2023年2月13日月曜日

コロナ下、住民参加で初の訓練 川内原発

  鹿児島県は11日、川内原発の重大事故に備えた原子力防災訓練を原発30キロ圏内の9市町と実施しました。210団体約3500人が、感染症対策をしながら連絡体制の手順や原子力防災アプリを使った避難方法を確認しました。

 コロナ感染疑いの人が避難バスに同乗するケースでは、周辺の座席をビニールカーテンで囲み他人との接触を防ぎました。参加者からは感染対策と避難を両立させる難しさを感じたとの声もありました。
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感染疑いの人が避難バスに同乗したら…コロナ下、住民参加で初の訓練 専門家はIT整備評価 川内原発
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 鹿児島県は11日、九州電力川内原発(薩摩川内市)の重大事故に備えた原子力防災訓練を原発30キロ圏内の9市町と実施した。新型コロナウイルス下では初参加となる住民約500人を含め、210団体約3500人が、感染症対策をしながら連絡体制の手順や原子力防災アプリを使った避難方法を確認した。
   【写真】【関連図】主な避難訓練の流れが分かる
 薩摩半島西方沖を震源とする震度7の地震が発生し、川内原発で外部電源が喪失、放射性物質が外に漏れた想定で実施した。
 原発から5~30キロ圏(UPZ)の住民は、今回3カ所に設置した避難退域時検査場所でいったん除染や検温を受け、そこからバスなどで指宿市や垂水市など指定された避難先に移動した。
 検査場所の一つ、さつま町の柏原グラウンドには3市町の住民が集まり、受け付け時に防災アプリのQRコードを職員が読み取った。車両に乗り込んだまま現場職員が車両の汚染状況を調べ、必要に応じて乗客も除染。県原子力専門委員会の佐藤暁委員は「ITを使ったインフラ整備が進み、避難が加速している」と評価した。

 コロナ感染疑いの人が避難バスに同乗するケースも想定。周辺の座席をビニールカーテンで囲み、他人との接触を防いだ。親子で参加した新屋敷真美さん(36)=いちき串木野市=は「簡易な対策だと心配する人がいるかもしれない。感染対策と避難を両立させる難しさを感じた」と話した。
 原発構内では、重大事故時の対応拠点になる緊急時対策所での訓練が初めて公開された。
 県は防災アプリを軸に避難や情報提供を進める考えだが、住民のアプリの登録は限定的。塩田康一知事は「まだ普及が進んでいない。さまざまな媒体や説明会で周知したい」と総括した。