2020年4月7日火曜日

廃炉事業への地元企業の参入 東電は丁寧な対応すべき

 東電は廃炉事業への地元企業の参入促進や関連企業の誘致などに向けた取り組み方針をまとめました。廃炉産業の集積は浜通り地方再生の柱の一つです。
 東電によると、福島第一原発の廃炉事業に関する発注金額は年間二百~三百億円に上るということですが、実際どの程度の金額の仕事が下請けを含めた地元企業に回っているかは把握できていないということです。地元企業から「内容が難解」「参入の仕方が分からない」との声が上がっています。
 東電は元々「役所以上にお役所的」と言わているので、廃炉事業も大手の原子力ムラに一括して丸投げするだけで、具体的に地元企業にどのように仕事が流れていくのか把握していないのが実態と思われます。
 累計すれば前代未聞の莫大な事業になる筈なので、原子力ムラだけが甘い汁を吸うというのは許されません。
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論説 廃炉への地元参入 丁寧な対応が必要だ
福島民報 2020/04/06
 東京電力は福島第一原発の「廃炉中長期実行プラン」の公表に合わせ、廃炉事業への地元企業の参入促進や関連企業の誘致などに向けた取り組み方針をまとめた。廃炉産業の集積は浜通り地方再生の柱の一つで、以前から対応を求められていた。遅きに失した感は否めず、早急に実行に移し、結果を出す必要がある。

 方針は「復興と廃炉の両立に向けた福島の皆さまへのお約束」と題して明文化した。(1)事業見通しの積極的な公開 (2)オープンな参入環境の整備 (3)地元経済の基盤創造 (4)企業・人材の育成など六項目からなる。具体的には中長期見通しの説明会の開催、調達計画の公開、商談会の実施、相談窓口の設置、地元企業との協業分野の検討、学術研究機関や大学との連携などを挙げている。 
 東電によると、福島第一原発の廃炉事業に関する発注金額は年間二百~三百億円に上っているが、発注後、どの程度の金額の仕事が下請けを含めた地元企業に回っているかは把握できていなかったという。調達情報については三カ年の発注計画を公開しているものの原発の廃炉という特殊性もあり、地元企業からは「内容が難解」「参入の仕方が分からない」との声が上がっていた。

 廃炉事業への地元企業の参入促進については自民、公明両党が二〇一八(平成三十)年夏、復興加速化のための第七次提言に盛り込み、政府に提出していた。時間がかかった理由について東電は、これまで炉内の状況把握ができず、詳細な発注計画を立てられなかったためと説明する。必要性が指摘されてから一年以上が経過している。被災地の現状を考えれば、悠長に構えている時間はない。 
 気になるのは情報公開や説明会、窓口設置などが形だけで終わらないか、という点だ。素人には極めて分かりづらい情報をホームページの奥深くに置いたとしても、「情報公開」とは言えまい。情報や窓口を使う側、参入を目指す企業の目線に立った丁寧な説明や対応がなされなければ、意味がない。異業種からの参入を促すのであれば、なおさらだろう。

 原発事故の原因企業として東電は廃炉はもちろん被災地の産業再生の責任も負う。原発関連企業だけで廃炉事業を進めた方が効率的なのかもしれないが、それでは新たな企業・産業は育たない。「役所以上にお役所的」と言われた企業体質を改め、地元に寄り添った地道な努力を続けることで「復興と廃炉の両立」は果たせる。(早川正也)