柏崎市議会、経年累進課税案を可決 使用済み核燃料の搬出促進
新潟日報 2020/04/22
新潟県柏崎市議会は21日、随時会議の本会議を開き、東京電力柏崎刈羽原発の使用済み核燃料に市が課す「使用済み核燃料税」の経年累進課税化を盛り込んだ条例案を賛成20、反対5の賛成多数で可決した。保管期間に応じて税額を増やす条例の成立は全国で初めて。市は総務相の同意を得た上で10月1日の施行を目指す。
経年累進化は使用済み核燃料の県外搬出を促す狙い。新条例は基本税率を現行の燃料1キロ当たり年間480円から620円に引き上げ、保管期間が15年以上の燃料に対して1年経過ごとに50円ずつ加算する。
加算の開始は市長と東電が「搬出可能」との認識で一致した翌年。加算は5年が上限で税率は最大870円となる。
現行の法定外目的税から、使途を限定しない法定外普通税に改め、増収分は新たに教育や福祉、定住人口の確保などに充てる。
採決に先立つ討論では、5会派が賛成討論し「長期保管という異常な状態の解消に資する」「増税分は新型コロナウイルス対策などに充ててほしい」などと述べた。反対の2会派は、桜井雅浩市長が経年累進化を柏崎刈羽6、7号機の再稼働の「前提条件」と発言したことを受け、「再稼働を進めることにつながる」と懸念を示した。
桜井市長は閉会後、報道陣に「正直ほっとした。全議員から賛成を頂けなかったのは私自身の不徳だ」と述べた。今後については「総務省とも2年間やりとりを重ねてきた。スムーズに同意が得られるよう期待する」と述べ、10月の課税開始は可能との認識を示した。市は5月の大型連休明けにも総務省に協議書を提出する予定。