川内原発1、2号機の再稼働差し止め請求の控訴審は、火山リスクを巡るもので「火山噴火の予知は出来ない」という火山学者の常識に反し、巨大噴火は予知できることを前提とした「火山ガイド」の妥当性が争われました。
福岡高裁は「巨大噴火の頻度は低く、危険性が相応の根拠をもって示されない限り、再稼働は容認される」と判断しましたが、それは国際的な「予防原則」に反するもので、逆に「噴火しないことを証明」する責任は再稼働を強行する発電所側にあります。
こうした転倒した判断が司法の場で常用されるのは問題です。
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川内原発 設置許可取り消し認めず――福岡高裁判決、火山リスクの評価基準めぐる住民訴訟
南日本新聞 2025/08/27
九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の火山リスクを巡り、新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は誤りだとして、住民らが国に原発設置許可の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(松田典浩裁判長)は27日、一審福岡地裁判決に続き、住民側の訴えを退けた。
主な争点は、規制委の審査基準「火山ガイド」や適合性審査の合理性だった。住民側は噴火の時期や規模を予測するのは困難であるのに、予測を前提とした火山ガイドは不合理で、噴火が起きる可能性も低頻度ではないと主張していた。
川内原発は2015年8月、福島第1原発事故後に全国で初めて1号機が再稼働した。16年6月に周辺住民らが火山リスクの検討が不十分だとして、国を相手に設置許可の取り消しを求める訴訟を福岡地裁に提訴。19年6月に棄却され、福岡高裁に控訴した。
川内原発の設置許可取り消し、2審も認めず 福岡高裁が控訴棄却
毎日新聞 2025/8/27
九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)が新規制基準に適合するとした国の判断は火山リスクの検討が不十分だとして、鹿児島県や熊本県の住民らが原子力規制委員会の設置変更許可を取り消すよう求めた行政訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(松田典浩裁判長)は27日、取り消しを認めなかった2019年6月の1審・福岡地裁判決を支持し、住民側の控訴を棄却した。
川内原発1、2号機は、それぞれ1984年と85年に営業運転を開始。11年の東京電力福島第1原発事故を受けて運転を停止したが、14年に規制委の新規制基準の適合性審査に全国の原発で初めて合格し、翌15年に再稼働した。
訴訟は鹿児島、福岡、東京など10都県の33人が16年6月に提訴。新規制基準に基づき、規制委がまとめた指針「火山影響評価ガイド」の内容や審査の合理性が争点となった。
1審は火山ガイドについて「科学的知見が確立していない疑いが残る」と疑問を投げかけたものの、不合理とはいえないと指摘。破局的噴火(巨大噴火)の頻度は低く、危険性が相応の根拠をもって示されない限り、合理的に予測される範囲を超えてまで対策を講じていなくても容認されると判断した。国の設置変更許可を違法とする証拠はないとして請求を棄却したため、住民側が控訴していた。
住民側は控訴審で、川内原発の160キロ圏内には五つの巨大噴火の跡(カルデラ)があるとし「巨大噴火のリスクを十分検討していない」と主張。国側は巨大噴火が差し迫った状態ではないなどとして控訴棄却を求めていた。【森永亨】
川内原発 設置許可取り消し認めず――福岡高裁判決、火山リスクの評価基準めぐる住民訴訟
南日本新聞 2025/8/27
九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の火山リスクを巡り、新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は誤りだとして、住民らが国に原発設置許可の取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁(松田典浩裁判長)は27日、一審福岡地裁判決に続き、住民側の訴えを退けた。
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主な争点は、規制委の審査基準「火山ガイド」や適合性審査の合理性だった。住民側は噴火の時期や規模を予測するのは困難であるのに、予測を前提とした火山ガイドは不合理で、噴火が起きる可能性も低頻度ではないと主張していた。
川内原発は2015年8月、福島第1原発事故後に全国で初めて1号機が再稼働した。16年6月に周辺住民らが火山リスクの検討が不十分だとして、国を相手に設置許可の取り消しを求める訴訟を福岡地裁に提訴。19年6月に棄却され、福岡高裁に控訴した。