福島第1原発の処理水海洋放出で風評被害が発生した場合の賠償について、福島県内の産業団体などは東電の賠償対応の妥当性を第三者が検証する仕組みを国に求める方向で調整しています。これは原発事故損害賠償では、あたかも加害者の東電が賠償額を仕切るような格好になったことへの対策と見られ、必要なことです。
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処理水賠償第三者が妥当性検証を 福島県内の産業団体 仕組み作り国に求める
福島民報 2022/11/12
東京電力福島第1原発の処理水海洋放出で風評被害が発生した場合の賠償について、福島県内の産業団体などは東電の賠償対応の妥当性を第三者が検証する仕組みを国に求める方向で調整する。11日、県原子力損害対策協議会の代表者会議が福島市で開かれ、東電による新たな賠償基準の検討状況の説明に対し産業団体から要望が上がった。
会合でJA福島中央会の今泉寿仁常務は、原発事故に伴う農畜産業の風評賠償の業務に長く携わった経験を踏まえ、事業者側が請求しても適切に賠償されない事態が懸念されると強調。国が責任を持って東電に賠償させるべきだとし、「請求者と東電で意見が食い違った際、(東電の対応が適正かどうかを)第三者が検証する制度や仕組みを担保してほしい」と求めた。
経済産業省の須藤治福島原子力事故処理調整総括官は「基準が適切に運用されているかについても国として対応し、指導していきたい」と述べた。
今泉氏は終了後、報道陣の取材に「賠償請求に慣れていない小規模事業者も多くいるはずだ。第三者が間に入る仕組みがあれば、安心して請求できる」と語った。
会合では、東電の担当者が賠償基準の検討状況を説明し、協議会を構成する産業団体の代表者や市町村長らから意見や要望を聞いた。損害を賠償で穴埋めする前に、まずは風評を発生させないための万全の対策を講じるべきとの声も相次いだ。
東電は10月、業種別の統計データを用いて対象地域と全国の価格動向などを比較し、風評被害の有無を確認する案を中間報告として発表。関係団体との意見交換を続け、年内をめどに賠償基準を策定する予定だ。協議会は策定を前に、会合出席者の声や加盟団体から寄せられた意見を取りまとめて国や東電に伝える方針。