2021年12月17日金曜日

核のごみ処分場「地層処分 安全なのか」 NUMOが説明会

 核のごみの最終処分場の選定を進める原子力発電環境整備機構と経済産業省資源エネルギー庁は14日夜、ひたちなか市住民向け説明会(茨城県では3回目)を開きました。

 参加した住民ら23)からは「ガラス固化体を金属で覆うオーバーパックはそんなに長い年数、持つのか」「もっといい処分方法が今後出てくるのでは」「安全と言われても政府が信用できない」少なくとも処分地が決まるまでは原発を止めるべきだ」等の否定的な意見が出されました。
 高レベル放射性廃棄物を埋設して数万年保管するという「地層処分」の適地については、日本学術会議が2012年9月に「地震や火山活動が活発な日本列島で、万年単位で安定した地層を見つけるのは難しい。地中深くに埋める国の最終処分計画は安全とは言えない」と結論付けています。
     ⇒1.2.16)核のゴミ対策の明確化を再稼動の条件にと 学術会議
 それに対して安倍政権が17年7月に公表した「地層処分適地地図」では「茨城県内では、活断層やガス田があるとされる県北や県南の一部を除き、ほぼ全域が適地であるなどするもので、学会の見解とは相反するものでした。 
     ⇒17.7.29)「核のごみ」処分場選定に向け 初の全国地図を公表
 これでは住民に信用されないのは当たり前です。
           ~~~~~~~~~~~~~~~~~~
核のごみ処分場 「地層処分 安全なのか」 NUMOがひたちなかで説明会
                        東京新聞 2021年12月16日
 原発の使用済み核燃料に由来する高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定を進める原子力発電環境整備機構(NUMO=ニューモ)と経済産業省資源エネルギー庁は十四日夜、ひたちなか市のワークプラザ勝田で住民向け説明会を開いた。参加者からは、高レベル廃棄物を地中深くに半永久的に埋める「地層処分」の安全性を問いただす声が相次いだ。(長崎高大)

◆県内ほぼ「適地」
 高レベル廃棄物は、使用済み核燃料を再処理してプルトニウムや燃え残りのウランを取り出した廃液を、ガラスと混ぜて固化処理したもの。人間が近づけば即死するほど放射能が高い。県内では、日本原子力研究開発機構の東海再処理施設(東海村、廃止措置中)が八百八十本のガラス固化体を製造する計画で、これまでに三百二十九本分を固化処理済みだ。
 国は二〇一七年七月、最終処分地としての適性の有無を色分けして示した「科学的特性マップ」を公表。県内では、活断層やガス田があるとされる県北や県南の一部を除き、ほぼ全域が「適地」とされた。NUMOは一八年五月以降、全国各地で説明会を開催しており、県内では一八年五月の水戸市、一九年十月のつくば市に続き三回目。
 この日の説明会では、NUMO職員が地層処分のリスクと対策、処分地選定に向けたプロセス、各国の状況などを解説。自然災害や戦争などの影響を受けるリスクが高い地上で保管し続けることは現実的でなく、人間の直接管理を必要としない地層処分が最も安全で実現可能な処分方法だと理解を求めた。

 その後、参加した住民ら二十三人は四グループに分かれて職員と意見交換。数万年以上にわたって必要となる安全確保について、「(ガラス固化体を金属で覆う)オーバーパックはそんなに長い年数、持つのか」「もっといい処分方法が今後出てくるのでは」などの疑問が多く上がった。
 「人間がある程度管理できる状況の方が安全なのでは」との質問には、職員は「数万年という長期にわたって地上施設を維持管理する必要があり、将来世代に負担を負わせ続けることになるため、われわれの世代で完結させるべきだというのが国際的にも共通した認識」などと説明した。

◆原発止めるべき
 地層処分そのもの以外に関しても、「そもそも原発を止めて再生可能エネルギーに投資すべきだ」との主張のほか、新型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備を巡る防衛省のデータに誤りがあった問題などを挙げ「安全と言われても政府が信用できない」と訴える意見が出た。
 説明会後、佐藤英一さん(75)=ひたちなか市=は「具体的な処分地が決まっていないのに、どこかが受け入れることが前提のような説明で、あやふやだと思った」と指摘。「原発が動く限り廃棄物は出続ける。少なくとも処分地が決まるまでは原発を止めるべきだ」と求めた。
 県外から参加した男子大学生(22)=さいたま市=は「現状では地層処分しか選択肢がないのかもしれないが、今後新しい技術が出てきた時に、別の選択ができるような態勢は維持してほしい」と話し、「若い世代の参加者が少なかったので、大学などでも開催して」と要望した。
 最終処分場の選定を巡っては、北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村が昨年、活断層の有無などを調べて立地の可能性を探るNUMOの「文献調査」に全国で初めて応募し、二年間程度の調査が始まっている。両自治体には最大二十億円の交付金が支給される。