2023年3月27日月曜日

27- 東海第2原発で初の住民避難訓練 茨城県ひたちなか市

 東海第2原発の過酷事故を想定した広域避難計画策定に向け、茨城県ひたちなか市は25日、半径5キロ圏内PAZの長砂地区住民らを対象とした避難訓練を実施しました。
 原子力災害に対応した訓練は初めてで、訓練には同地区住民や市立前渡小児童、国、県などの関係者計170人が参加しました。
 東海第2原発2年前に水戸地裁前田英子裁判長)が、「実現可能な避難計画や防災体制が整えられているというにはほど遠い」として運転を認めない判決を言い渡しました(判決の効力は確定するまで生じません)
 参考までに判決時の記事を掲載します。
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原子力災害、初動を確認 東海第2想定し初の住民避難訓練 茨城県ひたちなか市
                         茨城新聞 2023年3月26日
日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村白方)の過酷事故を想定した広域避難計画策定に向け、茨城県ひたちなか市は25日、即時避難が必要な半径5キロ圏内(PAZ)の長砂地区住民らを対象とした避難訓練を実施した。原子力災害に対応した訓練は初めてで、児童の集団避難と保護者への引き渡し訓練などを通して初動対応を確認した。
訓練には同地区住民や市立前渡小児童、国、県などの関係者計170人が参加。運転中の東海第2で常用の給水系が停止して電源を喪失し、原子炉への注水機能も失ったとの想定で行われた。
東海第2から約75キロ地点で、同地区の子どもたちが通う同小には児童19人と保護者27人が集まり、日本原子力研究開発機構や市職員から、放射線や事故時に甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の説明を受けた。
その後、児童はバスに乗り、約45キロ離れた模擬避難所の市文化会館に向かった。保護者も自家用車で後から駆け付け、引き渡しまでの手順を確認した。

同小6年の斎藤駿斗さんは「避難する事態になっても今日学んだことを生かしたい」と話した。迎えに来た父正彦さん(44)は小中学生の子ども4人がいるため、「学校によって避難所が異なり、距離が離れていたら迎えに行けるか不安はある」と述べた。
同地区の住民32人は一時集合場所となった長砂転作推進センターに集まり、バスで集団避難。福祉車両で要支援者に見立てた市職員の搬送や災害対策本部の運営訓練などを行った。
大谷明市長は「今回は初動における基本的な動きを確認する訓練。課題を抽出し、整理しながら計画策定を進める」と語り、計画完成時期については、「現時点でめどを申し上げられる状況にない」とした。

(参考記事)
東海第2原発の運転認めず、水戸地裁 避難計画に不備
                         共同通信 2021年3月18日
日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)は安全性が確保されていないとして、茨城県など9都県の住民が同社に運転差し止めを求めた訴訟で水戸地裁は18日、「実現可能な避難計画や防災体制が整えられているというにはほど遠い」として運転を認めない判決を言い渡した。原電は控訴する方針。
原電は22年12月をめどに安全性向上対策工事を終え、早い段階での再稼働を模索していた。判決の効力は確定するまで生じない。
前田英子裁判長は判決理由で、約94万人が住む原発から半径30キロ圏内の県内14市町村のうち、広域避難計画を策定済みなのは5自治体にとどまり、策定済みの避難計画にも検討課題があり、安全性に欠けるとして「原告らの人格権が侵害される具体的危険がある」と指摘した。地震や津波の想定、建物の耐震性については「問題があるとは認められない」と判断した。
東京電力福島第1原発事故以降、運転差し止めを命じた仮処分決定はあるが、訴訟の判決では関西電力大飯原発3、4号機の再稼働を認めなかった14年5月の福井地裁に次いで2例目。
東海第2原発は1978年に稼働開始した。運転を停止したまま18年11月、運転期限の40年を迎えたが、原子力規制委員会が経年劣化を考慮しても問題なく設備を維持できるとして、20年の運転延長を認めた。原電は防潮堤の建造など、福島事故後に策定された新規制基準に基づく安全対策工事を進めている。〔共同〕