2015年2月16日月曜日

核のゴミ対策の明確化を再稼動の条件にと 学術会議

 日本学術会議は放射性廃棄物を地下深くに埋める「地層処分」について、2012年9月に「地震や火山活動が活発な日本列島で、万年単位で安定した地層を見つけるのは難しい。地中深くに埋める国の最終処分計画は安全とは言えない」との結論を出し、核燃料処分に関する政策の白紙見直しを求める提言を行っています
 
 提言から2年半が経ちましたが、国も電力会社もそれについては何の検討もないままに原発の再稼動に走り出しています。
 そうした現状に対して日本学術会議、原発から出る「核のごみ」対策を政府と電力会社が明確化することを原発再稼働の条件にすべきだとする政策提言案をまとめました。17日に検討委員会で議論し三月にも正式に公表する予定です。
 高レベル放射性廃棄物の処分問題に進展がないまま再稼働を進めたり、新増設したりすることは容認できないと強調しているということです。
 
 電力会社が利に走ってこの提言を無視しようとするのは明らかですが、国もこの正論に対してまたしても無視を決め込むのでしょうか。正論に立ち返るという気はさらさらないということなのでしょうか。
        (関係記事)
2014年1月6日 核のごみの処分地選定急展開か
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核のごみ対策 再稼働条件に 学術会議 再提言へ
東京新聞 2015年2月15日
 学術の立場から国に政策提言などを行う日本学術会議(大西隆会長)が、原発から出る「核のごみ」対策を政府と電力会社が明確化することを原発再稼働の条件にすべきだとする政策提言案をまとめたことが分かった。十七日に同会議の検討委員会で議論し、三月にも正式に公表する予定で、世論形成や国の政策に一定の影響を与えそうだ。 
 
 学術会議は二〇一二年にも「核のごみ」政策の抜本的見直しを提言しており、あらためて政府に改善を促す異例の対応。高レベル放射性廃棄物の処分問題に進展がないまま再稼働を進める国の姿勢を「将来世代に対する無責任」と批判しており、新増設も容認できないと強調している。
 
 政策提言案は「国、電力会社、科学者に対する国民の信頼は東京電力福島第一原発事故で崩壊した状態で(核のごみの)最終処分地の決定は困難」と指摘。信頼回復や国民の合意形成、科学的知見を深めるため、地上の乾式貯蔵施設で原則五十年間「暫定保管」することを提案した。次の世代に迷惑をかけないため、保管開始後三十年をめどに処分地の決定が重要としている。
 さらに負担の公平性の観点から「暫定保管の施設は原発立地以外での建設が望ましい」とし、各電力会社が責任を持って管内に最低一カ所、施設を確保する計画の作成を再稼働の条件として求めている。
 また、合意形成のために「核のごみ問題国民会議」を設置する必要性を強調。再稼働で生じる放射性廃棄物の抑制や上限設定など「総量管理」についても議論すべきだとしている。
 
 国は、放射性廃棄物を地下深くに埋める「地層処分」を前提に「科学的な有望地」を提示した後、複数の候補地に調査受け入れを要請する方針だが、受け入れに前向きな自治体が見つかる見通しは立っていない。