2022年11月7日月曜日

22m防波壁を作ったけれど どうなる?浜岡原発の再稼働

 テレビ静岡NEWSが浜岡原発の現状について報じました。
 ニュースの動画(6分41秒)で、改造部分について様々な画像を紹介しているので、そちらをご覧いただいた方が分かりやすいと思われます。
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22m防波壁を作ったけれど…どうなる?浜岡原発の再稼働 政府方針や周辺住民意識に変化も
                        テレビ静岡NEWS 2022/11/7
日本のエネルギー自給率は12%と低く、ウクライナ情勢などの影響で燃料が高騰する中、政府は原子力発電を推進する新たな方針を示した。東日本大震災の原発事故をうけて運転を停止した静岡県の浜岡原発は、再稼働できるのだろうか。津波対策で高さ22mの防波壁を整え、周辺自治体の住民意識も変化している。
 22m防波壁を作ったけれど…どうなる?浜岡原発の再稼働 政府方針や周辺住民意識に変化も (6:41)

◆政府要請で停止してから11年
岸田首相 「安全性の確保を大前提とした運転期間の延長など、既設原発の最大限の活用」
2022年8月 政府は将来的な電力の安定供給に向けて、新たな原発の建設や原発の運転期間延長を検討する方針を打ち出した。2011年の東日本大震災の東京電力・福島第一原発の事故の後、運転期間は「原則40年・最長60年」と定めた規定を見直し、60年を超えても運転できるようにする考えだ。
エネルギー政策の転換が示唆されるなか、静岡県内で注目されるのが「浜岡原発の再稼働」だ。
浜岡原発では5つの発電設備のうち1号機と2号機は運転を終了し、廃炉作業が進められている。
3号機(1987年運転開始)・4号機(1993年運転開始)・5号機(2005年運転開始)は、福島第一原発の事故のあと政府の要請で運転を停止し、11年が経過している。
3号機と4号機は現在、再稼働に向け国の新しい規制基準による安全審査が進められている。
中部電力 浜岡地域事務所・榊原浩之 専門部長:
福島の事故のようなことは二度と起こさないという決意のもと、安全性対策工事や所員の力量向上に努めてきました

◆安全対策に4000億円 防波壁は22m
   
【写真】浜岡原発に設置された高さ22mの防波壁 ↓
 https://news.yahoo.co.jp/articles/83b4511926018029d92c6b61c346b79a87d4f927/images/003
中部電力が総額4000億円をかけ行っている安全対策。その1つが「防波壁の設置」だ。
中部電力 浜岡地域事務所・榊原浩之 専門部長:
ここには内閣府のモデルで19mの津波が来るという評価があります。それをもとに評価したところ、(最大)21mくらいの津波が来るということで、その津波を食い止めるため、敷地の中に入れないため、22mの防波壁を設置しています
防波壁は、高さ22m 総延長1.6km。津波の衝撃に耐えられるよう地下10mから30mの硬い岩盤に打ち込まれ、特殊な鋼材で補強されている。
しかし中部電力は、2022年7月 国に対して巨大地震で発生する最大の津波の高さの想定を、現在の防波壁より高い22.7mと報告した。
中部電力 浜岡地域事務所・榊原浩之 専門部長:
前提条件を厳しくして、1000通り以上解析して出てきた数字です。22.7mという数字は規制委員会に提示して、現在審査を受けている状況です。

◆福島事故の原因“電源喪失”を防ぐために
福島の事故では地震や津波により複数の電源が喪失して、大規模な事故に繋がった。
こうした事故に備えるため浜岡原発では、津波の影響が心配されない海抜40mの高台に、緊急時に使える発電機を設置している。
中部電力 浜岡地域事務所・榊原浩之 専門部長:
外部電源が喪失した場合、まずは原子炉建屋の中にある非常用ディーゼル発電機で電源を供給することになりますが、非常用ディーゼル発電機が万一使えなくなった場合、ガスタービン発電機が自動起動して非常用機器に電源を供給することになります
ガスタービン発電機は全部で6台あり、最低7日間は発電可能だ。緊急時でも原子炉に注水する為のポンプを起動させ大事故を防ぐ。

◆原子力規制委が視察 まだ7割の項目が未審査
こうした安全対策について、2022年8月 審査を行っている国の原子力規制委員会の委員による視察が行われた。
原子力規制委員会・山中伸介 委員:
(防潮堤の)構造そのものは見た感じですが、非常に堅牢な構造をとらえている。鉄筋の太さも太く安定的な構造だという印象は持ちました。新しい取り組みについてよく把握できました
ただ、審査は長期化している。審査開始から8年半がたったが審査が進んだのは、10項目中3項目にとどまっている。

◆周辺市民の意識は変化 でも足元では…
 【図解】周辺3市の意識調査 赤枠が“再稼働容認” ↓
https://news.yahoo.co.jp/articles/83b4511926018029d92c6b61c346b79a87d4f927/images/010
そして審査に通った場合にも、再稼働には地元の同意が必要だ。
再稼働の是非について、原発がある御前崎市周辺の掛川市・菊川市・牧之原市で各市が市民を対象に調査した。「安全が確認できれば稼働」か「廃炉または停止」か尋ねた結果を、2011~13年と2022年で比較した。
3市とも「安全が確認できれば稼働」と答えた人の割合が過去の調査時より増え、菊川市では「廃炉または停止」と同率で並び、牧之原市では「安全が確認できれば稼働」の容認派が、「廃炉または停止」の慎重派を逆転した。
一方、浜岡原発が立地する御前崎市は「浜岡原発は意識調査にそぐわない」として、調査項目に加えていない。御前崎市民に聞いた。
御前崎市民 「(再稼働に)賛成ですね。津波対策をすれば、なんとかできると思う」
別の市民 「何とも言えないね。電気もほしいし、怖い部分(不安)もある」
別の市民 「反対です。海が汚れたりするので。福島のこともあるので」

◆6カ所の発電所の10基が再稼働
中部電力は、今後も国の審査に真摯に対応していくとともに、安全対策などの取り組みを地域や社会に積極的に発信し、再稼働について理解を求めたいとしている。
中部電力 浜岡地域事務所・榊原浩之 専門部長:
原子力発電所の再稼働を含めて、中長期的に原子力が社会に貢献できるように、緊張感をもって取り組んでいきたい
経済産業省・資源エネルギー庁によると、2022年9月現在、再稼働している原子炉は6発電所10基、原子力規制委員会から設置変更許可が出た原子炉が5発電所7基、浜岡原発3・4号機のように審査中は7発電所10基だ。
国のエネルギー政策の転換で重要度を増す浜岡原発の今後。私たちが将来にわたり安心して生活できるよう、迅速な審査と丁寧な説明が求められている。