福島第1原発1、2号機の共用排気筒(高さ約120メートル)の解体は、現在残り6・8mまで進み、5月上旬に完了する見通しとなりました。
排気筒の底部には極めて高い放射線源があり人間が近づけないため、作業員が遠隔で解体装置を操る前例のない作業で進められました。解体作業は地元の「エイブル」が行いました。
排気筒の解体は、筒を支持するサポートの中間部分が腐食して地震時にそこで折れる惧れがあったため実施されたもので、その危険性が除去できたのは大きな安心材料です。
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解体「必ず」福島第1原発の共用排気筒 広野・建設業エイブル
福島民友 2020年04月25日
東京電力福島第1原発1、2号機の共用排気筒(高さ約120メートル)の解体が5月上旬に完了する見通しとなり、現場では作業が大詰めを迎えている。「前例のない難しい工事だが必ずやり遂げる」。作業を担当する広野町の建設業「エイブル」の社員は解体完了が古里復興の前進につながると信じ、ラストスパートをかける。
解体作業は昨年8月に始まった。現場責任者で同社第一工事部課長の佐藤哲男さん(46)は「想定通りとはいかない場面もあったが、作業員が意見をぶつけ合い知恵を絞りながらここまで来た」と歩みを振り返った。
解体は、原発事故の影響で損傷が見つかった排気筒の倒壊のリスク低減のため、上半分を切断し59メートルの高さにする計画。現場は放射線量が高く、作業員が遠隔で解体装置を操る前例のない作業で、解体装置の刃が筒身にかみ込んで抜けなくなるなどトラブルが続き、完了時期は当初の昨年内からずれ込んだ。
佐藤さんに難局に立ち向かう力をくれたのは、中学校時代の恩師や友人からの励ましだった。テレビ番組で解体作業に挑む姿が放送されると、恩師からは「自慢の生徒だ。必ず成功させろ」と激励の電話があった。佐藤さんは自身を奮い立たせ、仲間と装置の改良などを重ね、ようやく作業は円滑に進むようになった。
計画する排気筒の切断部分は24日現在で残り6・8メートル。佐藤さんは「周囲の支えに感謝の気持ちでいっぱい。気を引き締め、力を結集して解体完了に挑む」と力を込めた。