2021年12月24日金曜日

柏崎刈羽原発くい損傷問題 “詳しい調査を” 県の技術委員会

 23日、新潟県の「核セキュリティ専門家評価委員会」初めて開かれ、柏崎刈羽原発6号機の施設の地下で鉄筋コンクリート製のくいが損傷していたのが見つかった問題が取り上げられました。

 委員からは、7号機の大物搬入建屋を解体した際に詳しい調査をせずにくいを処分した東電の対応が批判され、残されている写真も貴重なデータになりうるとして提出を求められました。
 会合の後、取材に応じた中島健座長は「東京電力にはきちんと調査をしてデータを出してもらいたい」と話しました。
 NHKとTeNYテレビ新潟の記事を紹介します。
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原発くい損傷問題 “詳しい調査を” 県の技術委員会
                       NHK 新潟NEWS WEB12月23日
東京電力柏崎刈羽原子力発電所6号機の施設の地下で鉄筋コンクリート製のくいが損傷していたのが見つかった問題が23日日、県の技術委員会で取り上げられ、委員からは詳しい調査を求める意見などが出されました。
損傷が確認されたのは、柏崎刈羽原発6号機の原子炉建屋に隣接する「大物搬入建屋」と呼ばれる施設を地中で支えるくいで、8本のうち1本が損傷していることを先月、東京電力が公表しました。
この問題について23日開かれた県の技術委員会では、東京電力の担当者が建物と近い部分でくいの鉄筋の変形や破断が確認されたことを説明しました。
これに対して、浅田義浩委員は「コンクリートのひび割れはどういう方向にあったかなど詳細なデータをまとめてほしい」と要望し、田村良一委員は「原発は何か起きたときの影響が大きいので、今後は、上部の建物に異常がない場合でも調査することを検討してほしい」と求めました。
また、豊島剛志委員は隣の7号機を建て直した際の東京電力の対応に触れ、「大物搬入建屋を解体する際に地震の影響を調べておく必要があった」と述べ、詳しい調査をせずに処分した東京電力の対応を批判した上で、残されている写真も貴重なデータになりうるとして提出するよう求めました。
会合の後、取材に応じた中島健座長は「安全上重要な建物は構造が異なり、しっかりしていると認識しているが、東京電力にはきちんと調査をしてデータを出してもらいたい」と話していました。
東京電力は、現在、6号機の詳しい調査を行っていてその結果を踏まえて今後の対応を検討することにしています。

原子力発電所の原子炉建屋やタービン建屋など安全性に関わる重要な建物は国の規制基準で、最も高い耐震性のレベルを求められる「Sクラス」とされ、かたい岩盤の上に直接、建物を設置し、くいは使用されていません。
一方、そのほかの建物はくいで支える構造になっていて、今回、くいの損傷が見つかった「大物搬入建屋」と呼ばれる施設は、福島第一原発事故の前の基準では「Sクラス」とされていませんでした。
原発事故後の新たな規制基準では、「Sクラス」の耐震性が求められるようになり、耐震補強の工事のなかでくいの損傷が見つかりました
東京電力は、平成19年の中越沖地震のあと、「Sクラス」の建物だけでなく、くい構造の建物も地上の設備の点検の結果などから異常はないことを確認し、当時の規制当局も問題なしとしています。


柏崎刈羽原発で相次いだ不祥事うけ 第三者委員会が初会合 委員からは厳しい声も
                        TeNYテレビ新潟 2021/12/23
柏崎刈羽原発で相次いだ核セキュリティーにからむ不祥事を受け、その改善状況を分析する第三者委員会が12月23日、初めての会合を開きました。委員からは厳しい声が上がっています。
12月23日、初会合を開いたのは「核セキュリティ専門家評価委員会」です。柏崎刈羽原発で起こった一連の不祥事をきっかけに東京電力が設置しました。
〈東京電力・柏崎刈羽原発/稲垣武之所長〉「根本分析、改善措置活動の傾向を取りまとめました。原子力部門の抜本的な改革に取り組んでいるところでございます」
柏崎刈羽原発ではことし1月、社員が他人のIDカードを使って中央制御室に入る不正が発覚。さらに侵入者を検知する設備が機能していなかったこともわかり、テロ対策の不備が次々に明らかになりました。
これらの不祥事を受け、東京電力は改善計画を含む報告書を原子力規制委員会に提出しています。
「核セキュリティ専門家評価委員会」はその改善状況を客観的に評価するため、第三者の専門家で構成されています。
12月23日は委員がセキュリティー上の不備があった点などを視察しました。
〈核セキュリティ専門家評価委員会/板橋功委員長〉「いろんな対策が積み重なって結局、もとの対策もできなかったというのが多々見えたわけですね。もうちょっと地に足をつけた改善をしていかないといけない」
別の委員からはこんな厳しい声も・・
〈黒木慶英委員〉「現場をいろいろとご説明いただきました。率直な感想を申し上げますと非常に事案としては単純な事案です。単純な事案ほどこれに対する対応は極めて難しいと思っております」
〈野呂尚子委員〉「この(核セキュリティー)文化の醸成というのはすごく時間のかかるものです。安全文化もそうでしたけれども核セキュリティー文化もすぐにできるものではありません」
この委員会は年に2回、評価の進捗状況を東電の社長に報告します。最初の報告は約半年後になる予定です。