2019年6月4日火曜日

大飯原発訴訟の高裁判決を総括 福井で「裁判の会」

「福井から原発を止める裁判の会」の総会が1日、福井市内で開かれ、高裁で逆転敗訴となった関電大飯原発34号機の運転差し止め訴訟の総括などを行いました
 
 大飯原発34号機の訴訟で敢えて上告しなかったのは、上告しても最高裁は控訴審判決を是認するだけなので、全国の裁判闘争に影響を与えないようにすることと、不当な最高裁判決を出させないためでした。
 
 樋口英明裁判長福井地裁で運転差し止めの判決を出すと、最高裁は樋口氏を家裁の判事に異動させ、そのあとに優等生の判事2名を送り込み、少し遅れて2審を担当する名古屋高裁金沢支部にも同様なエリート判事を送り込むなど、福島事故の直後に示した反省とは裏腹に、全国の判事に対して再稼働促進の姿勢をこれ以上はないほど明瞭に示しました。その後司法は、ひたすら「原子力規制委の判断が正しい」を繰り返すようになりました。
「裁判の会」で、弁護団長を務めた島田広弁護士は司法の独立の形骸化」と述べました。
 
 かつて樋口氏が福井地裁で判示した、
『原発は一旦大事故を起こせば人格権という根源的な権利が極めて広汎に奪われるという事態を招く。少なくともそうした事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その運転差止めが認められるのは当然である』 や
原発の稼動がCO2排出削減に資するもので環境面で優れている旨主張するが、原発でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであることに照らすと、環境問題を原発の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである』(いずれも要旨)
などの数々の名言に、今後は接することが出来そうもないのは残念なことです。
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大飯原発訴訟の高裁判決を総括 福井で「裁判の会」
福井新聞 2019年6月2日
「福井から原発を止める裁判の会」(中嶌哲演代表)の総会が一日、福井市内であり、住民側が逆転敗訴した関西電力大飯原発3、4号機(おおい町)の運転差し止め訴訟の総括などを行った。
 
 二〇一四年五月の福井地裁判決は、住民側の訴えを認め運転差し止めを命じたが、昨年七月の名古屋高裁金沢支部の控訴審判決は地裁判決を取り消し、運転を容認する判決を言い渡した。住民側は最高裁への不信から上告せず、判決が確定した。
 
 弁護団長を務めた島田広弁護士は、証人が一人しか採用されなかったことなど高裁金沢支部の姿勢を改めて批判。司法の独立の形骸化などで原発訴訟で住民側が勝訴することは難しくなっていると指摘し、「再生可能エネルギーのことを含め、原発のない新しい社会を構築していくような合意形成をもっと進める必要がある。一朝一夕にはいかないが、一つ一つできることをやっていくしかない」と呼び掛けた。
 
 福島県南相馬市から大津市に避難している青田恵子さん(69)の講演もあり、福島で住民不在のまま「復興」が進められているとし、「福島が差別されていることに怒っている」と述べた。