2023年3月24日金曜日

東電が5件の上訴を取り下げ 福島原発事故 南相馬の集団訴訟他

 東電は、3月(以前)に判決が言い渡された4つの裁判いわき市民訴訟の第2審、南相馬市の小高区と鹿島区の住民が起こした2つの裁判、岡山県に避難した住民らが起こした裁判上訴をしないことを決めました
 また南相馬市原町区の住民140人が東電に対し損害賠償を求めた南相馬訴訟で、東電最高裁への上告を7日に取り下げ東電に約2億7900万円の支払いを命じた仙台高裁判決が確定しました

 上告しない理由について東電は「中間指針第5次追補が策定され、被害者へのお支払いを早期に進めるべきであることなど総合的に勘案した」としていますこれまで原陪審が定めた「中間指針」は不十分なので改定するように弁護団は繰り返し求めましたが、原陪審は無視してきた経過がありました。
 しかし7つの集団訴訟で最高裁が昨年、東電の上告を退けて中間指針を上回る損害賠償を認めたことで、ようやく中間指針の第5次改定が行われました(第4次までの改定は些末な事柄でした)。そもそも「中間指針」は東電や国が負うべき最低限度の賠償額を定めているのですが、東電は傲慢にも事実上その額を上限として扱ってきました。
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東電が上告取り下げ 福島原発事故 南相馬集団訴訟
                       しんぶん赤旗 2023年3月23日
 東京電力福島第1原発事故で避難を余儀なくされ故郷の変容を強いられたとして、福島県南相馬市原町区の住民140人が東電に対し損害賠償を求めた南相馬訴訟で、東電が最高裁への上告を取り下げたことが22日、わかりました。取り下げは7日付。東電に約2億7900万円の支払いを命じた仙台高裁判決が確定しました。
 東電によると、同種の集団訴訟で上告を取り下げたことで確定したのは異例といいます。先行する七つの集団訴訟では最高裁が昨年、東電の上告を退けて、国の賠償某準である「中間指針」を上回る損害賠償を認めた判決が確定しています。
 取り下げた理由について東電は「中間指針第5次追補が策定され、被害者へのお支払いを早期に進めるべきであることなど総合的に勘案した」としています
 昨年11月25日にあった南相馬訴訟の仙台高裁判決は、東電の対応について「経営上の判断を優先させ」「結果回避を怠り深刻な原発事故を発生させた重大な責任がある」と厳しく指弾し、慰謝料の増額要素にしました。
 判決では、避難を余儀なくされた慰謝料避難生活の継続による慰謝料、故郷の変容による慰謝料の三つを認定。一審で請求が棄却された、津波で被災した地区の原告にも三つの慰謝料を認めるなど、一審を上回る賠償を命じました


東京電力が4つの集団訴訟について上訴しない方針(福島)
                          KFB福島放送 2023/3/23
東京電力は、損害賠償の支払いが命じられた原発事故をめぐる4つの集団訴訟の判決について、上告・控訴をしない方針を明らかにしました。
東京電力が方針を明らかにしたのは、いわき市民訴訟の第2審、南相馬市の小高区と鹿島区の住民が起こした2つの裁判、岡山県に避難した住民らが起こした裁判で、3月に判決が言い渡された4つの裁判です。
いずれも国の責任は認めず、東電に損害賠償の支払いを命じる判決が、出されていたものです。
東京電力は、「中間指針の見直しや被害者への支払いを早期に進めるべきであることなどを総合的に勘案した結果」としています。


原発事故の追加賠償額は約3854億円 国の賠償基準見直しで東京電力 支援機構に資金援助申請
                           福島テレビ 2023/3/23
原発事故に伴う国の賠償基準は、2022年12月9年ぶりに見直された。
これを受け東京電力は、県内23市町村に住んでいた子どもと妊婦以外の人には、既に支払われた12万円を除く8万円を追加で賠償。
国の基準には含まれていない県南エリアなど10の市町村についても加える計画で、対象は148万人に上ると試算していた。
そのなかで、3月22日追加賠償の額を約3854億円と見積もった上で、原子力損害賠償・廃炉等支援機構に資金援助を申請したことを公表した。
追加賠償について、東京電力は3月中に具体的な支払い手続きを示すとしている