2019年6月22日土曜日

関電3原発に設計変更命令 大山噴火想定引き上げで

 鳥取県の大山が噴火した場合の、関西電力高浜、大飯、美浜の3原発への影響について、原子力規制委19日、より大規模な噴火を想定した設計に変更するよう命じました。
 これまでの審査で、関電は大山噴火時に3原発の敷地に積もる火山灰を10センチ以下と規制委もそれを認めていました。
 しかし降灰量が10センチあっても非常用のディーゼル発電機が目詰まりしないからとして、問題ないとした当初の判断が大いに杜撰でした。
 
 自動車のエンジンにも専用のエアーフィルターがついていますが、セントヘレンズ火山での実績では、降灰が僅か0.6~1.3cmに達しただけでエンジン故障を起こしています。
 またこのレベルの降灰があると走行時に舞い上げて視界がゼロ近くになるので車のすれ違いが出来なくなると言われます。降灰量が2.7~3cmを超えると電車は脱線するので走れなくなります。要するに発電所の従業員が車でも電車でも出勤できないということです。
 納得できる再検討案を出すべきです。
 
   (関係記事)
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原子力規制委 関電に3原発対策の申請し直し命ずる
NHK NEWS WEB 2019年6月19日
福井県にある関西電力の3つの原子力発電所について、原子力規制委員会は19日、新しい研究に基づくと敷地内に積もる火山灰の想定が少なく、規制基準に適合していないとして、想定を見直し必要な対策を申請し直すよう命じました。
 
福井県にある高浜、大飯、美浜の3つの原発について、関西電力は、およそ200キロ離れた鳥取県の大山が噴火した場合に敷地内に積もる火山灰の厚さは最大10センチと想定し、審査に合格しました。
しかしその後、それよりも多く積もる可能性を示す研究が発表され、規制委員会は関西電力に再評価を指示、関西電力は当初の想定を上回る13センチから22センチ程度の火山灰が積もる可能性を報告していました。
これを受けて、規制委員会は19日、現状は規制基準に適合していないと判断し、火山灰の想定を厳しく見直して対策をまとめ、年内に審査の申請をし直すよう関西電力に命じました
 
福島第一原発の事故のあと、審査に合格した原発でも新しい知見が示され、規制委員会がリスクにつながると判断した場合、追加対策などを求める制度がつくられ、この制度で規制基準に適合していないとされたのは今回が初めてです。
一方、大山の噴火は切迫していないとして運転停止までは求めないことを決めました。
関西電力は想定を見直し、火山灰で非常用発電機のフィルターなどが目づまりしたり、電気設備が壊れたりしないよう対策をまとめ、再申請するとしています。
 
原発事故のあと作られた強制力ある制度
今回、関西電力に適用された制度は「バックフィット」と呼ばれ、福島第一原発事故のあとに作られました。
規制基準に適合しているかどうかを確認する審査に一度合格した原発でも、その後、地震や津波、それに設備や採用している技術などについて論文や研究が発表され、その新しい知見が原発のリスクにつながると規制委員会が判断した場合、想定や対策を見直し、審査のやり直しをする制度です。
場合によっては運転の停止を命じることもでき、強制力があるのが大きな特徴です。
 
原発事故の前は、例えば学術論文などの研究レベルでリスクが示されても、学会などが統一的な見解を示したり実際にトラブルが起きたりしないかぎり、対策を電力事業者に求める仕組みが十分になく、こうしたことが福島第一原発事故を防げなかった一因との指摘がありました。
今回は、規制委員会から委託を受けた研究機関が過去の文献などから京都市に8万年前の大山の噴火によるとみられる厚さ30センチの火山灰の層があったと発表したことがきっかけとなりました。
規制委員会は、京都市で現地調査を実施、大山からの距離がほぼ同じことから、福井県の3つの原発にも同じように火山灰が積もるおそれを捨てきれないとして、関西電力に再評価を求め、19日の命令につながりました。
 
命令を受けた電力事業者は、期限内に想定や対策を見直して申請をし直し、審査に合格する必要があります。