政府は今月、原発に由来する高レベル放射性廃棄物の最終処分の選定を、これまでの公募制を改めて、政府が「科学的有望地」を示した上で、全国の複数の自治体に調査を申し入れる仕組みに変えます。
従来方式では、自治体が処分地に名乗りを上げても住民の反対で頓挫することが多いためです。
政府が責任を持つのは望ましいことですが、福島原発の汚染水処理のように「先頭に立つ」などと掛け声だけで終わり、実質的には何もやらないようなことがないようにして欲しいものです。
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核ごみ処分地 政府主導 公募方式を今月改定
東京新聞 2015年5月4日
政府は今月、原発から出る核のごみ(高レベル放射性廃棄物)の最終処分に関する基本方針を七年ぶりに改定する。これまでは公募方式で、自治体が処分地に名乗りを上げても住民の反対で頓挫した経験を踏まえ、政府が「科学的有望地」を示した上で、全国の複数の自治体に調査を申し入れる仕組みを導入する。
処分地探しは、電力会社でつくる原子力発電環境整備機構に任せきりで見つからず、原発は「トイレのないマンション」と批判されてきた。夏以降に再稼働を控え国主導で候補地選びを加速させる。宮沢洋一経済産業相は対象地域に関し「かなり広い地域が出てくる」との考えを示している。
現行方針では、使用済み核燃料はプルトニウムなどを取り出し、残りを地中深くに埋め「地層処分」するとしている。新方針でも地層処分を前提に処分地を探すが、再処理せずに燃料を直接処分する研究も同時に進めることにした。また、将来の政策変更や技術革新に応じ、処分地や処分方法の見直しができるようにする。
政府は今月から、早期に最終処分場を建設する必要性を国民に訴えるシンポジウムを、原発を持つ電力九社の本店がある九都市で開催。七月以降、対話形式で意見を聞く機会などを設け、有望地の提示に向けて国民の関心を高めたい考えだ。
<高レベル放射性廃棄物> 原発の使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムとウランを回収した後に残る「核のごみ」の一種。再処理の廃液とガラスを混ぜてガラス固化体にして処分するが、長期にわたって極めて強い放射線を出す。国は2000年、地下300メートルより深く埋めて地層処分する基本方針を決め、02年から候補地の公募を始めたが進展がない。今月改定する方針では、処分作業の途中でも重大な問題が見つかった場合は中止できることを強調、自治体の受け入れのハードルを下げる。廃炉で出る低レベル放射性廃棄物などは処分方法が異なる。