日立市は全域が東海第二原発から30キロ圏に含まれますが、4日、原発から5キロ圏内の住民を中心にした避難訓練を行い、住民ら520人が参加しました。
5キロ圏の住民は一時集合場所になっている近隣の小学校などに集まり、そこからそれぞれバスで避難先の(福島県いわき市の施設に見立てた)日立市役所まで移動しました。
日立市では自家用車での避難が原則とされていることから、「今後は、自家用車で訓練をする必要」があるほか、全人口の約17万6千人が福島県の17自治体に逃げることになっているので、その避難訓練も検討しているということです。
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原発事故想定「5キロ圏」住民参加 日立市、520人避難訓練
東京新聞 2019年11月5日
東海村の日本原子力発電東海第二原発から全域が30キロ圏に入る日立市は4日、原発事故を想定した避難訓練に取り組んだ。原発から5キロ圏内の住民や市職員ら520人が参加。これほどの規模は初めてという。参加した住民からは台風19号を踏まえ、自然災害と原子力災害が同時に発生することへの懸念もあった。(松村真一郎)
訓練は、現在停止している東海第二の使用済み核燃料プールの水が漏れ、水位が低下しているという想定。原発から五キロ圏に入る坂下、久慈、大みかの三地区の住民が、一時集合場所になっている近隣の小学校などに集まり、避難先に指定されている福島県いわき市の施設に見立てた日立市役所まで、各地区ごとにバスで移動した。
また市役所では、車いす利用者や障害者など支援が必要な人の避難時の動きも確認するため、要支援者役の市職員八人が、車いすやストレッチャーに乗せられ、福祉車両で水木交流センター(水木町)に一時避難した。
センターは、放射性物質が屋内に侵入するのを防ぐシェルターの設備が整えられており、実際に電源を入れ、作動させた。
訓練終了後、小川春樹市長は「訓練の状況を検証して、参加者から意見を寄せてもらい、避難計画を策定していく」と述べた。
日立市の広域避難計画の案では、五キロ圏内の住民は、放射性物質が環境に放出される前に避難することになっているが、大みか町の運送業、橋本弘子さん(74)は「放射性物質がいつ出てくるか、どうやって分かるのか」と疑問を呈した。
地区ごとに福島県内に避難することになっており、橋本さんは「福島県は雪が多いところもあり、冬に避難する際に必要な持ち物を計画では示してほしい」と要望。自家用車での避難が原則とされていることから、「今後は、自家用車で訓練をする必要があるのでは」と話した。
久慈町の無職男性(75)は、台風19号のような自然災害と原発事故が同時に起こる可能性もあることから、「逃げなければならない時に、逃げられなければどうしようもない」と、複合災害も想定した避難計画の策定を求めた。
東海第二で放射能が漏れる深刻な事故が起きた場合、市の計画案では、全人口の約十七万五千九百人が福島県の十七自治体に逃げることになっている。今後、福島県内への避難訓練も検討している。