2019年11月10日日曜日

10- 柏崎刈羽原発と島根原発で防災訓練 政府も総合防災訓練

 東電柏崎刈羽原発で重大な事故が起きた際の防災訓練が、8、9日の2日間行われました。1月県が新しい広域避難計画を策定してから初めて行われる大規模な訓練です。
 新潟県が独自に行っている福島原発事故の検証委員会の委員も訓練を視察しました。

 松江市にある島根原発で重大事故を想定した防災訓練が、8日~10日の3日間行われます。今回の訓練は法律に基づく国の「原子力総合防災訓練」に位置づけられ、200余りの団体からおよそ7600人が参加します。

 また島根原発の防災訓練に連動する形で9日原子力発電所の重大事故を想定した政府の原子力総合防災訓練が行われました。

 NHKの4つの記事を紹介します。
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柏崎刈羽原発事故訓練 情報の共有図る
NHK 新潟NEWS WEB 2019年11月08日
東京電力柏崎刈羽原子力発電所で重大な事故が起きた際の対応について確認する原子力防災訓練が、2日間の日程ではじまり、初日の8日は、関係機関が情報の共有が速やかにできるかどうか確認しました。

この訓練は、ことし1月に、県が原発事故に備えた新しい広域避難計画を策定してから初めて行われる大規模な訓練で、震度6強の地震で稼働中の原発にトラブルが起きたという想定で行われました。
初日の8日は、県庁と柏崎市内のオフサイトセンターを結び、自治体や国、東京電力などの関係機関およそ130人が参加しました。

このうち県庁では、午後2時ごろ、東京電力の担当者が、電源が失われて原子炉に注水できず、原発の外に放射性物質が漏れるおそれが高まっている緊急事態を知らせる「15条通報」を行ったとアナウンスされました。
そして、東京電力の担当者が図面を使って、柏崎刈羽原発の7号機で非常用ディーゼル発電機の最後の1台が故障し、原子炉の冷却ができなくなったことや、原発の敷地の道路が損傷し、非常時に電気を供給する電源車も使用できないことなどを説明しました。

また8日の訓練では、原発の敷地の外で、放射線量を測る訓練も行われました。
このうち、「モニタリングカー」と呼ばれる車を使った訓練では、道路を走りながら放射線量を測定していました。
また、放射線量を測る「モニタリングポスト」が地震で破損した場合に備え、県の職員が、持ち運びができる「可搬型モニタリングポスト」を車で運び、組み立てや測定の手順を確認していました。
一方、柏崎刈羽原発からおよそ7キロ離れた柏崎市にあるオフサイトセンターに設けられた現地災害対策本部でも、テレビ会議などを通して県の災害対策本部の担当者と情報共有を図りました。

9日は、実際に住民が参加し、孤立した集落から船で避難したり、住民に放射性物質が付着していないかスクリーニングしたりするなどの訓練が行われることになっています。


柏崎刈羽で住民避難の防災訓練
NHK 新潟NEWS WEB 2019年11月09日
新潟県にある東京電力柏崎刈羽原子力発電所で、重大な事故が起きたという想定で住民が避難する防災訓練が行われました。

訓練は、震度6強の地震で原発にトラブルが起きたという想定で行われ、屋内に退避する住民も含め、およそ16万人に参加が呼びかけられました。
このうち柏崎市内では、集落の一部が孤立し、住民20人が港から海上保安庁と自衛隊が用意した船で避難する訓練が行われました。
また、原発から30キロほど離れた見附市では、住民が屋内に退避したあと、原発の状況が悪化してきたため避難指示が出されたという想定で、バスで避難する訓練が行われました。
バスはスクリーニングポイントとされた40分ほど離れた公園で、放射性物質が付着していないか検査を受けていました。

新潟県が独自に行っている福島第一原発の事故の検証委員会の委員も訓練を視察し、福祉施設の職員が、外部から放射性物質を含んだ空気が入らないようにする装置を動かす手順を確認する様子などを見学しました。
検証委員会のメンバーで、東京大学大学院の関谷直也准教授は「手順を確認することができたのはよかったが、もっと厳しい状況で訓練を繰り返すことが重要だ」と話していました。

柏崎刈羽原発は福島第一原発の事故のあと、7基の原子炉がすべて運転を停止し、このうち6号機と7号機がおととし、国の規制基準に合格していますが、新潟県が独自に行っている検証作業が終わらないかぎり再稼働の議論を始めることができず、再稼働の見通しは立っていません。


島根原発で防災訓練始まる 初動対応の手順など確認 松江
NHK NEWS WEB 2019年11月8日
松江市にある島根原子力発電所で重大事故を想定した防災訓練が始まり、初日の8日は事故の初動対応や子どもを保護者に引き渡す訓練が行われました。
島根原発での事故を想定した今回の訓練は法律に基づく国の「原子力総合防災訓練」に位置づけられ、200余りの団体からおよそ7600人が参加して3日間行われます

震度6強の地震で原発から放射性物質が放出されたという想定で行われ、訓練初日の8日、島根県庁では中国電力からの連絡を受けて担当者どうしが状況を共有し、自治体などに事故の発生を一斉に連絡しました。
また、知事をトップとする県の災害対策本部会議も開かれ、状況把握のために中国電力や国と連携し住民への情報提供を正確に行うなど、事故発生時の手順を確認していました。
一方、原発から5キロ圏内にある小学校では子どもたちを保護者に引き渡す訓練が行われました。
松江市鹿島町の鹿島東小学校では、事故の連絡を受けて全校生徒合わせておよそ100人が体育館に集まり、学年ごとに整列しました。
そして、保護者が迎えに来ると、先生が名簿を確認したうえで子どもを引き渡していました。
9日と10日は住民を県内外に避難させる訓練などが行われます。


政府の原子力防災訓練 緊急時の対応を確認
NHK NEWS WEB 2019年11月9日
原子力発電所の重大事故を想定した政府の原子力総合防災訓練が行われ、安倍総理大臣は、関係自治体などをテレビ会議システムで結んだ対策本部の会議で、住民の安全確保を優先して取り組むよう指示し、緊急時の対応を確認しました。

訓練は、再稼働に向けて国の審査を受けている松江市にある島根原発2号機の運転中に、島根県東部を震源とする震度6強の地震で外部電源が失われ、原子炉の冷却ができなくなったという想定で行われています
総理大臣官邸には、9日午前、安倍総理大臣や関係閣僚が集まり、安倍総理大臣が「原子力緊急事態」を宣言して、原発周辺の住民に対して、落ち着いて避難や屋内への待避を行うよう呼びかけました。
このあと、総理大臣官邸と関係自治体などをテレビ会議システムで結んで、政府の対策本部の会議が開かれました。

この中で、安倍総理大臣は、「事後の拡大防止、早急な事態の収束と、併せて地域住民の安全確保が何より重要だ。現地の状況は刻一刻と変化する。関係自治体、関係機関と緊密に連携しながら、事態の推移に応じて、政府一丸となって対応してほしい」と述べ、住民の安全確保を優先して取り組むよう指示するなど、緊急時の対応を確認しました。