福島第一原発のトリチウム汚染水の扱いについて、福島民報社は3月31日~4月3日間に福島県内59市町村の首長を対象にアンケートを実施しました。
政府小委員会による政府への提言内容を含め、処分方法に関する住民理解が「深まっていない」「どちらかと言えば深まっていない」と回答したのは合わせて45市町村(76・2%)でした。
また具体的な放出場所について、「福島県内のみ」としたのは2村(3・3%)で、39市町村(66・1%)は「その他」を選びました。
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処理水処分、住民理解「不十分」 福島県内首長調査に45市町村
福島民報 2020/04/06
東京電力福島第一原発で増え続ける放射性物質トリチウムを含んだ処理水の扱いについて、福島民報社は県内五十九市町村の首長を対象にアンケートを実施した。政府小委員会による政府への提言内容を含め、処分方法に関する住民理解が「深まっていない」「どちらかと言えば深まっていない」と回答したのは合わせて四十五市町村(76・2%)に上った。国や東電によるさらなる情報発信や丁寧な説明の必要性が改めて浮き彫りとなった。
アンケートは三月三十一日から四月三日にかけて行った。小委は処分方法のうち、大気への水蒸気放出と海洋放出を「現実的な選択肢」とした上で、監視体制構築など技術的な面から「海洋放出の方がより確実に実施できる」と政府に提言している。
処分方法の内容に関し、住民の理解が深まっているかどうかについての回答は【表1】の通り。「深まっている」はゼロで、「どちらかと言えば深まっている」は飯舘村(1・6%)、「深まっていない」は二十九市町村(49・1%)、「どちらかと言えば深まっていない」は十六市町村(27・1%)、「どちらとも言えない」は十二市町村(20・3%)、福島市は無回答(1・6%)だった。
「深まっていない」としたうち、伊達市の須田博行市長は「処分方法やどこの場所から処理水を放出するかといった議論はなく、福島から海洋放出されれば、風評被害の再燃が懸念される」と指摘。その上で「広域的に処分への理解が得られるよう議論がこれから進められるべきと考える」との見解を示した。福島第一原発が立地する双葉町の伊沢史朗町長は「住民の不安解消となる情報の発信が不十分」との理由を挙げた。
白河市の鈴木和夫市長は「それぞれの処分方法の安全性や議論内容などの情報発信が必ずしも十分とは言えない」との考えを示し、「どちらかと言えば深まっていない」とした。
「どちらとも言えない」とした郡山市の品川萬里市長は「専門的知識を持たない者でも理解できるように、丁寧に説明する必要がある」と回答した。
■放出場所39市町村、回答避ける
政府の小委員会が提言では言及しなかった放出の具体的な場所についての考えも聞いた。「福島県内のみ」としたのは二村(3・3%)にとどまり、三十九市町村(66・1%)は「その他」を選び、明確な回答を避けた。
各市町村の回答は【表2】の通り。「福島県内のみ」「その他」以外の選択肢では、「福島県以外」が三町村(5・0%)、「福島県を含む全国」が十二市町村(20・3%)となった。「その他」の中には「回答を差し控える」などと理由を記した市町村も含んでいる。