2021年12月22日水曜日

福島原発の汚染水放出の工事計画申請 東電

 東京電力は21日、福島原発でたまり続ける汚染水を、23年春ごろの放出開始目標に合わせ、同年4月中旬に関連設備を完成させる計画の審査を原子力規制委に申請しました。
 着工には規制委の認可のほか県と2町の同意が必要ですが、漁業関係者は「漁業者が反対する中で進められるのは残念」と不快感を示しました。
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福島第1原発の処理水放出へ工事計画申請 規制委に東電
                        河北新報 2021年12月22日
 東京電力は21日、2023年春ごろを予定する福島第1原発の処理水の海洋放出に向けた設備工事の実施計画を原子力規制委員会に申請した。審査には少なくとも2~3カ月かかる見通し。規制委の認可と福島県、大熊、双葉両町の事前了解を得た後に着工する。工事の開始目標は22年6月ごろ、設備の使用前検査を含めた完了目標は23年4月中旬ごろとした。
 東電福島第1廃炉推進カンパニーの松本純一執行役員は記者会見で「今後は申請した計画について地元や関係者への丁寧な説明を尽くし、必要があれば修正にも取り組む」と話した。

県漁連会長は不快感示す
 放出前に処理水の放射能濃度が国の規制基準値以下であることを確かめる「サンプルタンク」は既存の保管タンクを転用する形で計30基を用意する。検査後の処理水は構内に総延長約1・5キロの配管を新たに引き回して5、6号機側の取水口近くまで移送する。
 処理水に含まれる放射性物質トリチウムは除去が難しいため、新設する計3台の海水ポンプを使って配管内で100倍以上に薄める。世界保健機関(WHO)の飲料水基準の7分の1にし、今後掘削する予定の海底トンネルを通して沖合約1キロで放出する。
 第1原発の処理水の保管量は、実質的な保管上限の約140万トンに対し16日時点で約129万トン。東電は満杯となる時期を「23年春ごろ」としている。工事が計画通りに進まなかったり、想定以上の降雨があったりして容量が足りなくなった場合は敷地内でのタンク増設を検討する。
 計画申請に関し、福島県漁連の野崎哲会長は「漁業者が反対する中で進められるのは残念」と不快感を示し、「(国や東電には)説明を尽くすよう求めていく」と語った。内田広之いわき市長は「関係者の合意形成が不十分なままプロセスを進めれば地元の感情を逆なでする」と述べ、丁寧な対応を要望した。


放出設備完成、23年4月目標 東電、処理水計画の審査申請
                            共同通信 2021/12/22
 東京電力は21日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)でたまり続ける処理水を、海底トンネルから海に放出する計画の審査を原子力規制委員会に申請した。政府と東電が掲げる2023年春ごろの放出開始目標に合わせ、同年4月中旬に関連設備を完成させる工程を示した。
 当初目指していた今年9月ごろの審査申請から約3カ月遅れとなったが、東電の松本純一処理水対策責任者は「達成できない工程ではない」と述べた。東電は審査に約6カ月、海底トンネルなどの工事に約10カ月かかるとみている。
 着工には規制委の認可のほか、県と2町の同意が必要。漁業関係者は放出に反発を続けている。