2019年11月15日金曜日

新潟県「原発避難委」が避難訓練を受けて課題を指摘

 柏崎刈羽原発の重大事故を想定した新潟県の訓練、燕市の公園で避難してきた住民に対しスクリーニングと安定ヨウ素剤の配布を行った場面を視察した「原子力災害時の避難方法に関する委員会(避難委員会)の会合が12日開かれました。
 そこでは「多数の住民、車両が殺到する可能性もある中、十分な要員を確保できるかどうかのほか、実施の候補地18カ所で足りるのか」と懸念する声が上がりました
 また「事前に服用しておくべき安定ヨウ素剤避難経路上で配るのは実効性に疑問がある」という意見や、「より深刻な想定も含めて、何度も繰り返す必要がある」と強調する意見が出されました
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「対応要員足りるのか」課題指摘 県「原発避難委」、実動訓練受け
新潟日報 2019/11/13
 原発の安全性を巡る新潟県独自の「三つの検証」の一つで、原子力災害時の避難方法に関する委員会(避難委員会)の会合が12日、新潟市中央区で開かれた。住民参加で行われた9日の原子力防災実動訓練を踏まえて議論され、避難者に放射性物質が付着していないかを調べるスクリーニングや安定ヨウ素剤の配布について「対応要員が足りるのか」などと課題を指摘する意見が相次いだ

 東京電力柏崎刈羽原発の重大事故を想定した県の訓練は、燕市の公園で、原発から半径30キロ圏の避難準備区域(UPZ)から避難してきた住民に対し、スクリーニングと安定ヨウ素剤の配布を行った。
 避難委の会合では、訓練を視察した委員からスクリーニングについて、実際の事故時には多数の住民、車両が殺到する可能性もある中、十分な要員を確保できるかどうかのほか、「県が示している実施の候補地18カ所で足りるのか」と懸念する声などがあった。

 県の広域避難計画では、UPZの住民がいったん屋内退避した後に避難する際に甲状腺被ばくを抑える安定ヨウ素剤について、スクリーニング実施場所など避難経路上で配るとしている。委員からは「屋外に出て(避難)行動する前に服用しておくべきもので、避難経路上で配るのは実効性に疑問がある」などと、事前配布の必要性を指摘する意見が多かった。

 訓練全体について委員の一人は「より深刻な想定も含めて、何度も繰り返す必要がある」と強調した。
 終了後、関谷直也委員長(東京大大学院准教授)は「被ばくを最小化し、素早く避難することが重要。あちらを立てればこちらが立たない問題も多いが、ベターな方向を考えていきたい」と話した。