2023年2月18日土曜日

「原発の新たな安全規制の具体化を」 首相、経産相と環境相に指示

 岸田首相は17日、政府が閣議決定した原発の運転期間延長に関して、新たな安全規制の具体化や的確な安全審査に向けた官民の体制整備を進めるよう、西村康稔経済産業相と西村明宏環境相に指示しました。原発の運転延長は原発の安全性と一体不二のものなのに、内閣が運転延長を決めた後で、「新たな安全規制の具体化」を進めるとは一体どういうことなのでしょうか。逆に「新たな安全規制の具体化」がない段階でなぜ運転延長の閣議決定が出来たのでしょうか。
 同様のことは規制委にも言えて、規制委は運転期間延長に同意しておきながらその後で15日、急遽「経年劣化した原発の安全性をどう確認するか、施設の劣化状況などをどう評価するかを検討するチーム」を設置することを決めました。
 これは、施設の劣化状況などをどう評価するかの見解を持たないまま「賛成」したということで、あまりにも無責任な話です。
   ⇒(2月16日)60年超の原発 安全確保へ検討チームを設置
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「原発の新たな安全規制の具体化を」 首相、経産相と環境相に指示
                             毎日新聞 2023/2/17
 岸田文雄首相は17日、政府が閣議決定した原子力発電所の運転期間延長に関して、新たな安全規制の具体化や的確な安全審査に向けた官民の体制整備を進めるよう、西村康稔経済産業相と西村明宏環境相に指示した。原子力規制委員会が運転延長について反対意見が残る中で了承したことにより、一部から「安全軽視」との批判が出ていることを重くみたとみられる。政府は来週にも原子炉等規制法など、関連改正法案を国会に提出することを目指してきたが、先送りになれば、法案審議に影響する可能性がある。

 政府は10日、既存原発の60年超の運転を認める方針を決定。だが、運転延長を巡っては、規制委が13日、5人の委員のうち1人が反対するなか、多数決で了承する異例の事態となっていた。60年超運転のルールや安全確保策が見えない中で、政府が原発の利用加速に進むことへの批判は根強い。西村環境相によると、岸田首相は「国会審議などを通じてしっかりと説明できる準備を進めた上で法案の閣議決定を行うべきだ」との考えを示したという。
 西村経産相は17日の閣議後記者会見で、審査に向けた官民の体制整備について、具体的な言及は避けたが「安全審査の『官』は規制委に考えてもらい、『民』は電事連(電気事業連合会)に私から話をしたい」と述べ、同日午前に電事連の池辺和弘会長に対し「規制委とのコミュニケーションを密にして、厳格な審査に的確に応え、不断の安全向上の取り組みへの体制を構築していただきたい」と要望した。

 西村環境相も同日の閣議後会見で「国民の理解を深めるべく、規制委で丁寧な情報発信がなされることを期待している」と述べ、この日の午前、片山啓・原子力規制庁長官に首相指示を伝達した。
 規制委は、60年超運転に向けた審査や規定などの検討チームの設置を15日に決め、22日に初会合を開く。検討チームは国民への分かりやすい説明も検討項目に入れており、事務局である規制庁の黒川陽一郎総務課長は「(チームでの議論は)結果的に岸田首相の考えに沿ったものになると考える」と話した。
 法案提出時期について西村経産相は「できるだけ早く閣議決定を目指したいと思うが一定の時間も必要だ」としており、法案提出が先送りになる可能性を示唆した。【遠藤修平、平塚裕介、岡田英、吉田卓矢】


原発運転期間延長で安全対策を万全に 西村経産相が電事連に対応要請
                          日テレNEWS 2023/2/17
原子力規制委員会が了承した原発の運転期間延長を巡り、採決の際に反対意見があったことを受け、西村経産相は電気事業連合会に対し、安全性審査に的確に対応するよう要請しました。
西村経産相「原子力規制委員会とのコミュニケーションを密にしていただいて、厳格な審査に的確に応え、不断の安全向上に取り組む体制を構築していただきたいと思う」
西村経産相は原発の運転期間延長について、岸田首相から官民の体制整備を進めるよう指示があったことを明らかにしました。その上で電事連に対し、安全対策を万全にし、規制委員会の審査に的確に対応するよう要請しました。

また、国民の不安を払拭するためにも、関連法案について丁寧な説明を進めた上で閣議決定すべきとの指示が、岸田首相からあったことも明らかにしました。
これに対し電事連の池辺会長は、「安全管理体制を今一度しっかり構築し、安全運転の実績を積み重ね、国民から安全性への信頼を頂くよう努力する」と応えました。