2025年11月13日木曜日

次世代型原発・小型モジュール炉の「短期間の開発は机上の空論」

 鹿児島市で8日、次世代型原発の学習会が開かれ生協職員や薩摩川内市民ら約60人が参加しました。
 講師の元原発設計技術者の後藤政志氏は、「新技術の可否判断は、利点より大規模事故の発生がないか、リスクも含めて評価することが必要だ」と述べ、革新軽水炉は格納容器の機能が強化される(デブリキャッチャーの新設)とした一方、「基本的に新しいことはなく、部分的な改良にすぎない」と説明しました。
 また量産化によるコスト削減については、まず技術的に確立されたものでないと量産化は無理である上に、大量生産の規模も数基や十数基ではペイしません。
 因みに装置大規模化のスケールメリットは、発電量がN倍になったときの製造コストは一般にNのk乗(k=0・7程度)で求められます。仮に100万kw対5万kwで比較しても単位kw当たりのコスト比は莫大になります。
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国が導入を目指す次世代型原発、小型モジュール炉の「短期間の開発は机上の空論」 元設計技術者が鹿児島市の講演で指摘
                          南日本新聞 2025/11/11
 国が導入を目指す次世代型原発を学ぼうと、生協コープかごしまは8日、鹿児島市で学習会を開いた。元原発設計技術者の後藤政志氏(76)=神奈川県=が講師を務め、「新技術の可否判断は、利点より大規模事故の発生がないか、リスクも含めて評価することが必要だ」と述べた。
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 後藤氏は次世代型の種類ごとに利点や課題を紹介した。九州電力や三菱重工業が共同開発する革新軽水炉は格納容器の機能が強化されるとした一方、「基本的に新しいことはなく、部分的な改良にすぎない」と説明。抜本的に安全性が高まるわけではないと語った。
 出力が小さく、量産化によるコスト削減が特徴とされる小型モジュール炉は「一つでも設計の不備があると量産化は無理。短期間での開発は机上の空論」と指摘。安全性が高いとされる高温ガス炉は「配管の仕組みが複雑で、壊れた時の影響が大きい」と解説した。
 原発の新設や再稼働に関し、地元住民が事業者からリスクと回避策について十分な説明を受けた上で、「受け入れるかどうか決める権利がある」と強調した。
 学習会は、次世代型への建て替え方針を明記した国のエネルギー基本計画や、九電が経営ビジョンに次世代型の検討を盛り込んだことを踏まえた。生協職員や薩摩川内市民ら約60人が参加した。