2022年11月3日木曜日

「かなり厳しい規制となる」“原発運転認可”見直し案 原子力規制委

 政府は、原則40年、最長60年としている今の原発の運転期間をさらに延長したい考えです。原子力規制委は、運転延長に必要な審査を10年前倒し30年から行い、以後10年毎に行うことで60年超を実現する方向です。

 規制委の山中伸介委員長はANNの単独インタビューに対して、「かなり厳しい規制となる」と述べ、60年以降の原発については審査が格段に厳しくなるとの認識を示したということですが、問題はどんな納得性のある審査を行うのかであり、単に手続きを重ねるだけで最終的に60年以降の稼働を実現しようというのであれば無意味です。
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「かなり厳しい規制となる」“原発運転認可”見直し案 原子力規制委員会
                      テレビ朝日系(ANN) 2022/11/3
原子力規制委員会は、原発の運転期間が30年になった後は、10年を超えない期間ごとに設備の老朽化に関する評価を義務付けて認可する制度の見直し案を示しました。
 この見直し案は、政府が現在の原発の運転期間について原則40年、規制委が認めれば1回に限り最長で20年延長できる現在の制度を改正し、60年超の運転を可能とする方向で検討している事を踏まえたものです。
 今後、具体的な審査内容について議論し、年末までに法令改正に向けた枠組みを固めます
 規制委の山中伸介委員長はANNの単独インタビューに対して、審査では設計自体の古さも考慮する日本独自の基準も取り入れる考えを示したうえで、「かなり厳しい規制となる」と述べ、60年以降の原発については審査が格段に厳しくなるとの認識を示していました


原発 運転延長審査の10年前倒し案
                     FNNプライムオンライン 2022/11/3
原発の最長60年とする運転期間の延長をめぐって、原子力規制委員会は、運転延長に必要な審査を10年前倒しして行うなどの変更案を確認した。
政府は、原則40年、最長60年としている今の原発の運転期間を延長する方針。
これを受けて、原発の安全を管理する原子力規制委員会は、今は運転期間が40年を超える原発に1回のみ義務付けられている延長審査を、10年前倒しして、30年を過ぎると10年以内ごとに義務付けていく方針を確認した。
審査をクリアすれば、60年を超えた運転が可能になる。
この変更には法改正が必要で、政府は年内までにとりまとめて、2023年の通常国会に提出したい考え。


原発劣化、評価を厳格化 電力各社は負担増
                            産経新聞 2022/11/2
運転期間が60年を超えた原子力発電所の安全をどう確保していくのか。原子力規制委員会が2日、この議論に一つの方向性を示した。素案では運転延長に必要な認可時期を現行よりも10年前倒し、以降最長10年ごとに審査と認可を繰り返す制度を導入する。米国のような80年運転の実現に道筋が示されたとはいえ、「最長10年ごと」という認可ルール変更の狙いは何か。(白岩賢太)
   全国の運転可能原発の運転年数 ↓
  https://news.yahoo.co.jp/articles/6017525ba0d014b317ffd334973708b5ebc69a0c/images/000
「経年化が進んだ原子炉については審査に合格しづらくなるような制度設計が必要なのではないか」。2日の規制委会合で、委員から長期間運転した原発について、現行よりも厳しく審査する仕組みが必要との指摘が上がった。
現行のルールでは、運転開始後30年の時点で、電力会社が10年ごとに劣化具合を調べる「高経年化技術評価」の実施と長期運転計画の策定を求めている。さらに運転延長する場合は40年よりも前に「運転延長認可」制度に基づき、規制委の審査を受ける必要がある。新制度案では電力会社に求める2つのルールを一本化し、運転開始から30年を起点に最長10年の間隔で2つの審査を行うことが提示された。
「最長10年」と明記した理由について、事務局の原子力規制庁は原子炉の劣化状態や保守管理の実施状況、個別の原子炉の状況などを勘案し、「前回の審査から10年を経過するよりも早いタイミングで劣化具合が評価できるよう考慮した」と説明。仮に5年おきで審査した場合、「原発設備の経年変化が見えにくい」(同庁担当者)という事情もある。
逆に20年おきの審査で運転延長を認めた場合、規制が緩くなったとの印象を与えかねない。規制委の山中伸介委員長は「現行よりもはるかに厳しい規制となる」との認識を示したが、新制度が導入されれば電力各社の負担は大きくなる。
規制委の方針について、電力会社の担当者は「60年超運転に道が開けたとはいえ、審査のたびに巨費を投じて安全対策を講じなければならない。費用対効果の面で60年超は現実的なのか。難しい経営判断となる」と本音を漏らした。