2023年2月9日木曜日

原発「40年ルール」 60年超案、委員1人が反対 原子力規制委

 原発の運転期間「40年ルール」を改め60年超の運転を可能にする改正制度の骨子案について、8日の原子力規制委の定例会で審議されました。
 まず意見公募で1749人・団体から寄せられた意見と、それへの規制委の回答について議論し、山中委員長が「骨子案を了承してよろしいか」と意見を求めると、石渡委員が「非常に重要なことで、採決すべきだ」と発言し他の4人が賛成する中、石渡委員は「運転期間の規制を法律から落とすことになり、安全側への改変とは言えない」、「規制委の審査などで停止した期間分だけ運転期間を延長できる仕組み審査に時間を要するほど古い原発を動かすことになりおかしい(要旨)」と反対しました。
 そのため、山中伸介委員長は多数決による議決を避けて、15日の次回会合で改めて議論することにしました。公募意見には反対も多かった筈で、それをどんな理由からかは分かりませんが規制委員会で全員が賛成に回るのは、逆に委員会の信頼性を失わせるものです。
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原発「40年ルール」 60年超案、委員1人が反対 原子力規制委
                           毎日新聞 2023.02.08
 原発の運転期間を原則40年、最長60年とする「40年ルール」を改め60年超の運転を可能にする改正制度の骨子案について、8日の原子力規制委員会の定例会で審議があり、5人の委員のうち石渡明(いしわたり・あきら)委員が反対を表明した。この日、骨子を決める予定だったが、山中伸介委員長は多数決による議決を避けて、15日の次回会合で改めて議論することにした。
 政府の原発運転延長方針に対応して規制委は、運転開始から30年を超える原発について最大10年ごとに劣化状況や安全性を審査して、以降の運転を認可する新規制制度の骨子案を昨年策定した。この日は、意見公募で1749人・団体から寄せられた意見と、それへの規制委の回答について議論。山中委員長が「骨子案を了承してよろしいか」と意見を求めると、石渡委員が「非常に重要なことで、採決すべきだ」と発言した。
 採決したところ、他の委員が賛成する中、石渡委員は「運転期間(の規制)を法律から落とすことになり、安全側への改変とは言えない」と述べた。また、政府の運転延長案は規制委の審査などで停止した期間分だけ運転期間を延長できる仕組みのため、審査に時間を要するほど古い原発を動かすことになる点が、矛盾を意味する「二律背反になってしまう」などと指摘。骨子案への反対を表明した。石渡委員は東北大教授などを務めた地質学者。2014年9月から委員を務め、地震・津波分野の審査を主に担当している。
 規制委は、8日に骨子を決め、それを基に40年ルールを削除して新規制制度を加えた原子炉等規制法の条文案を作成し、15日の会合で議論する予定だった。議決の先送りにより、骨子案と条文案を同じ日に議論する異例事態となる。山中委員長は会合後の記者会見で「(石渡委員が)誤解されている部分もある。もう少し議論したい」と述べた。【吉田卓矢】


原発の新規制制度案に委員が反対意見「安全側への改変とは言えない」決定を保留
                       テレビ朝日系(ANN) 2023/2/8
 最長60年だった原発の運転期間が延長されることを受け、原子力規制委員会は新しい規制制度案の概要について議論しましたが、委員の反対で決定を保留しました
 規制委は8日の定例会で、30年を超えて運転しようとする原発については10年ごとに認可し、60年を超えた運転にも対応可能な規制制度の概要について、一般からの意見募集を踏まえ正式決定を図りました。
 ただ、石渡明委員が「60年の運転制限を原子炉等規正法から落とすのは安全側への改変とは言えない」「審査に時間を掛ければ掛かるほどより古い炉を動かすことになる」などの反対意見を表明したことから、この日の決定は見送りました。
 来週、改めて議論するということです。