で開催される政府主催の国際女性会議2022(WAW!)で「女性と防災」が初めてテーマの一つとなる。災害が激甚化する中、震災と原発事故を教訓にした議論をきっかけに解決に向けた取り組みの加速化が期待される。
 震災、原発事故発生時、避難所などに更衣場所がなく、女性が困る場合がある一方、「緊急時のため、すぐに改善を訴えにくい」との声もあった。乳幼児や介護する高齢者らを連れての避難、授乳用品などの不足、炊き出しなどの役割が女性に偏りがちなことも課題に挙げられた。
 復興を進める中で、がれき撤去などの求人はあるが事務やパートなど女性が求める仕事が少ない、会社の経営悪化で復職が難しいなどの問題もあった。家庭内での暴力など心身の負担の増加も顕在化した。女性の視点での施策が必要となる一方、自治体の災害担当部署に女性職員が一人もいないケースが多いとの調査もある。
 世界での大規模災害、ロシアによるウクライナ侵攻でも同様の課題が浮き彫りとなったため、会議で国連関係者や有識者らが震災の事例なども踏まえ、解決策を議論する。「女性と防災」の分科会には福島県代表の女性らも出席避難した女性たちの体験などをつづった手記を発表する他、復興に関するスピーチなどを通して議論の参考にしてもらう
 震災と原発事故の教訓を示すことで災害時の女性支援に向けた国の政策決定へ提言をまとめる。内容を踏まえ、岸田文雄首相がサミットなどで国際社会に発信することも想定している。
 会議のコーディネートを担当する森雅子首相補佐官(自民、参院福島県選挙区)は「福島の女性たちの話も教訓にしながら支援の実現などにつながる会議にしたい」と語った。

■ジェンダー平等実現目指す
 会議のメインテーマは「新しい資本主義に向けたジェンダー主流化」。SDGs(持続可能な開発目標)の「ジェンダー平等の推進」の実現を目指す。各国の女性活躍担当の閣僚や女性企業者、有識者ら合わせて250人ほどが参加する予定だ。
 分科会のテーマは以下の通り。このうち、特別セッションで女性の地方定住に向け、本会場と福島県二本松市の県男女共生センターなど地方のサテライト会場をつないで意見交換を行う。地方の若い女性の転出超過の割合は男性より高い傾向があり、雇用や起業などの解決策を導き出す。
 福島県の復興、風評払拭を後押しする機会にもする。本会議終了後のレセプションで、県産農産物や特産品の魅力を各国の要人たちに紹介する予定。会議翌日の4日、参加者が浜通りを視察する。世界に福島が復興する姿をアピールする。
【国際女性会議の主なテーマ】
◆メインテーマ
新しい資本主義に向けたジェンダー主流化
◆分科会テーマ
・男女間の賃金格差の是正
・女性とグリーン社会
・女性とデジタル・STEM教育
・男性の関心・関与の拡大
・意思決定プロセスへの女性の参画
・女性とスタートアップ~女性が企業することの意味
・女性の尊厳と誇りを守る社会の実現
・女性の健康と経済
・女性の平和・安全保障への参画
・女性と防災
◆特別セッション
・女性と地方
・若者たちの声を聴く・未来への提言