原子力規制委による「基準地震動」の計算方法の見直しで、九電の玄海原発と川内原発がいずれも現行の620ガルの設定から、600ガル台後半に跳ね上がる可能性が生じました。
これまでは「未知の震源」は620ガルと設定されていましたが、00~17年に国内で起きた「未知の震源」による地震89件を踏まえた新たな計算方法案が8月にまとまり、それに基づいて「基準地震動」を見直すことになりました。
その値が跳ねあがれば追加の耐震対策工事が必要になります。
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原発の揺れ想定引き上げ 九電玄海、川内原発 規制ルール見直しで
西日本新聞 2019/11/16
原子力規制委員会が原発の耐震設計の目安となる地震の揺れ「基準地震動」の計算方法を見直すことで、九州電力の玄海原発(佐賀県玄海町)と川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の基準地震動がいずれも上振れする見通しとなったことが15日、分かった。追加の地震対策が必要となり、状況次第で稼働状況に影響する可能性がある。
基準地震動は、想定される地震の最大規模の揺れ。玄海原発と川内原発では地表に断層などの痕跡がない「未知の震源」に基づき、いずれも620ガルと設定されている。新たな計算方法の影響について、九電関係者は西日本新聞の取材に対し「詳細な計算はこれからだ」とした上で、両原発とも600ガル台後半に跳ね上がる可能性を示唆。「追加対策が必要になれば、定期検査中に対応したい」と述べ、稼働への影響を抑えたい意向を示した。
東京電力福島第1原発事故を踏まえた原発の新規制基準では、「未知の震源」による基準地震動を設定する場合、2004年に北海道で起きた地震1件のデータを基に計算している。ただ規制委はより幅広いデータの活用が好ましいと判断し、00~17年に国内で起きた「未知の震源」による地震89件を踏まえた新たな計算方法案を8月にまとめた。来年2月をめどに関連規則などを改正する方針だ。見直しを巡っては、大手電力側が既に新規制基準に適合している原発については、追加の審査や耐震対策工事の期間を考慮した猶予措置を設けるよう要望。規制委の更田豊志委員長は、一定期間は原発の運転停止を求めないなどの措置を講じる可能性について言及している。 (吉田修平)