四国電力伊方原発3号機の重大事故を想定した原子力防災訓練は30日午後、同町から船で大分県へ渡った住民43人が臼杵市と豊後大野市の避難所に到着しました。
伊方町民の受け入れ訓練は2015年から毎年秋に実施され5回目となります。伊方原発は佐田岬半島の付け根部分に位置するため、重大事故時には原発より西側の住民約4400人が孤立する恐れがあるため、海路の避難を想定しています。今回は約100分の1の規模の避難訓練となりました。
訓練は順調に行われましたが、実際の事故時に必要数の船の手配が出来るのか、また受け入れ態勢が十分なのかなどの問題が残ります。
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伊方原発の重大事故想定訓練、「実際に対応できるのか」課題指摘
大分合同新聞 2019/10/31
四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)の重大事故を想定した原子力防災訓練は30日午後、同町から船で大分県へ渡った住民43人が臼杵、豊後大野両市の避難所に到着した。初めて町民を受け入れた両市は「順調だった」と総括したものの、「実際の事故時は避難者も多い。十分な対応を取れるのか」と課題も口にした。
住民は同町の三崎港から二手に分かれて大分県へ向かった。民間フェリーで佐賀関港(大分市)に到着した25人は、体調不良を訴えて引き返した1人を除いてバスで豊後大野市中央公民館に避難。市の保健師から、体調に問題ないかチェックを受けた。
同町三崎地区の自主防災会の大岩康久副会長(57)は「海路避難は選択肢の一つとして訓練を続けるべきだが、豊後大野市は佐賀関からやや遠い。介護が必要な人らが移動に耐えられるかどうか…」。
臼杵港には19人が着いた。松山海上保安部の巡視船から降り、ゲート型の装置を通って放射性物質が付いていないか確認後、臼杵市中央公民館に移動した。
同港では原発付近の海で操業していた漁業者に放射性物質が付いた―との想定で簡易除染も実施。県放射線技師会のメンバーらが検査し、漁業者役の県職員の腕をウエットティッシュで拭いた。
訓練はトラブルなく終了した。住民は大分県側の対応に感謝しつつ、「訓練のための訓練。緊張感が欠けている」「巨大災害時はシナリオ通りにいかない」との声も上がった。
臼杵市は職員10人が誘導などに当たった。問診を担当した保険健康課の梶原敦子保健師(44)は「実際はかなりの人数の問診が予想される。避難者の負担を軽減しながら効率的にできるようにする必要がある」と感想。
中尾敬防災危機管理室長(52)は「実際の事故時にも対応できる体制を築くのが課題だ」と話した。
伊方町民の受け入れ訓練は2015年から毎年秋に実施。伊方原発は佐田岬半島の付け根部分に位置し、重大事故時には原発より西側の住民約4400人が孤立する恐れがあるため、海路避難が想定されている。