2015年5月7日木曜日

東電支払い、まだ1割 原発事故の自治体賠償

 東京電力は2015月期の連結決算で、純利益が前期比2.9%増の4,515億円となり期連続の黒字を達成しました(2014年3月は純利益約4,388億円)が、福島県内56市町村が請求している賠償金約540億円に対しては、まだ1割強の約59億円しか払っていません。
 請求額の大半は、人口減に伴う住民税や固定資産税などの税の減収分原発事故対応の職員増に伴う人件費などですが、東電は「請求額が膨大で、精査に時間がかかる」、「税の減収分に対してはまだ算定基準が固まっていない」ため遅れているとしています。
 事故からもう4年が経っているのに何んとも不思議ないい訳です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
東電支払い、まだ1割 原発事故の自治体賠償 税減収分、算定基準固まらず
福島民報 2015年5月6日
 東京電力福島第一原発事故に伴う自治体への賠償で、今年1月末までに(福島)県内56市町村が計539億6000万円を請求したのに対し、東電が支払ったのは1割の59億2000万円にとどまる。県がまとめた。請求額の多くを占める税の減収分をめぐっては迅速に処理するための算定基準が固まらず、支払いを始められない。市町村は賠償の未払い分を自主財源などで賄っており、今後の財政運営への影響が懸念される。
 
■一般会計分2・7%
 県は、各市町村が東電に請求した一般会計分と企業会計分、両会計を合わせた合計についてまとめた。1月末現在の請求額と支払い状況は【グラフ(コピーできないので非掲載)】の通り。
 一般会計分は51市町村が計438億3000万円を請求したが、支払いはわずか11億7000万円(2・7%)にとどまる。請求額の大半を人口減に伴う住民税や固定資産税などの税の減収分、原発事故対応の職員増に伴う人件費などが占めるが、支払いは実現していない。東電は学校給食などの放射性物質検査費、避難区域からの移転費など一部には応じている。
 企業会計分は、上下水道や病院事業の逸失利益分、汚泥対策費などが対象で、48市町村が101億3000万円を求めたのに対し、47億5000万円(46・9%)が支払われた。
 平成26年4月末現在の一般会計分と企業会計分の合計の請求額は475億円で、支払額は45億5000万円(9・6%)。支払額は横ばいの状態が続く。
 
■定まらない方針
 自治体賠償が進まない理由について東電の担当者は「請求額が膨大で、精査に時間がかかる」と説明する。特に税の減収分をめぐっては「賠償迅速化のため各市町村一律の算定基準を検討している」と強調する。
 東電は県と協議しながら、原発事故由来とみられる住民税の減収分の算定基準作りを急いでいる。ただ、既に震災前より減った税収額を全額請求した市町村も多い。「算定基準を導入すると支払額が少なくなる可能性がある」との指摘もあり、反発も予想される。算定基準が早急に確立できるかどうかは不透明だ。
 東電は市町村からの要望が強い固定資産税については対象外とする姿勢を崩しておらず、隔たりは大きい。
 
■負担増 
 「(賠償未払い分は)一般財源を切り詰めて対応している。賠償の支払いがなければ、将来的に財政を圧迫しかねない」。郡山市の担当者は不安を募らせる。
 同市は1月末現在で一般会計分として64億円を請求しているが、東電が支払ったのは113万円のみ。担当者は「県と連携して東電と協議を進めるが、納得できない部分があれば裁判外紛争解決手続き(ADR)による原子力損害賠償紛争解決センターへの申し立てを検討する」と話す。
 一般会計分の請求額が23億円に上る南相馬市も「復興事業に対する国の財政支援がいつまで続くか分からない上、一部は地方負担という話まである。東電が支払うべき分は、しっかりと対応してほしい」と訴える。
 原発事故に伴う避難者の生活支援のために税金を減免した分については国による交付税措置が取られている。 
 
背景
 市町村は平成23年度以降の一般会計分、企業会計分について東電に賠償請求している。賠償が思うように進まない中、県のまとめでは、福島市と桑折町が企業会計分の一部について裁判外紛争解決手続き(ADR)による原子力損害賠償紛争解決センターへの申し立てを行い、東電と和解合意した。
 

2015年5月6日水曜日

川内原発再稼動差し止め却下の決定は事実誤認によるもの

 4月22日に九電川内原発1、2号機の再稼働差し止めを却下した鹿児島地裁の決定内容を東京新聞が検証したところ、主な論点とされた避難計画や巨大噴火リスクに関する事実認定に大きな問題のあることが明らかになりました。
 この事実を誤認したズサンな決定にはワケがありました。
 
 川内原発の差し止め仮処分却下の前に、それとは正反対に関電高浜原発3、4号機再稼働差し止めの決定(4月16日)を行った福井地裁樋口英明裁判長(職務代行で決定、現在は家裁判事)は、大飯原発3、4号機の運転差し止めの本訴で、2014年5月に運転差し止め画期的な判決を下しました。
 しかし最高裁事務総局(判事の人事権を握っている)は、それを意に沿わないものとして、樋口判事を翌年4月の異動で家庭裁判所判事に左遷しました。
 
 うなると良心に従って判決を下すことをせずに、事務総局の意向だけを気にしている判事の場合に原発停止の判決はあり得ないことになります。九電 川内原発1、2号機の稼働差し止め仮処分申請を却下した鹿児島地裁の前田郁勝裁判長がまさにそれでした。
 ひたすら最高裁の意に沿おうとするだけの気持ちが先立つと、いわば予定調和型の「運転の停止はしない」という結論を出すことが主眼となるので、その理論付けなどは最早どうでも良くなるのです。その結果が今回の川内原発に関する決定でした1
1 4月28日 川内原発仮処分却下 本当に「不合理な点はない」のか 
 
 5日の東京新聞はこの判決を取り上げて、事実認定に問題があることを具体的に明らかにしました。同記事では耐震強度は取り上げませんでしたが、住民の避難計画と巨大噴火のリスクに関する具体的な情報を収集して、事実認定の誤りを明らかにしています。
 
 川内原発の避難計画においては、避難弱者の避難計画が立てられていないことや、知事自身が10キロ以遠の地域では実効性のある避難計画を定めることは不可能と述べたことが知られていました。また他所でも、バスの手配と運転手の手配が至難で事実上不可能とされているという実態がありました。従って住民の命と健康を守る避難計画が立てられていないことは明白でした。
 
 また巨大噴火のリスクについては、原子力規制委が川内原発の適合性審査で合格の方向性を決めた後で、アリバイ作りのようにして火山モニタリング検討チームを設置しました。
 そこに招聘された火山学会の石原和弘委員長、火山噴火予知連絡会藤井敏嗣会長、東大地震研中田節也教授らは、原発の運用期間中に限定しても破局的噴火の可能性が十分小さいとは判断できないこと、モニタリングにより火山の噴火を予知・予測することはできないこと、マグマ供給の変化の把握には地下のモニタリングが必要であること、噴火の前兆が現れるのはせいぜい数ヶ月前であり、核燃料搬出の時間的余裕をもって予測することなど不可能であること等々の指摘を行いましたが、原子力規制委はことごとく無視しました2
    2  2014年6月1日 火山噴火リスク軽視の流れ、専門家から批判 
        2014年6月28日 川内原発:火山対策、予知頼みは無謀と専門家 
 
 鹿児島地裁川内原発1、2号機の稼働差し止め仮処分申請却下の決定は却下自体を目的としたもので、上述の事実関係を全く無視したものでした。
 文章はもっともらしく書かれていますが、その実態は真実とはほど遠く、極めていい加減なものでした。
 
 今後は司法において、こうした無責任な決定や判決が続出する惧れが十分にあります。福島原発事故前の司法に戻るということです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
地裁差し止め却下 「川内」事実認定に問題
東京新聞 2015年5月5日
 九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県)の再稼働差し止めを却下した鹿児島地裁の決定内容を、本紙が検証したところ、主な論点とされた避難計画や巨大噴火リスクに関する事実認定に大きな問題のあることが浮かび上がった。 (小倉貞俊、荒井六貴)
 
 先月二十二日の地裁決定は、原発の新規制基準に不合理な点はなく、避難計画の具体化や物資の備蓄も進み、多数の専門家が巨大噴火の可能性は小さいとしているなどとして、住民らの訴えを退けた。
 しかし、地裁決定には、いくつもの疑問点がある。
 三十キロ圏の住民は、地区ごとに避難先が指定されているが、風向きによっては放射能汚染で使えなくなる可能性がある。地裁は、県が調整システムを整備し、迅速な避難先の変更に備えていると認定した。
 県に取材すると、風向きの入力で避難先施設の候補がリスト化される程度のもの。必要な人数を収容できるかや、汚染状況は一件一件、現地とやりとりする必要がある。入院患者らの避難先についても、病院の空きベッド数データがないため地道な確認が必要だ。
 半年前、避難者受け入れに向けた計画ができていなかった鹿児島県霧島市など十二市町に取材すると、指定先の学校や公民館などへの説明や、避難所の運営方法などの協議はいずれもされていなかった
 
 一方、巨大噴火への備えについて地裁は、九電の火山監視の手法や能力に「専門家から異論はなかった」と問題ないと評価した。しかし、専門家とされた当の東大地震研究所の中田節也教授らからは「曲解された」「事実誤認だ」との声が上がっている
 住民側は近く福岡高裁宮崎支部に抗告する予定だ。
 
写真
 
 
避難システム「時間稼ぎ程度」 「川内」司法判断に専門家ら異議
東京新聞 2015年5月5日
 「決定の中で、いいように利用された」。九州電力川内(せんだい)原発の再稼働差し止め要求を却下した先月の鹿児島地裁の決定。原発の安全性や避難計画の実効性を認め、火山の巨大噴火の可能性は低いと認定しているが、本当にその通りなのか。裁判所の判断の材料となった関係者からは大きく異なる証言が得られた。 (小倉貞俊、荒井六貴)
 
 鹿児島県は原発事故時、まず原発五キロ圏の住民を避難させた後、外側の住民を段階的に避難させる方針。決定は福島原発事故のような大混乱、大渋滞を回避できると期待するが、実は県自体、四割の住民が指示を待たず逃げ始めると想定している。
 原発から約十二キロ、薩摩川内市の山之口自治会長・川畑清明さん(58)は「五キロ圏の避難を待てば、自分たちが被ばくしかねない。すぐ避難を始める人も大勢いるはず。計画は現実的ではない」とみる。
 鹿児島地裁は「避難計画に実効性あり」と判断した根拠の一つに、県が導入した避難先の調整システムを挙げた。しかし、県防災担当者にシステムの能力を問うと「コンピューターで自動的に調整できるわけではありません。多少の時間節約にはなると思いますが…」との答えが返ってきた。
 風向きを入力すれば、避難所候補リストから放射能が少なそうな方角の候補を絞り込んではくれるが、それ以上のものではないとのことだった。
 
 決定は、県が入院患者らの避難に必要な台数のバスを確保する方針であることを挙げ、避難が順調に進むかのように書いているが、バスの運転手の被ばく管理をどうするのかなど課題は山積し、バス確保のめどすら立っていない
 川畑さんも「被ばくの恐れがある中で、運転手の理解を得られるのか」と疑問を口にした。
 
 もう一つの大きな争点が火山の巨大噴火のリスク。決定は、専門家たちが九電の火山監視能力や対応策の有用性を認め、噴火のリスクも小さいと認めているかのように書いているが、複数の専門家から厳しい声が出ている。
 「南九州で巨大噴火が起こらない保証はない。決定の中で、自分もいいように利用された。ひどい決定文だ」。日本火山学会理事で東大地震研究所の中田節也教授はこう憤る。
 決定は、二〇一三年十月に開かれた旧原子力安全基盤機構(原子力規制委員会に統合)の会合で、九電の火山対応について「出席者から特に異論が出なかった」ことを根拠に、九電に十分な監視能力ありと認定している。
 この会合に出席していた中田教授は「事務方から説明を受けただけ。問題があると思っていたが、意見を求められず、指摘する機会もなかった説明だけなのに、同意があったように書かれている。曲解され腹立たしい」と話した。
 
 一四年八月から規制委の会合で、火山監視の議論が始まったが、専門家からは噴火予知は非常に難しく、特に巨大噴火は観測データそのものがないなどの指摘が相次いだ。だが、地裁はなぜかこうした指摘をくみ取らなかった。
 決定が巨大噴火の可能性を認識する火山学者は少数派としている点について、火山噴火予知連絡会長の藤井敏嗣(としつぐ)・東大名誉教授は「事実誤認で、科学的ではない」と断じこう現状を語った。
 「ほとんどの学者が大噴火はあると思っている。十年先なのか千年先なのか分からないが、危険がないように書かれているのはおかしい。噴火数日前に異変をとらえ、人を避難させられるかもしれないが、数年前から(熱い核燃料を冷まし、搬送容器に入れられるよう)前兆をとらえられるか、見通せるわけがない
 
 

 

2015年5月5日火曜日

核ごみ処分地選定 政府主導方式に改定

 政府は今月、原発に由来する高レベル放射性廃棄物の最終処分の選定を、これまでの公募制を改めて、政府が「科学的有望地」を示した上で、全国の複数の自治体に調査を申し入れる仕組みに変えます。
 従来方式では、自治体が処分地に名乗りを上げても住民の反対で頓挫することが多いためです。
 
 政府が責任を持つのは望ましいことですが、福島原発の汚染水処理のように「先頭に立つ」などと掛け声だけで終わり、実質的には何もやらないようなことがないようにして欲しいものです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
核ごみ処分地 政府主導 公募方式を今月改定
東京新聞 2015年5月4日 
 政府は今月、原発から出る核のごみ(高レベル放射性廃棄物)の最終処分に関する基本方針を七年ぶりに改定する。これまでは公募方式で、自治体が処分地に名乗りを上げても住民の反対で頓挫した経験を踏まえ、政府が「科学的有望地」を示した上で、全国の複数の自治体に調査を申し入れる仕組みを導入する。
 
 処分地探しは、電力会社でつくる原子力発電環境整備機構に任せきりで見つからず、原発は「トイレのないマンション」と批判されてきた。夏以降に再稼働を控え国主導で候補地選びを加速させる。宮沢洋一経済産業相は対象地域に関し「かなり広い地域が出てくる」との考えを示している。
 
 現行方針では、使用済み核燃料はプルトニウムなどを取り出し、残りを地中深くに埋め「地層処分」するとしている。新方針でも地層処分を前提に処分地を探すが、再処理せずに燃料を直接処分する研究も同時に進めることにした。また、将来の政策変更や技術革新に応じ、処分地や処分方法の見直しができるようにする。
 
 政府は今月から、早期に最終処分場を建設する必要性を国民に訴えるシンポジウムを、原発を持つ電力九社の本店がある九都市で開催。七月以降、対話形式で意見を聞く機会などを設け、有望地の提示に向けて国民の関心を高めたい考えだ。
 
 <高レベル放射性廃棄物> 原発の使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムとウランを回収した後に残る「核のごみ」の一種。再処理の廃液とガラスを混ぜてガラス固化体にして処分するが、長期にわたって極めて強い放射線を出す。国は2000年、地下300メートルより深く埋めて地層処分する基本方針を決め、02年から候補地の公募を始めたが進展がない。今月改定する方針では、処分作業の途中でも重大な問題が見つかった場合は中止できることを強調、自治体の受け入れのハードルを下げる。廃炉で出る低レベル放射性廃棄物などは処分方法が異なる。
 

2015年5月4日月曜日

災害公営住宅で2割が辞退 要望と現実が乖離

 福島原発事故による長期避難者向けの災害公営住宅で、抽選で入居が決定した後に辞退する事例が相次いでいます。福島県はこれまで752戸分の入居者を募集しましたが、今年3月上旬までに約2割に当たる150戸の当選者が入居を取り消し再募集したものの30日時点で11戸の入居が決まっていません。
 これは、高齢者や要介護者向けの「優先住宅」に入居できなかったことが主な理由で、実態に即した公営住宅の整備求められています
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
災害公営住宅、2割が辞退 県、要望把握できず
福島民報 2015年5月2日
 東京電力福島第一原発事故による長期避難者向けの災害公営住宅をめぐり、抽選で入居が決定した後に辞退する事例が相次いでいる。県はこれまで752戸分の入居者を募集したが、今年3月上旬までに約2割に当たる150戸の当選者が入居を取り消した。再募集したが、30日時点で11戸の入居が決まっていない。高齢者向けが少ないことなどが要因とみられ、実態に即した整備手法の検証が求められている。
 辞退した150戸のうち「高齢や要介護などの健康状態」が29件で最も多かった。「高齢や要介護などの健康状態」と回答したケースは、高齢者や要介護者向けの「優先住宅」に入居できなかったことが主な理由とみられる。優先住宅は集合型の災害公営住宅一階に整備され、玄関に段差がなく、非常用のボタンなど高齢者が暮らしやすいように配慮した構造になっている。
 優先住宅の数は162戸で全体の2割程度だ。抽選倍率も平均2・7倍で一般住宅の2・1倍を上回る。富岡町の住民支援担当者は「入居を希望する高齢者のほとんどは安全・安心のため優先住宅を希望する」という。実際には、一刻も早く住まいを確保したいとの思いで一般住宅も併せて申し込む人が多い。そのため一般住宅に当選しても日常生活に不安を感じて、辞退する動きにつながっているとみている。
 特に応募倍率が高い傾向のいわき市では、住宅建設の需要急増で市街地の用地確保が難しく、最寄り駅までバスでの移動が必要な場合がほとんど。県は「避難の長期化で既に住宅を新たに住宅を建てる人もおり、入居を取りやめる人が多いのではないか」と分析した。
 県は平成25年度に実施した双葉郡の住民意向調査を29年度末までに南相馬、川俣、富岡、川内、大熊、双葉、浪江、葛尾、飯舘の9市町村に計4890戸の災害公営住宅を建てることを決めた。しかし、調査の回答率は半数程度にとどまり、被災者のニーズを正確に把握するのは難しいのが実情だ。大熊町の担当者は「町民は戸建てでの生活に慣れており、仮設住宅から集合住宅に移るのに抵抗を感じる人が多い。現状の計画が住民の希望に合っているのか」と疑問を呈する。
 県は現段階で計画の大幅な見直しは考えていないという。しかし、「要望との不一致が今後さらに大きくなれば、整備計画そのものを再検討する必要も出てくる」との考えを示した。
 

相双漁協、説明会受け入れ 東電の汚染雨水流出

福島民友新聞 2015年5月2日
 相馬双葉漁協は1日、相馬市で理事会を開き、東京電力が福島第1原発の汚染雨水漏れを把握しながら公表しなかった問題について、東電による一般組合員向け説明会を受け入れる方針を固めた。佐藤弘行組合長によると、今月の最終週に開催する方向で東電と調整している。
  佐藤組合長が理事約25人に受け入れの是非を諮った。一部の理事からは「トラブルが相次ぐ中で説明会の開催は時期尚早」などと反対の声が上がったが、おおむね了承を得たという。佐藤組合長は「原発を視察したこともあり、問題の発覚直後に比べて(理事の)気持ちが和らいだのだと思う」と話した。
 

2015年5月3日日曜日

被害は核爆弾なみ 30年前に原発攻撃被害報告書

 わが国の原発が戦争やテロ等で攻撃されたときの被害予測を、外務省は30年も前に行っていたことを2日付の小出裕章ジャーナルが取り上げました。
 
 攻撃によって原子炉の「格納容器」が破損した場合、最悪1万8000人が死亡し、半径86キロには居住できなくなる上に、最大半径87キロの範囲で土地の利用が出来なくなるという結果が得られましたが、外務省は反原発運動が広がることを懸念し公表しませんでした。
 
 原子炉=圧力容器自体が攻撃で破損した場合には更に甚大な被害が生じますが、それについての被害予測はしておらず、使用済み核燃料プールが被弾して破損した場合も悲惨なことになりますが、やはり被害予測はしていません。
 
 元になったのは東京新聞の4月8日の記事で、同紙が情報公開を通じて資料を入手して報道したものでした。
 
 以下に「小出裕章ジャーナル」の冒頭部分と東京新聞の記事を紹介します。
 小出裕章ジャーナルの全文は、http://www.rafjp.org/koidejournal/no121/ にアクセスしてご覧ください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原発攻撃被害報告書が明るみに
「原子力に対する、やはり危機感というものが広がってしまうことを恐れたということが多分本音なんだろうなと私は思います」
第121回小出裕章ジャーナル~   2015年05月02日
 
(抜 粋 文)
湯浅   先月から新居に移られ、信州の方に移られましたが、住み心地はいかがでしょうか? 
小出    快適です。私は暑いのがとことん苦手でしたので長い間、大阪という本当に暑い場所で生きてきましたが、私にとっては随分辛かったし、信州は快適です。
湯浅   では、今日はその小出さんに伺うテーマはですね、原発攻撃被害報告書っていうやつですが、外務省が国内の原発が戦争やテロ等で攻撃を受けた場合の被害予測を1984年、もう30年前に極秘に研究していたってことが発覚した、わかったっていうことなんですが。
小出    だそうですね。 (中 略) 本文そのものをまだ見る機会がないのですけれども、あちこちの東京新聞も含めた情報は目を通しました。
湯浅   ポイントはどういうところにあったんですかね? これ。
小出   中 略) 核戦争というのがあってですね、原爆を落とされて、あちこち壊されるということももちろんあるわけですし、一番手っ取り早いのは、むしろその原子力発電所を壊してしまった方が早いんではないか? ということは、もう原子力研究者の中では常識であったわけです。
       たびたびそれに関してのどんな被害が出るかということは、例えば米国などでは研究されてきていたのです。ですから、日本でも当然そのことを心配して、どんな被害が出るか。そして、対策が取れるのかどうかということを検討しておかなければいけなかったのですけれども、中 略 1981年に、実際にイスラエルがイラクの原子炉を破壊したことがあったのです。もちろん国際的にはそういう事が想定されるわけですから、外務省としてはやはりやらざるを得ないし、やってみたと。その結果があまりにも酷かったので、秘密にしてしまったということだと思います。
                 (以下略)
 
 
被ばく死 最悪1.8万人 原発攻撃被害 84年に極秘研究
東京新聞 2015年4月8日
 国内の原発が戦争やテロなどで攻撃を受けた場合の被害予測を、外務省が一九八四(昭和五十九)年、極秘に研究していたことが分かった。原子炉格納容器が破壊され、大量の放射性物質が漏れ出した場合、最悪のシナリオとして急性被ばくで一万八千人が亡くなり、原発の約八十六キロ圏が居住不能になると試算していた。研究では東京電力福島第一原発事故と同じ全電源喪失も想定していたが、反原発運動が広がることを懸念し公表されなかった
 
 八一年にイスラエル軍がイラクの原子力施設を空爆したことを受け、外務省国際連合局軍縮課が外郭団体の日本国際問題研究所(東京)に研究委託。成果は「原子炉施設に対する攻撃の影響に関する一考察」と題した六十三ページの報告書にまとめられ、本紙が情報公開を通じてコピーを入手した。
 報告書は出力百万キロワット級の原発が攻撃されたと仮定。原発の場所は特定せず、(1)送電線や発電所内の非常用発電機がすべて破壊され、すべての電源を失う(2)原子炉格納容器が爆撃され、電気系統と冷却機能を失う(3)格納容器内部の原子炉が直接破壊され、高濃度な放射性物質を含む核燃料棒などが飛散する-の三つのシナリオで検証した。
 このうち、具体的な被害が示されたのは(2)の格納容器破壊のみ。当時、米国立研究所が米原子力規制委員会(NRC)に提出した最新の研究論文を参考に、日本の原発周辺人口を考慮して試算した。
 
 それによると、緊急避難しない場合、放射性物質が都市部など人口密集地に飛来する最悪のケースでは一万八千人が急性被ばくで死亡。ただ、被害は風向きや天候で大きく変わるとして、平均では三千六百人の死亡になると試算した。五時間以内に避難した場合は最悪八千二百人、平均八百三十人が亡くなるという。急性死亡が現れる範囲について、報告書は「十五~二十五キロを超えることはない」と記述している。
 長期的影響としては、放射性物質セシウムなどで土壌汚染が深刻化すると指摘。農業や居住など土地利用が制限される地域は原発から最大で八六・九キロ、平均で三〇・六キロにまで及ぶとしている。
 
 最も被害が大きい(3)の原子炉破壊については「さらに過酷な事態になる恐れは大きいが、詳しい分析は容易ではない」と紹介。福島原発事故と同じ(1)の全電源喪失では、実際に起きた水素爆発の可能性に触れ「被害が拡大する危険性がある」と指摘しており、報告書が公表されていれば、事故の未然防止や住民避難に役立った可能性がある。
 
 八〇年代は、七〇年代の二度にわたる石油危機を受け、国は原発建設を積極的に推進。国内の原発十六基が運転を始めた。軍事攻撃が想定とはいえ、原子炉に重大な損害が生じれば深刻な被害が及ぶとのシナリオは世論の不安を呼び、国の原子力政策に水を差す可能性があった。報告書にも「反原発運動などへの影響」などと、神経をとがらせていたことをうかがわせる記述がある。
 原子力資料情報室の伴英幸・共同代表は報告書の存在を「知らなかった」とした上で「反対運動を理由にした非公開ならとても納得できない。テロの脅威が高まる中、原発のリスクを国民にもっと知らせるべきだ」と話している。
 
公表する理由がない
 外務省軍備管理軍縮課の話 報告書は保存されているが、作成部数や配布先など詳しい経緯は分からない。今後、公表の予定はない。積極的に公表する理由がない。
 
◆原発攻撃被害報告書 「福島」に生かされず
 軍事攻撃による原発の放射能被害を予測していた外務省の報告書。水素爆発した福島第一原発事故は地震と津波が引き金とはいえ、報告書が指摘していた「全電源喪失」の危機がシナリオ通りに再現された。三十年も前から原発の潜在的な危険性を知りながら、反原発運動の広がりを恐れて公表を控えた外務省。原発推進を掲げた当時の国策の下で、都合の悪い情報をひた隠しにする官僚の隠蔽(いんぺい)体質が浮かび上がる。 (斎藤雄介)
 
 「限定配布の部内資料(『取扱注意』なるも実質的に部外秘)」「外務省の公式見解でないことを念のため申し添える」…。高度な秘密性を裏付けるように、報告書には当時の国際連合局軍縮課長が書いた「ことわりがき」が添えてある。
 当時、同局の審議官だった元外交官の遠藤哲也氏(80)は本紙の取材に「記憶が確かではない」としながらも「ショッキングな内容なので(非公表に)せざるを得なかったでしょうね」と話した。同氏によると、一般的に部内資料は省外への持ち出しが禁止されており、報告書が官邸や原子力委員会などに配布されていなかった可能性が高い。
 作成された二年後の一九八六(昭和六十一)年には旧ソ連・チェルノブイリ原発事故が起きたが、その時ですら報告書の公表はなく、原発の安全対策に生かされることはなかった。
 当時は米ソが核兵器の開発を競う冷戦時代。科学技術史が専門の吉岡斉・九州大教授(61)は原発の軍事攻撃を想定した報告書が公表されれば「国民の間で核兵器と原発が一体的に連想されることを心配したのではないか」と推測する。
 
 「国家と秘密 隠される公文書」(集英社新書)の共著者で、歴史学者の久保亨・信州大教授(62)も「原子力は、軍事に転用できる技術の最たるもの」と指摘する。久保教授が懸念するのは昨年十二月に施行された特定秘密保護法。安全保障やテロ対策などを理由に原発に関する情報が一段と制限され「闇から闇へ葬られかねない」と懸念を示している。
 
写真

福島第一原発 作業員の死亡・けが 倍増

NHK NEWS WEB 2015年5月1日
東京電力福島第一原子力発電所で昨年度、死亡したり、けがをしたりした作業員は64人と、前の年度から倍増したことが分かりました。
経験が浅い作業員が大半を占めることから、東京電力は訓練施設を設けるなどして状況を改善したいとしています。
 
東京電力によりますと、昨年度、福島第一原発では▽廃炉作業中に1人が死亡したほか、▽重傷が6人、▽休業を伴う軽傷が6人、▽それ以外の軽傷が36人、▽熱中症になった人が15人で、合わせて64人が死傷したり体調を崩したりしました。
前の年度は死者1人を含めて32人だったことから、死傷者などの数は1年で倍増したことになります。
この中には、作業員がタンクから転落して死亡したケースや、機械に手や足を挟まれてけがをしたケースなどが含まれていて、特に福島第一原発での作業経験が1年未満の人が47人と、全体の7割以上を占めているということです。
 
福島第一原発では、汚染水タンクの増設などで昨年度は作業員の人数が1日当たりおよそ7000人と、前の年度の倍以上に増えていて、東京電力は、経験の浅い作業員が増えたことが死傷者の増加の背景にあると分析しています。
そのうえで、防護マスクをしたり何重にも手袋を着けたりする特殊な状況での作業を訓練する施設を新たに作るなど、作業員の教育を強化して状況を改善したいとしています。