2021年12月30日木曜日

30- 不祥事続いた1年「深く反省」 東電新潟本社代表

 東電新潟本社の代表と柏崎刈羽原発の所長は24日の会見で、テロなどを防ぐ核物質防護体制不備を含め、不祥事が相次いで発覚したこの1年を振り返り、橘田代表は「地域をはじめ県民に大変な不安をおかけした1年だったと改めて深く反省している」と、また稲垣所長は「矢のような3カ月間だった。安全最優先の意識を所員に浸透させている」と語りました。

 その後記者との1問1答が行われました。
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不祥事続いた1年「深く反省」 東電新潟本社代表と柏崎刈羽原発所長
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 東京電力新潟本社の橘田昌哉代表と柏崎刈羽原発の稲垣武之所長は7号機の消火配管手抜き溶接を発表した24日の会見で、テロなどを防ぐ核物質防護体制不備を含め、不祥事が相次いで発覚したこの1年を振り返った。橘田代表は「地域をはじめ県民に大変な不安をおかけした1年だったと改めて深く反省している」と語った
 同原発では今年、核防護体制の不備や、終了していたとした安全対策工事の未完了問題が判明したほか、6号機での手抜き溶接、さらに7号機でも同様の手抜き溶接が見つかるなど失態が相次いだ
 橘田代表は「深く反省している。来年は改革に向けた取り組みを積み重ね、行動と実績で地域の皆さまに信頼と評価をいただけるようにしたい」と述べた。
 10月1日付で就任した稲垣所長は「矢のような3カ月間だった。安全最優先の意識を所員に浸透させている」と話した。
 現在も同原発所員との対話を繰り返しているとし「若手社員を中心に問題意識を踏まえた前向きな意見ももらっている。所員一人一人が何をやるべきか、役割を自覚していることを日々実感している」と語った。

 一方、6号機の原子炉建屋に直結する大物搬入建屋を支えるくいが損傷していた問題について、稲垣所長は「特定のくいに損傷が集中している原因の特定に時間をかけている」と調査を続けていることを説明した。東電は6号機の調査結果を基に、ほかの設備のくいの確認や建物の点検方法への反映を検討しているとした。

◎決めたことやる会社に
 東京電力柏崎刈羽原発7号機の手抜き溶接工事を発表した24日の東電の記者会見で、新潟本社の橘田昌哉代表、同原発の稲垣武之所長との主な質疑は次の通り。
 -今回の7号機の手抜き溶接の深刻さをどう受け止めているか。
 橘田氏 決められたことがきちんとできていなかったことを重く受け止めている。原発の安全な管理運営を脅かすものだ。決められたことをきちんとできる会社にまずなるのが地域の皆さまに安心していただくために必要だ。再発防止対策に取り組んでいく。
 稲垣氏 品質を満たしていないのは非常に深刻に受け止める。消防、溶接について優先的に社員の力量、知見を向上させたい。
 -7月の記者会見の段階では6号機で30カ所の手抜き溶接工事が見つかり、7号機は見つかっていなかった。調査の進捗(しんちょく)が逆転した理由は何か。
 橘田氏 7号機の方が圧倒的に工事が進んでいて基本的に終わっていた。まずは7号機を一通り確認することを優先して調査した。
 -業者はなぜ手抜き工事を行ったのか。
 橘田氏 (元請けの)東京エネシスによる聞き取りでは、現場にガスボンベを出し入れすることと、(不活性化の)ガスを流すことに時間がかかることが原因ということだった。背景には作業上の悩みがあった。受け止める努力をしなければいけない。
 -東電は7号機の再稼働を目指している。工期を急いだのか。
 橘田氏 工程に関しては当時、東京エネシスから具体的な相談はなかったと確認している。毎週、東京エネシスを含めて工事の調整会議をしているが、その中で指摘はなかった。(再稼働に間に合わせるためという)認識はない

◎さらに厳格な管理必要
 -東電はなぜ溶接の現場を確認しなかったのか。
 稲垣氏 性能確認に大きな責任があるので、耐圧機能があるかなどについては立ち会いをして確認していた。溶接そのものは(東京エネシスからの)報告書を見て適切にやっていると判断してきた。今回の事案を踏まえ、さらに厳格な管理が必要だったというのが一つの反省点だ。
 -再発防止対策で溶接の手順の妥当性を東電が確認できるのか。
 稲垣氏 確かに溶接は関わってこなかった。所員の知識、技量を上げて対応すれば不可能ではないと考えている。
 -2022年1月から再施工を行うが、工事の終了予定は。
 稲垣氏 箇所が多く、工程を精査しているので今の段階では申し上げられない。
 -発注者の東電も元請けも、作業は現場に丸投げだ。不正を行う業者を排除しきれるのか。同じ事態は繰り返されるのではないか。
 橘田氏 われわれには原発を安全に管理運営していかなければならない大きな義務がある。協力企業の作業員を含め、原発に関わる一人一人に原発という施設の重要性を伝えていきたい。
 -工事が多く、東電が原発の業務を把握できなくなっているのではないか。
 稲垣氏 東電は基本的に改造工事や点検作業などは発注先の企業に任せてきた歴史がある。直接手で触ってこなかった。その点は昔から弱かった部分だ。以前は建設を通じて現場を見る機会が今より多かった。所員が適切に現場を見て、一部の作業は直営で実施するなどの取り組みを進めたい。
 -東電が目指す原発再稼働への道のりは遠のいている。
 橘田氏 発電所の再稼働は東電としては必要だと思っている。再稼働に期待する社会の方がいるのも確かだ。ただ、地域の皆さまに安心してもらうために一つ一つの課題を正面から受け止めて解決していく。