2019年6月10日月曜日

「核ごみ最終処分」四日市説明会で リスクの不透明さ指摘

 NUMOと資源エネルギー庁は4日、高レベル放射性廃棄物の最終処分施設の適地を示した「科学的特性マップ」に関する説明会を三重県四日市きました。参加者からは地層処分への疑問や、最終処分地が引き受けるリスクの不透明さを指摘する意見が出ました。
 
 もともと日本における深層埋設に適した地層に関しては、日本学術会議2年がかりで検討した結果20129月に、「地中深くに埋める国の最終処分計画は安全とは言えない。地震や火山活動が活発な日本列島で、万年単位で安定した地層を見つけるのは難しい」との結論を出し、核燃料処分に関する政策の白紙見直しを求める提言をまとめています。
      ⇒14年1月6日)  核のごみの処分地選定急展開か 
  14年7月12日) どうする核のごみ 
 
 また2015年4月にも、同会議は「高レベル放射性廃棄物の処分に関する政策提言」を行い、12の提言の最後で、地層処分に関しては「自律性・第三者性・公正中立性」が確保された「専門調査委員会」を設置すべきであるとしています。
 
 それを安倍政権は、いきなり政府の意向だけで日本の至る所に地層処分の適地があるとする「科学的特性マップ」をまとめたのですから、住民が不信感を持つのは当然のことです。ウソと捏造に塗れた安倍政権の特性がここにも顕れています。
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四日市 「核ごみ最終処分」で説明会 NUMOと資源エネルギー庁
 リスクの不透明さ指摘も 三重
伊勢新聞 2019/6/6
 原子力発電環境整備機構(NUMO)と資源エネルギー庁は4日、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分施設の適地を示した日本地図「科学的特性マップ」に関する対話型説明会を三重県四日市市安島一丁目のじばさん三重で開いた。県内では津市に続き2回目。参加者からは地層処分への疑問や、最終処分地が引き受けるリスクの不透明さを指摘する意見が出た。
 
 対話型説明会は、放射性廃棄物の最終処分について理解を深めてもらおうと平成29年10月以降、NUMOと資源エネルギー庁が福島を除く全国46都道府県で開催。四日市市は全国で92回目となる。
 この日は17人が参加。NUMOの担当者らが最初に約1時間、科学的特性マップや最終処分地の選定方法を説明した。その後、参加者が3つのグループに分かれて意見を述べ、担当者が回答した。
 
 資源エネルギー庁放射性廃棄物対策課の那須良課長は、放射性物質を固めたガラス固化体を地下300メートルより深い岩盤に埋める地層処分を紹介。「臨界状態になることはなく、爆発することもない」と述べた。
 NUMOの伊藤眞一理事は、重さ約500キロのガラス固化体を4万本以上埋設できる施設を全国で一カ所造ると説明。受け入れ地が決まっている北欧を例に「雇用や地域経済への期待もある」と話した。
 
 先行事例として北欧諸国が挙げられたことに対し、参加者から「日本は4つのプレートがぶつかり合っている場所。北欧の地層と安定度が違う」と地層処分そのものを疑問視する声が上がった。
 また、別の参加者は「『原子力は安全』と言われてきたが、福島原発事故が起こった」と不信感をあらわに。「リスクがどれくらいあって、万が一何かあったらどう対応するのか事前に示すべき」と主張した。
 
 担当者は「爆発することはないが、水に溶け出すのを防ぐ必要はある」と説明。「原発事故の反省があり、リスクを示さなければならないと思う。リスクを減らす方法を聞いた上で、判断してほしい」と述べた。
 
(参考資料)
核のごみ 地中廃棄「白紙に」 学術会議 原子力委へ提言
東京新聞 2012年9月11日
 地中深くで最終処分するとしながら、原発で使った核燃料から出る高レベル放射性廃棄物の行き先は一向に決まらない。打開策を検討していた日本学術会議(会長・大西隆東大大学院教授)は11日、地中深くに埋める国の最終処分計画は安全とは言えないとし、処分に関する政策の白紙見直しを求める提言をまとめ、原子力委員会に提出した。
 使用済み核燃料を再処理した後に出る高レベル放射性廃棄物は、毎時1500シーベルト(150万ミリシーベルト)と人がわずか20秒で死に至る放射線を放つ。国は2000年、廃棄物をガラスで固め、地下300メートル以上の地層に埋める「地層処分」とするよう関連法で決めたが、処分地は白紙のままだ。
 
 今回の提言は、原子力委から打開の糸口を見つけてほしいと要請された学術会議が、原子力工学や地質学、歴史、社会、経済など各分野の研究者で検討委をつくり、二年がかりで検討してきた。
 提言は、地震や火山活動が活発な日本列島で、万年単位で安定した地層を見つけるのは難しいと指摘
 処分場が決まらない理由は、どれくらいの量の核のごみなら受容できるか社会的な合意がないまま、一部の関係者で原発の稼働、そこから出る核のごみの処分といった方針を決定してきたことにあると批判。交付金などのお金で処分地を決めようとする方針は、「かえって問題を深刻化させる」と根源的な問題があると指摘した。その上で、「政策をいったん白紙に戻す覚悟で見直すべきだ」と結論付けた。
 安全な処分方法が見つかるまでの数十~数百年の間は、地中深くではなく、いつでも移送できる形で暫定的に保管するよう提言。保管を担う地域には交付金などで無理やり納得させるのではなく、保管地に政府機能の一部を移転して安全性への信頼を得るべきだと訴えた。
 ただ、提言内容の通り、将来に安全な処分方法が確実に見つかる保証はない上、暫定的に保管といっても、事実上の最終処分になってしまわないか、地域の懸念をなくすのは難しい。提言の実効性には疑問があり、核のごみの根源的な問題点を見せつけた。(榊原智康)