2016年7月3日日曜日

福島・川俣町、避難解除の新目標は「来年3月末」

 住民や町議会から住民懇談会の開催自体について反発する声が高まっていた福島県川俣町は、避難指示解除を当初目標としていた「8月末ごろ」を断念し、新たな目標を「来年3月末」とする方針であることが分かりました。
     (関係記事)
         6月29日 山木屋地区 避難解除への住民懇談会 日程見通し立たず 
         6月15日 避難解除関連のニュース
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福島・川俣町、避難解除先送り 新目標は「来年3月末」
東京新聞 2016年7月2日
 東京電力福島第1原発事故の避難指示解除に向け準備が進む福島県川俣町が、当初目標としていた「8月末ごろ」の解除を断念し、新たな目標を「来年3月末」とする方針であることが1日、分かった。
 
 避難区域の同町山木屋地区の住民が町に来年3月末の解除を要請したほか、町議会も反発し、解除に向けた町主催の住民説明会の開催見通しが立っていないためで、町は週明けにも町議会に当初目標を断念した経緯を説明する見通し。町議会や国との協議を踏まえ、新たな解除目標を最終決定する。
 
 解除を巡り古川道郎町長は今年5月、目標時期を「8月末ごろ」と表明していた。(共同)

【集会報告】40年超え老朽炉を廃炉に!各地から結集

福島老朽原発を考える会(フクロウの会) 2016年7月1日
みなさまへ<転載歓迎>
 
昨日行われた40年超え老朽炉を廃炉に!集会について簡単に報告させていただきます。
 
集会には福井、関西、名古屋、岐阜を含む80名ほどのみなさんにご参加いただきました。忙しい中、菅直人議員にも駆けつけていただきました。ありがとうございました。
 
福島からの訴えや各地の取り組みの報告を受けながら、老朽炉をなんとしても廃炉に追い込まなければとの思いが溢れ出る集会でした。署名はまだまだ続きます。訴訟もこれからです。がんばりましょう。
 
<署名提出>
第一次の提出を行いました。署名数は9561筆でした。原子力規制庁の職員に対し、福井の東山さん、岐阜の兼松さんが読み上げ、思いを伝えながら提出しました。
 
<第一部:ここが問題・原発の寿命延長>
はじめに菅直人議員からあいさつ。原則40年であり延長は認められない。国会で資料提出を迫ったこと、韓国の古里原発では延長は認められなかったことなど。
 
続いて名古屋地裁で行われている高浜1・2号機の認可取り消しを求める行政訴訟弁護団から甫守一樹弁護士から。注目されている訴訟でやりがいもある。島崎元規制委員の指摘についても取り上げて、規制の在り方を問うていきたいと。
 
阪上から、寿命延長認可の経過と問題点について。美浜原発の死傷事故により老朽化対策は強化されたが、それでも福島の惨事が発生し、原発の運転は40年で止めると決めた。しかし規制委は期限内に認可させるために躍起になっている。ケーブル絶縁性低下問題や耐震安全評価のごまかしなど。
 
井野博満さんから、中性子による圧力容器の脆化が進んでいる問題について報告。高浜1号は最も脆性破壊を起こしやすい原子炉。予測式に信頼性はなく、認可は危険だ。
 
小山英之さんから、島崎元原子力規制委が指摘した、地震動の計算で用いられている入倉・三宅式の過小評価について、以前から武村式を使うようはたらきかけてきた。直接には大飯・玄海の問題だが、高浜でも別の角度から問題にできる。
 
<第二部:老朽炉を廃炉にするために!>
第二部は運動の交流でした。
福島から人見やよいさん、3・11前に、福島第一原発40年に際して廃炉を求める集会の準備をしていた。しかしあの事故で打ちのめされ、本気さが足りなかったと反省した。福島の反対運動の人たちはお詫びしていた。本当に詫びるべきは東電・政府なのに、と涙をこらえながら話されました。
 
福井から東山幸弘さん、地元は原発の話はしにくい。反対と声をあげるといろんないやがらせがあった。40年を超える老朽炉の運転は止めて、どこかで終わりを、終止符を打たなければならない。
 
続いて、中嶌哲演さんから福井での活動報告がありました。
 
関西から島田清子さん、関西でのこの間の取り組み、避難計画の問題で、滋賀県知事や関西広域連合など自治体への申し入れ、福祉施設を回る活動など。ヨウ素剤を配布した篠山市を訪問。保育園などへのアンケートを予定している。
続けて関西の児玉正人さんから、京都北部地域で、若いお母さんたちが活発に動きはじめたこと。
岐阜の兼松秀代さんから、シール投票を実施し、延長反対が圧倒的に多かったこと。わからないも多く、もっと問題点を知らせていかなければと。
名古屋の大野智子さんから、名古屋の訴訟が盛り上がっている。キャラクターを紹介しながらサポーターへの参加をよびけかけ。
グリーンピースの鈴木かずえさんから、訴訟の支援のよびかけ。
FoEの満田夏花さんから、選挙で脱原発議員を一人でも多く国会に戻そうと のアピールがありました。
 
参加できなかった、脱原発はりまアクション、佐賀・玄海の裁判の会からからのアピールが紹介されました。
 
最後に関西のアイリーン・スミスさんから、まだまだこれから。老朽炉を廃炉に追い込もうと力強い発言があり、集会を終えました。

03- 原発事故究明 動かない国会 検証機関設置せず

東京新聞 2016年7月2日
 二〇一一年三月に起きた東京電力福島第一原発事故の原因究明に当たった国会の事故調査委員会(解散)が、未解明部分の検証を続ける独立の調査機関を国会に設けるよう提言したにもかかわらず、放置されたままになっている。発生直後の東電の対応では、問題があったことを示す新事実が今も相次いで発覚。国会事故調の提言から五日で四年を迎え、委員だった有識者は調査機関の必要性を訴えている。 (宮尾幹成)
 
 国会事故調は、政府や東電とは別に事故原因を調査。一二年七月に報告書を発表し、原因の未解明部分の究明や、事故収束のプロセスを審議するため、電力会社や政府から独立した第三者機関「原子力臨時調査委員会(仮称)」を国会に設置するよう提言した
 
 だが、設置の動きは鈍い。自民党は、原発事故を含めた東日本大震災の初動対応を再検証する党内のチームが五月に報告書をまとめ、原発事故では「今なお新しい事実が出てきている」と指摘。にもかかわらず、国会への調査機関設置を求める声は一部にとどまり「原発利用を進める議論が優先され、機運が高まらない」(若手議員)という。
 
 事故をめぐっては六月、東電が弁護士に依頼した調査の報告書で、当時の清水正孝社長が「炉心溶融」という言葉を使わないよう社内に指示していたことが判明。広瀬直己(なおみ)社長は隠蔽(いんぺい)を認めて謝罪した。事故当日、原子炉水位が下がっていた1号機で炉心が露出すると予測しながら、法律で義務付けられた政府や福島県への報告を怠っていたことも、本紙の取材などで明らかになっている。
 
 政府や国会の事故調による調査時点では、こうした事実は出ていなかった。現在、事故の継続的な検証作業の場は、東電柏崎刈羽原発がある新潟県の「原発の安全管理に関する技術委員会」など一部に限られ、委員を務める田中三彦・元国会事故調委員は「(東電の対応は)重要なことを伝達していなかった点で通底している。国会事故調の提言を速やかに実行し、検証を続けてほしい」と求めた。

2016年7月2日土曜日

福島第一原発2号機 原子炉の底に大量の核燃料

 物質を透過する素粒子「ミューオン」を使って、原子炉をレントゲン写真のように透視した結果、東電福島原発2号機の原子炉の底に大きな黒い影が映っているのが確認され、溶け落ちた核燃料のほとんどが炉内の構造物とともに原子炉の底にたまっている可能性が高いことが分かりました。
 
 アメリカのスリーマイル島原発の事故では、溶け落ちた核燃料はすべて原子炉の中にとどまったため、ここを水で満たしたうえで原子炉の真上から核燃料を取り出しました。
 しかし福島原発2号機の場合、原子炉が損傷して水漏れが起きているため水で満たすことができず、簡単には行きそうもありません
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福島第一原発2号機 原子炉の底に大量の核燃料か
NHK NEWS WEB 2016年6月30日
東京電力福島第一原子力発電所の事故で核燃料が溶け落ちた2号機で、原子炉の底の部分に大量の核燃料が残っている可能性が高いことが分かりました。原子炉を透視する特殊な調査で核燃料とみられる大きな影が初めて捉えられたためで、東京電力は核燃料の取り出しに向けて、さらに分析を続けています。
 
福島第一原発の事故では、1号機から3号機の3基で核燃料が溶け落ちる「メルトダウン」が起き、このうち1号機は、これまでの調査からほとんどの核燃料が原子炉の底を突き抜けたとみられている一方、2号機と3号機では、核燃料がどこにあるのか今も分かっていません。
このため東京電力は、さまざまな物質を通り抜ける性質がある「ミューオン」と呼ばれる素粒子を使って、原子炉をレントゲン写真のように透視する調査を高エネルギー加速器研究機構などと続けています。
 
その結果、2号機の原子炉の底に大きな黒い影が映っているのが確認され、分析した結果、溶け落ちた核燃料のほとんどが、炉内の構造物とともに原子炉の底にたまっている可能性が高いことが分かりました。溶け落ちた核燃料とみられる影が捉えられたのは、今回が初めてで、こうした影は、原子炉の壁の部分でも確認されたということです。
今回の調査結果は、核燃料をどう取り出すかという廃炉に向けた最大の難関の工程に大きく影響するだけに、東京電力はさらに分析を進めています。
 
廃炉への影響
「ミューオン」は、宇宙を飛び交っている「宇宙線」と呼ばれる粒子が大気と衝突してできる「素粒子」の一種です。さまざまな物質を通り抜ける性質があるため、建物などを通り抜けたミューオンを観測することでレントゲン写真のように中を透視することができます。
福島第一原発では、去年から強烈な放射線で、人が近づけない原子炉周辺の調査に活用されていて、このうち1号機では、高エネルギー加速器研究機構などの調査で、溶け落ちた核燃料のほとんどが、原子炉の底を突き抜けた可能性が高いことが明らかになっています。
一方、2号機では、名古屋大学などの調査で、核燃料の大部分が溶け落ちた可能性が高いことは分かりましたが、どこにあるかまでは分かっていませんでした。
核燃料がどこにあるかは、廃炉に向けた最大の難関とされる溶け落ちた核燃料を、どう取り出すかという工程に大きく影響します。アメリカのスリーマイル島原発の事故では、溶け落ちた核燃料は、すべて原子炉の中にとどまったため、ここを水で満たしたうえで原子炉の真上から核燃料を取り出しました。水には、放射線を遮る効果があるからです。
 
しかし今回核燃料の多くが原子炉内にある可能性が高いことが分かった福島第一原発2号機の場合、原子炉が損傷して水漏れが起きているため、水で満たすのは簡単ではありません。国と東京電力は、水で満たさずに核燃料を取り出すことも検討していますが、その場合、作業員の被ばく対策など新たな課題への対応が求められます。
現在の工程表では、5年後の平成33年までに1号機から3号機のいずれかで核燃料の取り出しを始めることになっていますが、40年かかるとされる廃炉に向けて、極めて難しい課題が山積しているのが実情です。

02- 伊方原発運転差し止めを 大分でも仮処分を申し立て

 四国電力伊方原発から豊後水道を挟んで一部が50キロ圏になる大分県の住民が、伊方原発の運転差し止めの「仮処分」を申し立てました。4日には第2陣の申し立てが行われる予定です。
 
 それとは別に、運転差し止めを求める訴訟の準備も進めており、この夏中にも提訴する予定です
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伊方原発運転差し止めを 大分でも仮処分申し立て
高知新聞 2016年7月1日
 四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めを求め、大分県内の住民が6月30日までに、大分地裁に仮処分を申し立てた。大分地裁の判断は、四国電力が再稼働を目指す7月下旬までには示されない見通し。伊方原発は豊後水道を挟んで大分県の対岸にあり、大分市の一部などが50キロ圏内に入る。
 
 「伊方原発をとめる大分裁判の会(準備会)」事務局の小坂正則さん(62)によると、27日付で1人が仮処分を申請した。7月4日に別の住民3人が「第2陣」として申し立てる方針。
 運転差し止めを求める訴訟の準備も進めており、この夏中にも提訴する予定という。
 小坂さんは「中央構造線(断層帯)のすぐそばにある伊方原発は危険で、対岸の迷惑施設に対する大分県民の関心は強い。一日も早く運転を止めたい」と話している。
 四国電力は「申立書を見ていないためコメントは差し控えたい。内容を確認した上で、大分地裁に安全性を理解してもらえるよう適切に主張、立証していく」としている。
 伊方原発の運転差し止めを求める訴訟や仮処分は、松山、広島の両地裁でも争われている。 

2016年7月1日金曜日

原発は「資産と会計」でも異例の優遇

 今回は 【迫る伊方再稼働】シリーズの「(4)資産と会計 特別な配慮透明化を」です。
 本家のアメリカが、1970年代に「原発は安い(そしてクリーンで安全)」という神話が破綻して脱原発に向かったのに対して、日本ではあらゆるコストを電気料金に上乗せでき総括原価方式』を取っていたために、福島の事故を起こすまで「原発は発電コストが安い」と信じられてきました。
 
 しかし事故を経て、いよいよ原発の廃炉が現実の問題になってくると莫大な費用を要するために、事故を起こさなくても廃炉自体で債務超過に陥る電力も出かねなくなりました。そこで国はそうならないように、廃炉を決めた設備や核燃料の一部は資産とみなして、損失を一括計上せず、10年の分割処理能にしました。10年に分割することでそれに要する費用を総括原価方式』で回収できるようにしました。
 つまり電力会社の負担から国民の負担に転換させる「会計ルール違反」を行ったわけで、これはつい2年ほど前に公然と行われた『原子力ムラ』の利益保存のための処置でした。
 福島事故を経ても、官民一体となった『原子力ムラ』の利益追求の構造は何も変わっていません。
 
 高知新聞が大島堅一・立命館大教授にインタビューした「企業経営の視点でみた原発」も併せて紹介します。
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【迫る伊方再稼働】(4)資産と会計 「特別な配慮」透明化を
 高知新聞 2016年6月30日
 全国50基の原発を2012年度に廃炉にすると決めた場合、電力会社10社で総額4兆4千億円の損失が出る―。
 東京電力福島第1原発の事故から1年余り後の2012年6月、経済産業省のそんな試算が明らかになり、経済界に衝撃を与えたことがある。電力10社のうち北海道電力、東北電力、東京電力、日本原子力発電の4社が債務超過に陥る、との内容だったからだ。
 
 原発の設備や核燃料は会計上、電力会社にとって大きな「資産」だ。資産を失い、補填ができないと、経営は悪化する。
 火力、水力、太陽光、原子力。こうした電源の中で、原発は発電コストが安く、優位とされてきた。四国電力も伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働に際し、同様の説明をしている。
 
 原発のコスト問題に詳しい立命館大学の大島堅一教授(環境経済学)はこう解説する。
 「短期的に燃料費だけをみれば発電コストは安い。一方で建設費は大きいので、投資が終わっている以上は使わないと大損してしまう
 四国電力の佐伯勇人社長も6月28日の記者会見で「今ある資産を有効活用するのが経営の考え方。(廃炉を決めた)1号機もできれば使いたかった」と述べた。
■  ■
 四国電力の経営上、伊方原発はどんな位置付けになっているのか。決算書をひもといてみた。
 2015年3月期の貸借対照表によって資産価値を見ると、「原子力発電設備」は1075億円に達する。水力や火力の発電設備よりはるかに大きい。「核燃料」も1414億円という巨額資産だ。
 四国電力は3号機を再稼働させれば、収支が年間約250億円改善すると見込んでいる。
 
 逆に、2015年3月期に3基全てを廃炉にすると仮定したらどうなるか。
 単純計算すると、原発設備の資産価値はゼロ、転売できない核燃料(四国電力によると576億円)も価値が無くなる。廃炉に備えた引当金の不足分約400億円も必要。そうした結果、「純資産」は700億円余りにまで減り、経営は大幅に悪化する。
 原発に関する他の資産なども考慮すれば、全基廃炉で四国電力は債務超過になりかねないとの試算もある。
 
 ただ、実際には債務超過にならないよう電力会社向けに特別の“原発会計制度”が存在する。この制度は福島原発事故以降、「廃炉を円滑に進めるため」として、経産省主導で変更を重ねてきた。例えば、廃炉を決めた設備や核燃料の一部は資産とみなして、損失を一括計上せず、10年の分割処理が可能になった。
 
 「ただし」と言うのは立命館大学の金森絵里教授(会計学)だ。
 電力会社には、あらゆるコストを電気料金に上乗せできる「総括原価方式」がある。損失を将来に先送りする「10年分割」を採用すれば、それによって生じるコストはこの方式で回収できる
 金森教授は「コストの負担者が電力会社から国民に変わっている。会計ルール違反です。会計基準は中立であるべきなのに、政治の中にある」と手厳しい。
 「廃炉を進める制度を構えるのは良いけど、いくらの費用が国民に転嫁されたか透明性のある制度設計にすべきです。複雑で不透明性を増す制度変更によって(電力業界を)支援するのは、原子力ムラの体質とも言えるでしょう。これでは電力自由化は成功しない。電力会社と国民の間の信頼も損なわれます」
■  ■
 事故リスクと経営規模の視点から、大島教授はこうも問いかける。
 「東京電力だったから福島の事故直後に数兆円を用意できた。四国電力は事故収束費用を用意できるのか。『事故を起こさない』と言うのは幸運を願っているだけ。リスクを負えないのに利益を欲しがるのは、資本主義ではありません」
 大島教授のこの質問を四国電力に伝えると、広報担当者から回答が届いた。
 「事故収束費用は状況によって全く異なることから試算していない。当社の経営規模を超える費用の発生も考えられるが、そうした事態を絶対に起こさないよう多重安全対策を実施しており、引き続き安全性向上へ不断の努力を重ねていく」
 
 
企業経営の視点でみた原発 大島堅一・立命館大教授に聞く
高知新聞 2016年6月30日
■体力あるうち転換を■
 原発を企業経営の視点でどうみるか。四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の再稼働が迫る中、立命館大学の大島堅一教授(環境経済学)に聞いた。
 
 ―東京電力福島第1原発事故後も依然、四国電力など電力会社は原発に固執している。
 「使用済み核燃料の処理費用が分からないこともあり、短期的に燃料費だけを見れば発電コストは安い。建設費は大きいので、投資が終わっている以上は使わないと大損してしまう。追加的な安全対策費用の回収との比較で、伊方原発の3号機のように(運転期間40年ルールに対する)残存期間が長いと運転したくなるだろう」
 
 ―中長期的に考えても経営は原発依存に?
 「運転差し止めの訴訟リスクがあるし、事故やトラブルもつきもの。止まると打撃は大きい。ただ、今の仕組みでは、事故後の電力会社の費用負担は限定的で済む。他の産業公害みたいに全部払うとなれば、『原発を動かす』と単純に言えないはずだ。今の電力会社はコストは払えないけど、利益は欲しいと言っているようで、それは資本主義ではない」
 
 ―四国電力は老朽火力発電所のフル稼働などで発電を賄っているから不安定だと言い、原発で安定供給を図ると説明している。
 「それは火力への投資を怠ってきたからだ。原発依存度が高い九州、関西、四国の各電力会社は、原発なしにやっていけないような体質になっている。事故の場合だけでなく、(通常の)経営的にも危ない。中でも四国電力は会社の規模が小さいから、原発が予定通り動かないと、打撃は一番大きいと思う。体力が残っているうちに別の方向に転換した方がいい」
 
 ―原発を特別扱いする会計制度があり、福島原発の事故後は「廃炉を円滑に進める」として制度変更も重ねられている。
 「原発は国家が大きく支えないと生き残れない。それを暗示している。原発を持っている事業者を保護するこの会計制度は、裏を返せば原発を持たない事業者に不利益。それは電力自由化の精神から外れる
 
 「東日本大震災は非常にパラドキシカル(逆説的)だった。一面では既存の電力態勢は脆弱(ぜいじゃく)で災害時にうまく供給できないことが分かったし、過剰投資などで高コストだったことも分かった。だから電力システム改革を始めた。それなのに無駄の象徴のような原発を維持しようとするから、結果的に電力の安定供給も経済効率的な運用もできなくしている。これでは電力システム改革がうまくいかない可能性も出てくる」
 
 ―再稼働に対し、企業経営の視点で懸念することは。
 「一番心配なのは事故処理の資金。原発事故は損害賠償だけでない。収束がとても大事で、いきなりお金が要る。東電の経営規模だから金融機関からも借りて2兆円を積み立てることができた。四国電力の規模で用意するのは、かなり厳しい。今は、事故収束費用で事業者を支援する制度はない。『事故を起こさない』というのは安全神話。自分で損害賠償できない、除染もできない、ましてや事故収束もできないなら、それはやる資格がない」  
 
  大島堅一氏 1967年福井県生まれ。環境経済学。2008年から立命館大学国際関係学部教授。「原発のコスト」(岩波新書)で大仏次郎論壇賞。

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