新潟県が行った県民意識調査では東電への不信感が強く、「柏崎刈羽原発の再稼働の条件は現状で整っていない」と考える人が約6割に上りました。このように県民の再稼働への不安が依然根強いにもかかわらず、花角知事は再稼働を容認するとの見方が強まっていて、21日にもそれを公表する見通しです。
県民の意思の確認の手法については、12月2日に開会する県議会定例会で再稼働に関する関連予算案を提出し議決を得ることや、議会側が知事の判断を信任する付帯決議を提出する可能性が高いといわれています。
花角知事が最後の判断材料としていた福島第1原発の視察(18日)について、知事は19日の定例記者会見で「福島は議論の原点。事故の影響の大きさを実感した」としたものの、原子力規制委が新規制基準をつくり、事故の経験や知見、教訓が柏崎刈羽原発に反映されている」と述べました。これは当初から準備された発言のように思われます。
19日午後、中原八一新潟市長が花角知事と面会し、「県が様々な検証や確認、国への要望を行ってきていただいているので、最終的な結論については県知事が判断するものと理解している」と述べました。
花角知事は「十分受け止め、考えていきたい」と答えました。
この期に及んでですが、今年6月、東電の担当社員が柏崎刈羽原発のテロ対策に関わる秘密文書を必要な手続きをとらずに持ち出してコピーし、自分の机に保管するなどしていたことがわかりました。
原子力規制委は20日、非公開の臨時会議を開き、今後の対応を協議するとしています。
それらの書類は本来は決められた場所で厳重に保管しなければならないものでしたが、守られていませんでした。社外への流出は確認されていないということです。
4つの記事をまとめて紹介します。
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柏崎原発再稼働 容認か 知事判断 21日にも 県議会で議決の可能性
しんぶん赤旗 2025年11月19日
東京電力柏崎刈羽原発の再稼働について花角英世知事が容認するとの見方が強まっていることが18日、分かった。複数の関係者が明らかにした。県に再稼働を要請している国や東電に対し、原発の安全対策と避難道路整備といった防災対策の速やかな実施などを改めて確認した上で容認する方向とみられる。21日にも公表する見通しだ。容認の考えを明らかにすれば再稼働問題は新たな局面に入る。
原発再稼働を巡る地元同意では、立地する柏崎市と刈羽村は容認の姿勢を示しており、花角知事の判断が焦点となっている。一方で、県が行った県民意識調査では「再稼働の条件は現状で整っていない」と考える人が約6割に上り、再稼働への不安は依然根強い。
花角知事は県民の受け止めを見極めた上で自らの判断を示し、県民の意思を確認するとしてきた。その手法については、12月2日に開会する県議会12月定例会で再稼働に関する関連予算案を提出し議決を得ることや、議会側が知事の判断を信任する付帯決議を提出する可能性が高い。
再稼働に向けて国は花角知事の求めに応じ、原発から6方向に逃げる避難道路に加え、半径30キロ圏内全域を対象にした事故時の屋内退避用シェルターなどについて国費による整備方針を決めた。原発立地地域の避難道路整備など公共事業を財政支援する特別措置の対象範囲を拡大した。
東電は柏崎刈羽原発の津波対策や排気設備のほかテロ対策上の重大な不備を踏まえ、構内に入る際に複数の生体認証装置を設けるなど安全対策を実施。成長分野企業の県内進出の後押しや、柏崎刈羽原発1.2号機の廃炉の検討、地元への1千億円規模の資金拠出
の方針も打ち出している。6号機は再稼働に向けた技術的な準備が完了した。
花角知事は国や東電の一連の対応を踏まえ、実施されていない対策の確実で連やかな履行を求めるなどした上で、再稼働を認めるとの見方がある。県民意識調査では原発から半径30キロ圏内の9市町村でも依然として東電への不信感が強い実態が判明。東電には信頼性のさらなる向上を求める30市町村長との懇談会、県民意識調査を通じ、県民の受け止めを探ってきた。18日には東電福島第1原発を初めて視察。再稼働の是非を判断する上で確認するとした事項は全て終わった。
福島第1原発視察の花角英世知事「事故の影響実感」 柏崎刈羽原発再稼働の判断時期は「近く結論」
新潟日報 2025/11/19
東京電力柏崎刈羽原発の再稼働の是非を巡り、最後の判断材料としていた東電福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の視察について花角英世知事は19日の定例記者会見で「福島は議論の原点。事故の影響の大きさを実感した」と指摘。その上で原子力規制委員会が新規制基準をつくり「(柏崎刈羽原発は)事故の経験や知見、教訓が反映されている」と述べた。
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【独自】柏崎刈羽原発再稼働、花角知事が容認か 21日にも公表見通し、県議会で議決の可能性
柏崎刈羽原発の再稼働の判断の時期については「近く結論を出して話したい」と述べるにとどめたが「見たり聞いたりしたいことは終わった。それらを並べて考える」とも説明した。
複数の関係者によると、...
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【柏崎刈羽原発】「議会で県民の意思確認を」知事と面会した新潟市長 再稼働是非は知事の判断を尊重「県が検証や確認・国への要望行ってきた」
NST新潟総合テレビ 2025/11/20
東京電力・柏崎刈羽原発の再稼働をめぐり花角知事がどのような判断を下すのか、そして、どのように“県民に真を問うのか”が注目されていますが、11月19日午後、新潟市の中原八一市長が花角知事と面会しました。
【新潟市 中原八一 市長】
「再稼働問題について、県民の意思を確認する方法としては県議会がもっともふさわしいと考えており、県議会の場で県民の意思を確認することを検討されるよう要望する次第でございます」
再稼働の是非の判断については把握してきた多様な意見や要望を踏まえ賢明な判断を下すこと、そして、その判断については県議会の場で県民の意思を確認するよう要望しました。
その上で、再稼働問題だけを争点にした県知事選挙は県民の分断や県政の混乱を招く懸念があると指摘しています。
【新潟市 中原八一 市長】
「再度、新潟市のあるいは私の考えをしっかり知事にお伝えして、最終的な重大な知事の結論を下していただきたいという思いで、きょうは訪問させていただいた」
一方で、中原市長は原発再稼働についての自身の考えは明らかにせず、花角知事の判断を尊重する意向を示しています。
【新潟市 中原八一 市長】
「県が様々な検証や確認、国への要望を行ってきていただいているので、最終的な結論については県知事が判断するものと理解している」
中原市長の要望に対し、花角知事は「十分受け止め、考えていきたい」と答えています。
柏崎刈羽原発でテロ対策文書の管理不備
東電が再稼働をめざす柏崎刈羽原発で今年6月、東電の担当社員が柏崎刈羽原発のテロ対策に関わる秘密文書を必要な手続きをとらずに持ち出してコピーし、自分の机に保管するなどしていたことがわかりました。原子力規制委は20日、非公開の臨時会議を開き、今後の対応を協議するとしていました。
複数のそれらの書類は本来は決められた場所で厳重に保管しなければならないものでしたが、守られていませんでした。社外への流出は確認されていないということです。
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柏崎刈羽原発でテロ対策文書の管理不備
共同通信 2025/11/20
東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発(新潟県)で今年6月、テロ対策に関する秘密文書が不適切にコピーされる管理不備が見つかっていたことが20日、分かった。ほかにも複数の不備が判明し、原子力規制委員会は臨時の非公開会合で今後の対応を協議した。