2019年6月23日日曜日

再生エネ接続の「工費全額負担は不当」と提訴

「工費全額負担は不当」秋田の再エネ業者が東北電を提訴
   河北新報 2019年6月22日
 秋田県内に設置した太陽光発電設備を東北電力の送配電網につなぐ際に、変電所の変圧器の交換費用を負担させられたのは不当だとして、同県の発電事業者が21日、東北電に約9800万円の損害賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。再生可能エネルギー発電を巡り、電力会社に工事負担金の返還を求める訴訟の提起は全国初とみられる。
 
 訴えによると、事業者は2014年9月、出力約1メガワットの大規模太陽光発電所(メガソーラー)の送電線への接続を東北電に申し込んだ。東北電は15年1月に架線などの工事負担金として約2700万円を事業者側に提示。同11月に「変圧器の空き容量がなく取り換える必要がある」などとして負担金を約1億2500万円に増額し再提示した。
 事業者側は東北電に負担額の見直しを求めたが、既に用地確保の手続きを進めていたため事業を断念できず、16年11月に再提示された負担金を支払う契約に合意した。
 
 再生可能エネルギー特別措置法は、接続の際に必要な工事費用の負担に関する規定がなく、事業者側が全額を支払う契約が結ばれるのが一般的とされる。
 事業者側は「東北電は送配電網を独占する圧倒的優位な立場にあり、不当な条件の契約に合意せざるを得なかった」と強調。独占禁止法が禁止する優越的地位の乱用に当たり、契約は正常な商慣習を逸脱し違法だと主張している。
 事業者側弁護団によると、東北電が増額した負担金を再提示したのは、資源エネルギー庁が送配電設備に関する工事費の全部を一事業者に負担させるべきでないとする指針を公表する2日前だったという。
 提訴後に記者会見した事業者代表(69)は「たまたま変圧器の空き容量が足りなくなった時に接続を申し込んだだけなのに、交換費を全額負担しろというのは納得できない」と訴えた。
 東北電は「訴状の内容を承知しておらず、コメントできない」としている。